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景気の波の影響を受けにくい体質づくり

1.収益安定化のための体質づくりの必要性

= はじめに =
現在、100年に1度と言われる世界的な不況に陥っていますが、ここまでにないにしても、これまでも景気の山谷は存在していました。業界によって、周期は異なるかも知れませんが、どの業界でも必ず好調と不調を繰り返します。この繰り返しを乗り切りながら、企業は景気変動に強い体質を作っているのではないでしょうか。この体質作りを怠ると、最悪の場合倒産という結果を招くことになりかねません。
そこで、今回は景気の波を受けにくい体質にするために、言い換えれば収益を安定化させるために、どんな取り組みを実施すればよいか、考察したいと思います。

= 景気の波の影響を受ける要因 =
まず、どんなときに景気の波の影響を受けるのか、その要因となる要素を明確にしたいと思います。
産業財を扱うBtoBビジネスと、一般消費財を扱うBtoCビジネスがありますが、より景気変動の影響を受けやすいBtoBビジネスを対象にします。
BtoBビジネスの場合;
●製品が高額、あるいは案件1件(複数台の製品をまとめたもの)当たりが高額であるために、受注/失注の影響が大きく収益に影響する
●特定の業界に顧客が集中している


この実態を踏まえると、収益安定化策の基本方針としては、以下のようなものが設定できます。
収益安定化策の基本方針

2.収益安定化策の発見の視点

= 発見の視点 =
弊社は、事業を仕事の繋がりと捉えるプロセス視点から、改革・改善テーマを発見する手法を多用しています。これまでのコンサル実績から、「Xチェーン・マネジメント(XCM)」という新しい経営管手法を開発し、「Xチェーン経営」(http://www.jbc-con.co.jp/books/books_xcm.html)という本を出版しております。この手法では事業は「デマンドチェーン(マーケティング・営業領域)」「エンジニアリングチェーン(製品開発領域)」「サプライチェーン(製品供給)」「サービスチェーン」の4つから構成されると定義し、それらの繋がりに着目しています。この4つのチェーンごとに、前述の基本方針に適合した収益安定化策を探せば、視野広く、かつ偏りのなく発見することができます。
これ以降は、具体例としてどんなものが考えられるか考察します。

収益安定化策の発見の視点

= デマンドチェーン(DC) =
定義: マーケティングや販促・営業活動など顧客から要求を引き出すプロセス
デマンドチェーンの収益安定化策

= エンジニアリングチェーン(EC) =
定義:デマンドチェーンで得られた要求を満足する製品を開発するプロセス
エンジニアリングチェーンの収益安定化策

= サプライチェーン(SC) =
定義:エンジニアリングチェーンで開発した製品を日々生産して、顧客に提供するプロセス
サプライチェーンの収益安定化策

= サービスチェーン(SvcC) =
定義:サプライチェーンで提供した製品に関するサービスを提供するプロセス
サービスチェーンの収益安定化策

3.収益安定化策の候補

= 施策の絞り込み =
前述のように、Xチェーンの視点から、収益安定化策の候補を列挙しましたが、すべてを一度に着手できるわけではありません。ですから基本方針との適合性や効果性、実現性などの観点で上記の候補を評価して、着手順位を決めることになります。

以降では、比較的実現度が高く、効果も期待できると思われる以下を取り上げて、より詳しく見ていきたいと思います。

●「デマンドチェーン(DC)」
●「サービスチェーン(SvcC)」


= デマンドチェーン(DC)領域 =
この領域では、既存の商品、あるいは技術を別の市場に提供することで、収益源を増やすというのが基本戦略です。市場規模もあり、既存市場と違う需要特性であれば、言うことなしですが、なかなか難しいのが実情ではないでしょうか。では、どうのように攻めるべき新市場を設定すればよいのでしょうか。
設定の観点としては、業界や企業規模、地域、製品用途などが考えられます。一つでなく、組み合わせることも有効です。例えば、業界と地域の組合せで、市場を区分してはどうでしょうか。
米国での販売不振が引き金となった現在の不況が、中国などのアジアから回復しつつあることを考えると、地域という観点は有効であると思われます。中国の需要特性である中国の人口の多さや将来の市場規模も考慮して、例えば「繊維業界」をターゲット市場とするというストーリー立てが考えられます。

ターゲット市場の選定

= サービスチェーン(SvcC)領域 =
この領域では、製品だけでなく、それに付随したサービスを提供することで、顧客との接点を維持するとともに、継続的な収益源を獲得するのが基本戦略です。サービスの特徴は、製品需要が低迷したとしても、ある程度のサービス需要が安定的に存在することです。実際にサービス事業を収益源の柱としている企業も多くあります。
航空機業界には、エンブラエルEmbraerという乗客150人以下の小型ジェット機を製造・販売している会社がありますが、この会社は収益の第3の柱として、サービスを位置づけて、売上の約10%を占めています。ちなみに、第1の柱は、50~150人くらいのリージョナルジェット機販売(売上の64%)で、第2の柱は、50人以下のビジネスジェット機販売(売上の16%)となっています。サービスメニューとしては、サービスパーツ販売を中心に、整備需要、ジェット機のシミュレーション販売、リアルタイムモニタリング&解析サービスを提供しています。航空機のエンジン業界では、サービス事業が利益の75%を叩き出しているゼネラル・エレクトリックGEが存在し、飛行時間に応じて、顧客が料金を支払う契約形態を開発し、顧客であるエアラインにも好評です。GEも故障率を下げれば、利益を増大させることができるので、Win-Winの契約形態です。

ライフサイクルでの売上・利益

エンブラエルの売上構成

4.リスク分散の必要性

世界同時不況で、国内の自動車メーカーの多くが赤字に転じていますが、それとともに自動車部品メーカーのみならず、産業設備メーカーなど多くの企業に影響が出ています。自動車業界の裾野の広さを改めて実感させれますが、ここで各メーカーも特定の業界に依存するのではなく、リスク分散を検討して、約10年後に訪れるであろう次の不況を乗り切る準備が必要ではないでしょうか。


関連商品X-Chain Management」
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イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/014/

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経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

【ホームページ】: http://www.jbc-con.co.jp/

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