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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その3】

■「設計品質の向上」のための3つのポイント

設計プロセスを把握したところで、その設計品質を向上、あるいは安定化させるための
ポイントをご紹介したいと思います。

前述したように、設計作業が「①目指す姿を明確にする創造的な業務」であり、
「②標準化しにくい業務」である中で、設計品質を組織的に向上させるためには、
何に着目し、何を規定すればよいのでしょうか。
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設計品質のために、どの会社も実施している仕掛けとして、「設計審査(デザイン
レビュー)制度」があるでしょう。この制度は、複数の目で設計を見ることにより、
設計者が見落としている設計ミスを発見し、水際で設計品質を確保しようというものです。
審査があるからこそ設計者は設計ミスがないかを注意深くチェックします。また他人に
設計を説明する中で、自分の設計を冷静に見つめ直すことができ、設計不足の点を
発見することもあるでしょう。
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「設計審査制度」は設計品質を確保する最後の砦として、なくてはならいものですが、
この制度には設計者及び設計審査者の技術力(過去の設計経験)に依存するという
欠点があります。それを補うために、過去の設計ミスに基づいて設定された設計審査
項目があるかと思いますが、各項目のチェック度合い(どの項目が重要であるか、
その重要項目のチェックをどこまでのことを想定してチェックするか、等)となると、
やはり活用する人の過去の経験に依存してしまいがちです。生産設備系の設計の
ように、案件ごとに設計が大きく異なる場合には、尚更チェックにバラツキが発生
してしまうのではないかと推察いたします。

そこで必要なのは、過去の代表的な設計ミスを生々しく共有した上で、その設計ミスを
なくす対策を考えるための勉強会・教育の場ではないでしょうか。「設計審査制度」が
設計品質の"維持"のための仕掛けであるのに対し、これは各設計者の設計品質の
"向上"に繋がる取組みです。
設計部門全体の設計水準を"底上げ"する取組みとも言い換えられます。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その2】

■生産設備系の設計プロセスの実態

設計品質の向上の議論を始める前に、顧客要求を把握して、後工程に設計を渡すまで
の設計プロセスを確認するところから始めたいと思います。

生産設備を購入する顧客には、それを使って生産したい商品があり、またその生産工程
が達成すべき目標水準もあります。
20140716_3.jpg
それらに基づいて、要求仕様が作成されます。その要求仕様を把握するところから、
設計プロセスは始まります。要求仕様が把握できると、基本設計を行い、引き続いて
詳細設計を行います。その過程で作られる製品仕様書や図面を用いて、適宜顧客と
要求仕様の充足度を確認することになります。

要求仕様が充足できた製品仕様書や図面に基づいて、部品等の購入仕様書が
作成され、必要に応じて試作が行われます。その評価を経て、製品仕様・図面・
部品購入仕様が確定され、生産部門に部品表や組立マニュアルなどの製造関連
情報が、また現場据付部門に製品構成図や操作マニュアルなどの据付関連情報が
引き渡されて、設計は基本的には完了します。
ただし、その後の試運転時に、トラブル対応のために設計者が関与することも
あります。
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●設計基本プロセス
要求仕様の把握 → 基本設計(製品仕様書) → 詳細設計(図面・部品購入仕様書)
→ (必要に応じて)試作品製作と評価製造関連情報作成(部品表・組立マニュアル等)
→ 据付関連情報(製品構成図・操作マニュアル等)
(※上記プロセスにおいて、適宜顧客と要求仕様の充足度を確認する)

●トラブルシュートプロセス
据付時の試運転で発生したトラブルの対応
(※据付時において、現物を見ながら顧客と要求仕様の充足度を確認する)

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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「設計品質の向上」のための3つのポイントとその重要性【7連載:その1】

顧客に提供する価値の主要なものとして、高品質・低価格・短納期がありますが、
今回は品質、その中でも設計品質に焦点を当てたいと思います。
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製造業でも、建築業・土木業でも、「設計品質の向上」という課題に取り組まれて
いる企業は多いのではないでしょうか。工場での生産作業やオフィスでの事務作業
と異なり、設計作業は創造的で、標準化しにくい作業であるために、設計品質を向上
したり、安定化させたりするのが難しいのが実情でしょう。

