新付加価値創出による生き残り戦略とは~ロジスティクス主導の新ビジネスモデル(その3)
前回までは、物流企業の役割が荷主と荷主の顧客を物流で繋ぐことで、それを基盤に、「荷主のビジネス成功の為に何ができるか」という積極的な発想が重要であることを述べ、「商品を運ぶ目的」を物流企業自らが作った事例として、フットワークのカタログ販売をご紹介致しました。
■ロジスティクス主導のニーズとシーズのマッチング事例②(事例2)
今回最初の事例もフットワークと同様に販売・販路開拓の観点を持ち、「商品を運ぶ目的」を自ら作っている事例です。「農産物・海産物と、それを欲する小売業のマッチング」に強い思いを持って、三重県内に物流ネットワークを張り巡らした大王運輸の「たべねっとみえ」という取組みです。

発端は、百五銀行と百五経済研究所が2012年に開始した「流通トライアル事業」で、大王運輸が単独で引き継ぎ、現在に至っています。同社が構築した地産地消ネットワークの特徴は毛細血管のようなきめ細かさで、販路や物流に困っている小規模生産者や購入量の少ない小規模飲食店も対象にしている点です。ロジスティクス視点で主体的に関与し、県内企業の事業拡大や地域経済の活性化に貢献したいという同社の思いが読み取れます。それが「商品を運ぶ目的」を作ることに繋がっている事例です。
■物流企業が構築し、全体管理している循環物流の事例(事例3)
次に廃棄物に着目して、「商品を運ぶ目的」を作ることを考えてみます。リサイクル事業の中で物流企業は「廃棄物の回収」という役割を担います。リサイクル工場は、廃棄物を受け取って始めて稼働でき、廃棄物の回収量が工場の稼働率に直結します。「運ぶ目的」は工場の稼働率向上と言えます。廃棄物物流が興味深いのは、リサイクル工場で生産した製品を帰り便で運ぶチャンスが存在する点です。廃棄物の回収量の増大に伴い、帰り便の物量も増大する物流です。
この事例として、ジェイアール西日本マルニックスが実現した再生紙に関する循環物流があります。

JR西日本から出た中吊り広告やパンフレットなどの古紙を回収して、リサイクル工場に届け、その足で古紙と等価な重量の再生トイレットペーパーをJR西日本の事務所に持ち帰る循環物流です。これまで廃棄物を届けるリサイクル工場と再生トイレットペーパーを購入する会社は異なっていました。同社はそれを一体化して、循環型に再構築したのです。これは、工場を稼働させたいリサイクルエ場の思いと、古紙の市場価格によりトイレットペーパーの調達価格が変動する環境下で、古紙を安定に供給して安定した価格で再生トイレットペーパーを調達したいJR西日本の思いを繋げた事例と解釈できます。「行きの目的」と「帰りの目的」を繋いで循環物流化した事例です。同社は循環物流の全体管理も行っており、物流全体の主導権を握っています。日々の運行管理を行いながら、大阪エリアから山陽エリアへの拡大、即ち「運ぶ目的」の拡大にも取組まれています。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
本年のブログ更新は今回で終了です。ご愛読いただきまして、どうもありがとうございました。
来年も変わらずご愛読いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、どうぞ良いお年をお迎えください!
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
「サプライチェーン競争力強化」についてはこちらから
http://www.jbc-con.co.jp/consultation01.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
■ロジスティクス主導のニーズとシーズのマッチング事例②(事例2)
今回最初の事例もフットワークと同様に販売・販路開拓の観点を持ち、「商品を運ぶ目的」を自ら作っている事例です。「農産物・海産物と、それを欲する小売業のマッチング」に強い思いを持って、三重県内に物流ネットワークを張り巡らした大王運輸の「たべねっとみえ」という取組みです。

発端は、百五銀行と百五経済研究所が2012年に開始した「流通トライアル事業」で、大王運輸が単独で引き継ぎ、現在に至っています。同社が構築した地産地消ネットワークの特徴は毛細血管のようなきめ細かさで、販路や物流に困っている小規模生産者や購入量の少ない小規模飲食店も対象にしている点です。ロジスティクス視点で主体的に関与し、県内企業の事業拡大や地域経済の活性化に貢献したいという同社の思いが読み取れます。それが「商品を運ぶ目的」を作ることに繋がっている事例です。
■物流企業が構築し、全体管理している循環物流の事例(事例3)
次に廃棄物に着目して、「商品を運ぶ目的」を作ることを考えてみます。リサイクル事業の中で物流企業は「廃棄物の回収」という役割を担います。リサイクル工場は、廃棄物を受け取って始めて稼働でき、廃棄物の回収量が工場の稼働率に直結します。「運ぶ目的」は工場の稼働率向上と言えます。廃棄物物流が興味深いのは、リサイクル工場で生産した製品を帰り便で運ぶチャンスが存在する点です。廃棄物の回収量の増大に伴い、帰り便の物量も増大する物流です。
この事例として、ジェイアール西日本マルニックスが実現した再生紙に関する循環物流があります。

JR西日本から出た中吊り広告やパンフレットなどの古紙を回収して、リサイクル工場に届け、その足で古紙と等価な重量の再生トイレットペーパーをJR西日本の事務所に持ち帰る循環物流です。これまで廃棄物を届けるリサイクル工場と再生トイレットペーパーを購入する会社は異なっていました。同社はそれを一体化して、循環型に再構築したのです。これは、工場を稼働させたいリサイクルエ場の思いと、古紙の市場価格によりトイレットペーパーの調達価格が変動する環境下で、古紙を安定に供給して安定した価格で再生トイレットペーパーを調達したいJR西日本の思いを繋げた事例と解釈できます。「行きの目的」と「帰りの目的」を繋いで循環物流化した事例です。同社は循環物流の全体管理も行っており、物流全体の主導権を握っています。日々の運行管理を行いながら、大阪エリアから山陽エリアへの拡大、即ち「運ぶ目的」の拡大にも取組まれています。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
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