(連載)顧客ニーズの多様化が招いたプライベート・ブランド(PB)商品化はサプライチェーン構造改革である!【その4】
■PB商品をきっかけにしたサプライチェーン構造改革
PB商品化がもたらしたサプライチェーン構造改革、即ち製造業と流通業の役割分担再編を具体的に見ていきたいと思います。
ナショナル・ブランド商品(以下、NB商品)は製造業主導型で、ほとんどの役割を製造業が担っており、流通業は品揃えで他社と差別化しようとしてきました。一方、PB商品は、製造業・流通業の連携型であり、競争激化の中、売上の維持・拡大のために、商品企画をニーズ視点とシーズ視点で役割分担するようになりました。
その変化は、販促活動に影響を及ぼします。製造業はこれまで自社でNB商品を企画してきたので、ニーズ分析や販促活動を自ら行う強いモチベーションを持っていましたが、PB商品ではそのモチベーションを流通業が持ちます。コスト最小化、あるいは業務の簡素化という観点からすれば、重複をなくして、その役割を流通業のみが担うことは自然な流れです。
●NB商品のサプライチェーンの重点
販促活動、「どう売るべきか」に重きを置き、流通業も製造業も関与している
●PB商品のサプライチェーンの重点
商品企画、即ち「売れるものは何か」に重点が変化してきている
これらの変化の背景には、顧客ニーズ重視の発想があり、ニーズ多様化の時代でも売上を安定化させようという意図があります。また製造業・流通業のそれぞれが専門分野へ特化し、それに伴い、それぞれが業務を簡素化する余地が増えてきています。それは、結果として商品の低価格化に繋がります。
PB商品化は、このような売上拡大のみならずコスト削減を狙った「サプライチェーン構造改革」と捉える事ができるのではないでしょうか。
■PB商品をきっかけにしたサプライチェーン内の情報連携の強化
これまではPB商品の商品企画・開発という「将来に向けた業務」に着眼してきましたが、受注して生産してお届けするという日常行われている商品供給オペレーションに今度は着目してみたいと思います。

PB商品は流通業の全量買取を基本とする場合が多く、流通業の持つPOSデータに基づいたPSI計画(販売・仕入・在庫計画)と製造業のPSI計画を連携させることが可能です。これにより製造業は、段取り替えを少なくでき、効率的な生産を実現できて、無駄なコストを削減できます。更にそれらの計画を物流業と連携して、出荷計画を立てれば、積載率の向上や過剰なリソースの低減が可能となり、物流コスト削減にも繋がります。
このようにサプライチェーン内の製造業・物流業・流通業が情報を共有すると、更なる在庫削減やコスト削減を実現できます。製造業と流通業の連携はこれまでも模索されてきましたが、PB商品化という動向は、それを次のステージに進めるための大きな変化点と言えるのではないでしょうか。
(次回掲載は7月8日の予定です。お楽しみに!)
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
「サプライチェーン競争力強化」についてはこちらから
http://www.jbc-con.co.jp/consultation01.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
PB商品化がもたらしたサプライチェーン構造改革、即ち製造業と流通業の役割分担再編を具体的に見ていきたいと思います。
ナショナル・ブランド商品(以下、NB商品)は製造業主導型で、ほとんどの役割を製造業が担っており、流通業は品揃えで他社と差別化しようとしてきました。一方、PB商品は、製造業・流通業の連携型であり、競争激化の中、売上の維持・拡大のために、商品企画をニーズ視点とシーズ視点で役割分担するようになりました。

その変化は、販促活動に影響を及ぼします。製造業はこれまで自社でNB商品を企画してきたので、ニーズ分析や販促活動を自ら行う強いモチベーションを持っていましたが、PB商品ではそのモチベーションを流通業が持ちます。コスト最小化、あるいは業務の簡素化という観点からすれば、重複をなくして、その役割を流通業のみが担うことは自然な流れです。
●NB商品のサプライチェーンの重点
販促活動、「どう売るべきか」に重きを置き、流通業も製造業も関与している
●PB商品のサプライチェーンの重点
商品企画、即ち「売れるものは何か」に重点が変化してきている
これらの変化の背景には、顧客ニーズ重視の発想があり、ニーズ多様化の時代でも売上を安定化させようという意図があります。また製造業・流通業のそれぞれが専門分野へ特化し、それに伴い、それぞれが業務を簡素化する余地が増えてきています。それは、結果として商品の低価格化に繋がります。
PB商品化は、このような売上拡大のみならずコスト削減を狙った「サプライチェーン構造改革」と捉える事ができるのではないでしょうか。
■PB商品をきっかけにしたサプライチェーン内の情報連携の強化
これまではPB商品の商品企画・開発という「将来に向けた業務」に着眼してきましたが、受注して生産してお届けするという日常行われている商品供給オペレーションに今度は着目してみたいと思います。