●設計品質の向上を難しくしている要素
・設計では目指すべき形が明確でなく、それを決定する作業(創造的作業)である。
・標準化しにくい作業(非定型作業)である。

設計作業は品質を向上させるのが難しい一方で、完成した製品・建築物の品質を大きく
左右する、重要な作業でもあります。生産時や施工時の作業に品質が損なわれることも
ありますが、そのようなトラブルが発生しなかったとしても、設計時に作り込んだ品質以上
になることはありません。このことを考えても、顧客に高品質を提供しようと思うと、
上流の設計品質を向上させることが、まず最初に行うべきであることが分かります。
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上記のような観点から、今回は設計品質に着目して、その向上・安定化のために、
どんなポイントがあるかをご紹介致します。そのポイントをよりイメージを持って
理解してもらうために、特定の事例を設定したいと思います。顧客の要求を把握した上
で受注ごとに一から設計することになる、生産設備系の設計事例を取り上げます。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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捕らぬ狸の皮算用 ~頑張れ、サッカー日本代表!~

開催中のFIFAワールドカップブラジル大会も残る試合は僅か、大詰めとなりました。
ご存知の通り、残念ながら日本代表は最下位でグループリーグ敗退となりました。選手、監督、スタッフのみなさんお疲れ様でした。
しかしながら、チームの戦績だけでなく、日本代表チームを支える日本サッカー協会も残念なことになっているようです。
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それほど大きくは取り上げられなかったようですが、日本代表チームが一次リーグを戦っているさなかに、日本サッカー協会が2014年度の予算を今大会でベスト8に入った場合に獲得できる賞金額で策定していたため、一次リーグで敗退してしまった場合は赤字に陥るかもしれない…というニュースが流れたのです。

結果は、協会関係者が恐れていた(?)一次リーグ敗退となり、協会が得られるのは目論んでいたベスト8の賞金額1400万ドル(日本円で約14億円)より大幅に少ない800万ドル(日本円で約8億円)となってしまいました。当初予算では、約4億円の黒字となるはずだったので、単純に計算すると約2億円の赤字になってしまいます。協会側は、ベスト8に届かなかった場合は以後の事業で節減努力する、と話したようですが…。

これは、予算を最初から最低限の賞金額で策定し、オプションとして予選突破した時の使い道を考えておけば何の問題もなかった話ですね。
勝利にはその時々の運・不運が影響することもあるかもしれませんが、それらも含めてあらゆることを想定し、且つ、自国の代表チームの実力をきっちり見極めておき、虚構に惑わされずに実力をつけるという、肝心なところが疎かになってしまっていたのではないかと思わずにはいられません。
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このサッカー協会は、まさしく『捕らぬ狸の皮算用』を地で行ってしまいました。この姿は、販売計画を積み上げたことや目標を高く設定したことに満足し、具体的な策を講じない企業と重なってしまいます。このようなことにならないように、謙虚な姿勢で“見極め”と“検証”を怠らないようにしたいものです。

日本サッカー協会には、この失敗を糧とできるよう、この結果を検証(戦犯探しではなく)し、地に足をつけて、さらなる高みを目指して欲しいですね。

(おわり)

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選択と集中【後編】

この物流企業の役員の言葉を借りるならば、「選択と集中」という言い方をされた。
『そもそも事業活動の中で「選択と集中」ということで、ビジネス戦略を立案する
企業が多いが、本質的な選択と集中を行っている企業は少ない。多くの企業は、
単にビジネスの「優先付け」をしているだけだ。』という話を付け加えられた。

この時、思った。事業戦略も日々の5S活動に代表される改善と同じで、要るものと
要らないものに分け、要らないものを捨てる勇気がないと「選択と集中」には
ならない・・・と。
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事業戦略を立案することに頭を抱えるのではなく、極めて基本的な考え方に立ち返り
自社のビジネスにとって、得意なこと、技術力のあること、高い品質が提供できること、
低コストでオペレーションできること、・・・に絞って要るものを決め、それ以外を捨てる、
やめるという仕分けができなければ、いつまで経っても「選択と集中」は実現できない
だろうと思う。

この物流企業は、グループの物流として長年培ってきたノウハウを活かした事業
のみ継続して、他の事業領域をやめたということである。結果、外販比率が今では、
50%を超える勢いになり、確実に収益の拡大を実現している。
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事業戦略を立案する際も、基本に立ち返り、自社のビジネスの5S活動から
行ってみてはいかがでしょうか?

(おわり)

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経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

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