家電王国崩壊の序章【4連載:その2】
現役時代の80年代後半、新しく建設した設備部品工場で生産管理と外注担当を任されていたが、バブルの煽りを受けて量産設備部品の注文が殺到してその対応に追われた。国内需要が旺盛といわれていたこの頃、販路を海外市場へ展開する発想は形だけで未成熟であった。では、一体どこの・だれが、これほどの電器製品を買うのか?という疑問が常に頭をよぎりながら歯を食いしばって仕事をこなしてきたが、にも関わらず部門収支は改善しない。

というのも新しく建設した工場は必要以上の贅沢なスペックで企画構想化され、当時注目されていたCIM(Computer Integrated Manufacturing)などの過度な設備投資の負担が重くのしかかり、実力とは程遠い無理な受注量をこなさないと損益分岐点に到達しない収益構造になっていた。
なぜこのような工場建設に至ったのかを上層部や労働組合幹部から聞いてみると、数十年前から工場用地は確保したものの、進出する事業所がなく、行政から催促されて私たちの職場に白羽の矢があたったそうである。そもそも事業所を拡大したり移転する必要性は皆無にも関わらず社内のパワーバランスで決定されたという経緯らしい。
到底達成できない肥大化した事業計画に職場全体が半ばあきらめ始めた時期と重なって、当然原価低減も余儀なくされたので近隣の商社から中国のサプライヤを紹介してもらい、外注コストが半減する施策を試行してみた。

しかし、当時の中国のモノづくりは「形状モノマネ=寸法精度はデタラメ」で、現在のような品質は到底確保できず苦戦の連続。トライ・アンド・エラーを繰り返し、なんとか使えるものは使おうとしたが、今度は今まで取引していた地元サプライヤが政治的手段や様々な牽制を入れてきたため結局採用は見送られることになった。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
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というのも新しく建設した工場は必要以上の贅沢なスペックで企画構想化され、当時注目されていたCIM(Computer Integrated Manufacturing)などの過度な設備投資の負担が重くのしかかり、実力とは程遠い無理な受注量をこなさないと損益分岐点に到達しない収益構造になっていた。
なぜこのような工場建設に至ったのかを上層部や労働組合幹部から聞いてみると、数十年前から工場用地は確保したものの、進出する事業所がなく、行政から催促されて私たちの職場に白羽の矢があたったそうである。そもそも事業所を拡大したり移転する必要性は皆無にも関わらず社内のパワーバランスで決定されたという経緯らしい。
到底達成できない肥大化した事業計画に職場全体が半ばあきらめ始めた時期と重なって、当然原価低減も余儀なくされたので近隣の商社から中国のサプライヤを紹介してもらい、外注コストが半減する施策を試行してみた。

しかし、当時の中国のモノづくりは「形状モノマネ=寸法精度はデタラメ」で、現在のような品質は到底確保できず苦戦の連続。トライ・アンド・エラーを繰り返し、なんとか使えるものは使おうとしたが、今度は今まで取引していた地元サプライヤが政治的手段や様々な牽制を入れてきたため結局採用は見送られることになった。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
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家電王国崩壊の序章【4連載:その1】
大阪で生まれ育ち地元の家電メーカーに勤めていた経験のある私にとって、なんとも残念でならないパナソニック、シャープの状況は国内経済へ影を落とす大事件といっても過言ではない。
つい数年前、地元ではシャープの亀山工場や堺工場(堺コンビナート)、パナソニックの尼崎プラズマデスプレイ工場や姫路液晶デスプレイ工場等の超大規模投資に活況を呈していたが、想像した通り急速な低迷が現実のものとなってしまった感がある。
ソニーを含めAV機器を主力商品とした家電メーカーがなぜ次々と時代に取り残されていくのか業界に直接関わってきた経験から推測すると、グルーバル化といいながら海外展開はいまだ国内市場の延長にあると考えがちな国内拠点への過度な投資。

失敗から学ぼうとしない・というか真に経験していないことは理解しきれない・という経験不足による危機管理への洞察力・対応力の弱さ。経営層、ミドル層や現場末端に至る従業員(国民全体であるが)が裕福になり現状に満足してしまって成長を求めなくなっている企業風土・社会風土等が根底にあるように思える。これらの兆候は20年以上前からも現場で散見されており、危機意識はあるものの行動せずに放置してきた歴史の結果と思われる。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
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ソニーを含めAV機器を主力商品とした家電メーカーがなぜ次々と時代に取り残されていくのか業界に直接関わってきた経験から推測すると、グルーバル化といいながら海外展開はいまだ国内市場の延長にあると考えがちな国内拠点への過度な投資。

失敗から学ぼうとしない・というか真に経験していないことは理解しきれない・という経験不足による危機管理への洞察力・対応力の弱さ。経営層、ミドル層や現場末端に至る従業員(国民全体であるが)が裕福になり現状に満足してしまって成長を求めなくなっている企業風土・社会風土等が根底にあるように思える。これらの兆候は20年以上前からも現場で散見されており、危機意識はあるものの行動せずに放置してきた歴史の結果と思われる。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
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サプライヤと付き合う理由を再点検しよう【6連載:その6(最終回)】
■最後に
これまで、工事の調達における、地元企業の優位性を説明しましたが、国土交通省も公共事業において地元企業を重視した契約方式「地域維持型契約方式」を提唱しています。