PB商品は流通業の全量買取を基本とする場合が多く、流通業の持つPOSデータに基づいたPSI計画(販売・仕入・在庫計画)と製造業のPSI計画を連携させることが可能です。これにより製造業は、段取り替えを少なくでき、効率的な生産を実現できて、無駄なコストを削減できます。更にそれらの計画を物流業と連携して、出荷計画を立てれば、積載率の向上や過剰なリソースの低減が可能となり、物流コスト削減にも繋がります。
このようにサプライチェーン内の製造業・物流業・流通業が情報を共有すると、更なる在庫削減やコスト削減を実現できます。製造業と流通業の連携はこれまでも模索されてきましたが、PB商品化という動向は、それを次のステージに進めるための大きな変化点と言えるのではないでしょうか。
(次回掲載は7月8日の予定です。お楽しみに!)
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
「サプライチェーン競争力強化」についてはこちらから
http://www.jbc-con.co.jp/consultation01.html
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(連載)顧客ニーズの多様化が招いたプライベート・ブランド(PB)商品化はサプライチェーン構造改革である!【その3】
■顧客ニーズの多様化に伴って、増加しているPB商品化
第2次ブーム(2000年代~現在)には、低価格だけでないプレミアムPB商品が出現しますが、「なぜそうなったのか」を、食品加工業界を取り上げて、考察したいと思います。
ここで、「ビジネスは顧客のニーズからスタートする」という原点に立ち返って考察したいと思います。その重要性は、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長の書籍の中のフレーズ「顧客を知ることが最重要である。」「新しい需要と新しい顧客は『内』ではなく『外』にある。」「常に変化に対応すれば市場は飽和しない。」からも、伺い知ることが出来ます。

高度経済成長時代は作れば売れる時代で、「プロダクトアウト発想」で、NB商品を販売していても問題がありませんでしたが、モノが飽和してきて、顧客ニーズが多様化してきた昨今ではNB商品ではニーズにマッチしなくなってきました。そこで、「マーケットイン発想」で、ニーズの多様化・細分化に対応した商品を企画する必要が出てきました。
しかし、顧客ニーズに直接接する機会が少ない製造業では商品企画が難しくなってきて、そこで登場するのが流通業です。ただし、シーズは依然として製造業が保有しているので、「ニーズの分かる流通業」と「シーズを開発する製造業」という2者がセットになって初めて商品販売が可能な時代になりました。これは役割分担の見直しを伴う「サプライチェーン構造の変化」と言えます。
流通業が商品企画に進出するようになったのには、もう一つ別の理由があります。
顧客のニーズの多様化と同時に、「流通業の同質化」や「NB商品の競争力低下」が顕著になり、他社・他店舗と差別化できる商品が求められるようになってきました。そんな中で注目したのが、自ら企画するPB商品であり、その企画・開発に拍車が掛かっているのが現在の状況なのです。
「NB商品の競争力低下」は、製造業にも売れる商品を「どう生み出すか」という課題を同時に突きつけています。製造業も売上確保のために流通業と連携する方向を模索するようになり、その結果、PB商品がこれ程までに拡大したのではないでしょうか。

ここまでは、PB商品の歴史をおさらいするとともに、現在セブンゴールドに代表されるプレミアムPB商品が「なぜ、開発・販売されるようになったのか」を分析しましたが、次回からは
○PB商品がサプライチェーンにどんな影響を与えるのか
○最近PB商品をきっかけに始まった、「流通業と製造業の連携」にはどんな課題があるのか
を明確にします。
(次回掲載は6月24日の予定です。お楽しみに!)
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
「サプライチェーン競争力強化」についてはこちらから
http://www.jbc-con.co.jp/consultation01.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
第2次ブーム(2000年代~現在)には、低価格だけでないプレミアムPB商品が出現しますが、「なぜそうなったのか」を、食品加工業界を取り上げて、考察したいと思います。
ここで、「ビジネスは顧客のニーズからスタートする」という原点に立ち返って考察したいと思います。その重要性は、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長の書籍の中のフレーズ「顧客を知ることが最重要である。」「新しい需要と新しい顧客は『内』ではなく『外』にある。」「常に変化に対応すれば市場は飽和しない。」からも、伺い知ることが出来ます。

高度経済成長時代は作れば売れる時代で、「プロダクトアウト発想」で、NB商品を販売していても問題がありませんでしたが、モノが飽和してきて、顧客ニーズが多様化してきた昨今ではNB商品ではニーズにマッチしなくなってきました。そこで、「マーケットイン発想」で、ニーズの多様化・細分化に対応した商品を企画する必要が出てきました。
しかし、顧客ニーズに直接接する機会が少ない製造業では商品企画が難しくなってきて、そこで登場するのが流通業です。ただし、シーズは依然として製造業が保有しているので、「ニーズの分かる流通業」と「シーズを開発する製造業」という2者がセットになって初めて商品販売が可能な時代になりました。これは役割分担の見直しを伴う「サプライチェーン構造の変化」と言えます。
流通業が商品企画に進出するようになったのには、もう一つ別の理由があります。
顧客のニーズの多様化と同時に、「流通業の同質化」や「NB商品の競争力低下」が顕著になり、他社・他店舗と差別化できる商品が求められるようになってきました。そんな中で注目したのが、自ら企画するPB商品であり、その企画・開発に拍車が掛かっているのが現在の状況なのです。
「NB商品の競争力低下」は、製造業にも売れる商品を「どう生み出すか」という課題を同時に突きつけています。製造業も売上確保のために流通業と連携する方向を模索するようになり、その結果、PB商品がこれ程までに拡大したのではないでしょうか。

ここまでは、PB商品の歴史をおさらいするとともに、現在セブンゴールドに代表されるプレミアムPB商品が「なぜ、開発・販売されるようになったのか」を分析しましたが、次回からは
○PB商品がサプライチェーンにどんな影響を与えるのか
○最近PB商品をきっかけに始まった、「流通業と製造業の連携」にはどんな課題があるのか
を明確にします。
(次回掲載は6月24日の予定です。お楽しみに!)
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
「サプライチェーン競争力強化」についてはこちらから
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