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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その7(最終回)】

一方、一般消費者は通常、店舗にある商品の仕様をしっかり時間を掛けて吟味した
上で、選択します。現在の使用品が壊れて、緊急性がある場合もありますが、
「納期D」の重要度は低い場合が多いのではないでしょうか。残るは「品質Q」と
「価格C」ですが、最低限の要求を満たしさえすればやはり「価格C」で最終決断する
消費者が多いのではないでしょうか。
20140716_13.jpg
以上を整理するとともに、それら踏まえて、メーカー側はどんな考え方でものづくりを
行うべきか整理したものが以下です。

●BtoBビジネス
(※対象商品:生産設備)
顧客特性:限定された法人 / 高額購入
要求特性:「納期D」の遵守が前提 / 顧客が要求仕様を決定 / 要求仕様が高度
/ 品質優先のコストパフォーマンス評価
(「納期D」→「品質Q」→「価格C」の優先順位)
事業特性:納期遵守のために、コストを掛けてしまいがち
事業成功のための管理項目:業務コスト(特に、仕様決定時と据付時)

●BtoCビジネス
(※対象商品:家電)
顧客特性:不特定多数の一般消費者 / 低額購入
要求特性:「納期D」の要求度は低い / メーカーが顧客をイメージして要求仕様を決定
/ 価格優先のコストパフォーマンス評価
(「価格C」→「品質Q」→「納期D」の優先順位)
事業特性:低価格供給のために、大量生産⇒過剰在庫になりがち
事業成功のための管理項目:在庫金額と供給リードタイム
(※供給リードタイムの短縮により、在庫低減を図る)
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上記のように、BtoBビジネスでもBtoCビジネスでも「品質Q」に対する要求度は
2番目の優先順位です。事業を成功させるために「高品質」を提供することは
必要不可欠です。
高品質のために無尽蔵にリソースを投入することはできません。このことからも
上流である設計時に出来る限り高品質を作り込んでおくことが重要になるのでは
ないでしょうか。今回ご紹介した「設計品質の向上」のための3つのポイントが参考に
なれば幸いです。

(おわり)

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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その6】

■最後に

今回は、「品質Q」に焦点を当てましたが、顧客が求めている主要な価値は他に
「価格C」「納期D」があり、最近では「環境性E」が加わることもあるでしょう。
顧客にお届けする価値はこれらのバランスの結果であり、しかも顧客が買いたくなる
ようなバランスにできるかどうかが、売上高を左右します。
20140716_11.jpg
求められる品質Q、価格C、納期D、環境性Eのバランスは、顧客ごと、あるいは同じ
顧客でもそのときの状況によっても変わります。しかし、社内の限られたリソースで
個々の顧客に合わせることは現実的ではありません。そこで、市場を区分した上で、
ターゲット市場を設定し、その市場に属する多くの顧客が要求するバランスを実現して、
提供することになります。

ここでは、更に市場を大きく捉えて、事例に取り上げた生産設備のようなBtoBビジネスと
家電のようなBtoCビジネスに分けて、それぞれの一般的な購買シーンに対する
要求特性や事業特性等の違いを考察したいと思います。なお、以下では品質Q、価格C、
納期Dの3点に絞って比較します。

まず対象顧客の比較ですが、BtoBは法人顧客で、BtoCの一般消費者に比べると数は
限定され、しかも1顧客当たりの購入金額は高額になります。この購入金額は要求特性に
影響を与えます。
高額を支払う法人顧客は、自分の要求にマッチしたものを買いたいという思いが強くなり、
要求仕様が高度化するとともに、「品質Q」と「価格C」のバランスであるコストパフォーマンス
の高さも要求します。
20140716_12.jpg
それでは「納期D」の要求度は低いのかというと、生産設備ではそうではありません。
生産設備の稼働スケジュールが決まっており、それを遅らせることは顧客のビジネスの
成否を左右するので、納期遵守は前提条件、即ちコストパフォーマンス以上に最優先の
要求なのが一般的です。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その5】

■「設計品質」を顧客までお届けするための部門間連携

前回述べた3つのポイントを実践することで、「設計品質」の向上や安定化は
実現できますが、顧客が評価するのは実際にその商品を活用した時の品質です。
顧客から高評価を得て、リピート受注に結び付けるためには、設計通りに、
「①製品を確実に生産すること」、そして「②顧客の生産現場に確実に据え付けること」
が必要になります。

それらを実現するためには何をすべきでしょうか。大きく分けて、次の2つの方向が
あるのではないでしょうか。

●設計を受け取った各部門内の取組み
→設計通りに、生産・据付を実現できるように、作業標準化する。
→その作業標準通りに実行できるように、教育を行う。
●設計を受け取った各部門と設計部門との連携の取組み
→設計を受け取った各部門が作業を行い易いような設計(製品構造)にする。
即ち、組立性・検査性・物流性・メンテナンス性などを考慮した設計にする。
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前者は取組みやすい半面、狙える品質水準には限界があります。即ち、設計時に
作り込んだ品質水準は超えられず、この水準を確実に達成できるようにするための
取組みと言えます。従って、より高い品質水準を実現しようと思うと、後者を実践する
ことが重要です。
しかし、なかなか実現できていない企業が多いのが実情ではないでしょうか。
開発期間も短縮化傾向にある中で、開発設計段階で組立性・検査性・物流性・
メンテナンス性まで考慮した設計をするのは難しいのが現実でしょう。現実的な
解決策としては、商品のマイナーチェンジの際に、組立性・検査性・メンテナンス性の
向上を開発目標の一つに挙げることが考えられます。その成果は、メジャーチェンジの
時にも引き継がれることも考えると、大変重要だと思います。
20140716_10.jpg
届いた商品を顧客が活用するときの品質は、仕様決定から始まるサプライチェーンの
全体に亘って作り込まれた結果であり、それは事業を成功に導く要因の一つです。
このことを肝に命じて、継続的に高品質を顧客に提供できる仕組みを構築することが
必要ではないでしょうか。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その4】

勉強会・教育の場の設定により、設計審査項目も充実するでしょうし、その項目の
チェック度合いも上がることが期待できますが、更にそれらを定着させるための
仕掛けがあるとなおよいのではないでしょうか。設計が標準化しにくい業務である以上、
設計技術の多くは設計者にくっついており、設計者から設計者にOJTを通じて、継承
していくほかありません。
20140716_7.jpg
これに着目して、設計マイスターを設置することを推奨させて頂きます。
設計マイスターは、設計者からの日々の相談に対応するとともに、設計審査項目の
見直しや勉強会の企画などを行う役割を果たします。設計審査者の役割を果たしても
よいのですが、第3者による審査という観点を重視したいならば、設計審査者を別に
設置した方が良いように思います。

以上から、「設計品質の向上」のための3つのポイント(以下参照)が見えてきました。

●設計審査(デザインレビュー)制度
目的:水際で設計審査を確保する。
特性:設計者及び設計審査者の技術力(過去の設計経験)に依存する。
概要:過去の代表的な設計ミスに基づく設計審査項目を用いて、審査する。

●勉強会・教育の場
目的:設計部門全体の設計水準を底上げする。
特性:過去の設計ミスを、設計者個々人の経験でなく、組織としての経験にする。
概要:過去の設計ミスを設計審査前に防止する改善策を、組織で検討する。

●設計マイスター設置
目的:設計ミスの防止の仕掛けを定着化させる。
特性:設計者ごとの技術力の違いを埋めることで、組織の設計技術力を向上させる。
概要:設計マイスターと設計者のコミュニケーションの中で、設計技術を継承する。
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上記の3つのポイントを有機的に結び付けて、組織としての設計技術力を高めることも
重要だと思います。例えば、設計マイスターが設計者からの相談を受けた時に、その
重要度を判断して、設計審査項目の充実を図る、あるいは勉強会で相談内容を
組織として議論する場を設ける、などにより連携性が生れ、設計技術力の向上には
効果的であると考えます。

ここまでは、設計プロセスを確認した上で、「設計品質の向上」のための3つのポイントを
ご紹介しました。次回からは、設計品質のみならず、顧客に届くまでのサプライチェーン内で
の各プロセスで作り込まれる品質をどのように安定化させればよいかを考察するとともに、
事業成功における高品質の重要性をビジネス特性ごとに明確にします。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

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