地域維持型契約方式の導入について
http://www.mlit.go.jp/common/000171606.pdf
地域維持型契約方式の活用に向けて
http://www.mlit.go.jp/common/000170061.pdf
「地域社会の維持に不可欠な最低限の維持管理等が将来にわたって持続的に行われるようにするために、入札制度においても地域建設企業の確保に資する工夫が必要」との認識から始まっています。
具体的な施策としては、複数の業務の一括契約、あるいは複数年契約が挙げられています。
サプライヤの形態に関しても、個々の企業ではなく、複数の地元企業が集まった建設共同企業体(JV)などを推奨しています。

日本国内の少子高齢化、そしてグローバル競争化に伴い、日本国内の公共事業を始めとする建設・施工業界も変化を求められています。発注者もこのような環境の変化を考慮しながら、「高品質・低価格・短納期でモノや工事を調達するために、どんな手を打つべきか」をサプライヤと一緒に真剣に考えるべきときが来たのではないでしょうか。
(おわり)
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地域維持型契約方式の導入について
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地域維持型契約方式の活用に向けて
http://www.mlit.go.jp/common/000170061.pdf
「地域社会の維持に不可欠な最低限の維持管理等が将来にわたって持続的に行われるようにするために、入札制度においても地域建設企業の確保に資する工夫が必要」との認識から始まっています。
具体的な施策としては、複数の業務の一括契約、あるいは複数年契約が挙げられています。
サプライヤの形態に関しても、個々の企業ではなく、複数の地元企業が集まった建設共同企業体(JV)などを推奨しています。

日本国内の少子高齢化、そしてグローバル競争化に伴い、日本国内の公共事業を始めとする建設・施工業界も変化を求められています。発注者もこのような環境の変化を考慮しながら、「高品質・低価格・短納期でモノや工事を調達するために、どんな手を打つべきか」をサプライヤと一緒に真剣に考えるべきときが来たのではないでしょうか。
(おわり)
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サプライヤと付き合う理由を再点検しよう【6連載:その5】
■調達戦略の立案のポイント
これまで、モノの調達戦略と工事の調達戦略の一例を説明してきました。どんな調達戦略を立てるかも重要ですが、どのように調達戦略を立案するかも、負けず劣らず重要ではないかと考えます。
筆者は技術部門と調達部門が顔を付き合わせて、トコトン目指すべき調達戦略を議論すること、それぞれ見方の異なる2部門が議論することが戦略立案時に重要と考えます。

技術部門は、モノ品質・工事品質・サプライヤの技術力などの観点を中心に、サプライヤを評価します。一方、調達部門は、コスト・納期を中心に、サプライヤを評価します。
それぞれ見方の異なる2部門が議論するからこそ、全体最適解が発見できるのではないでしょうか。
ところで、技術部門と調達部門が共同で評価すべき観点もあります。例えば、調達の安定性です。
品質面・技術面から安定性を技術部門は気にしていますし、コスト面から安定性を調達部門は気にしています。

前出の工事の調達の考察では、まさしく調達の安定性を重要視しています。地元企業への継続的な発注で品質の安定性を、負荷の平準化や複数年契約などで、コストの安定性を狙っています。これらの安定性のバランスを取るをためにも、技術部門と調達部門の協力体制はなくてはならないと言えるのではないでしょうか。
調達戦略を立案するときに、評価指標を設定することも重要です。議論して設定した調達戦略が実際に有効に機能しているかを定期的に測定しないと、適切なタイミングで、適切な手を打つことができません。それは結果として、調達が絵に書いた餅になってしまうことを意味します。
調達戦略を立案したことで安心することなく、その実効性を常に監視することで、確実に経営効率化に貢献することをお奨めします。
<調達戦略立案のポイント>
◆技術部門と調達部門が一緒になって、事業戦略に基づきながら、目指す調達戦略を議論する。
◆技術部門と調達部門が共同で評価すべき観点も盛り込む。
◆調達戦略の実効性を、評価指標の設定と測定で、常に監視する。
(次回へ続きます。お楽しみに!)
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これまで、モノの調達戦略と工事の調達戦略の一例を説明してきました。どんな調達戦略を立てるかも重要ですが、どのように調達戦略を立案するかも、負けず劣らず重要ではないかと考えます。
筆者は技術部門と調達部門が顔を付き合わせて、トコトン目指すべき調達戦略を議論すること、それぞれ見方の異なる2部門が議論することが戦略立案時に重要と考えます。

技術部門は、モノ品質・工事品質・サプライヤの技術力などの観点を中心に、サプライヤを評価します。一方、調達部門は、コスト・納期を中心に、サプライヤを評価します。
それぞれ見方の異なる2部門が議論するからこそ、全体最適解が発見できるのではないでしょうか。
ところで、技術部門と調達部門が共同で評価すべき観点もあります。例えば、調達の安定性です。
品質面・技術面から安定性を技術部門は気にしていますし、コスト面から安定性を調達部門は気にしています。

前出の工事の調達の考察では、まさしく調達の安定性を重要視しています。地元企業への継続的な発注で品質の安定性を、負荷の平準化や複数年契約などで、コストの安定性を狙っています。これらの安定性のバランスを取るをためにも、技術部門と調達部門の協力体制はなくてはならないと言えるのではないでしょうか。
調達戦略を立案するときに、評価指標を設定することも重要です。議論して設定した調達戦略が実際に有効に機能しているかを定期的に測定しないと、適切なタイミングで、適切な手を打つことができません。それは結果として、調達が絵に書いた餅になってしまうことを意味します。
調達戦略を立案したことで安心することなく、その実効性を常に監視することで、確実に経営効率化に貢献することをお奨めします。
<調達戦略立案のポイント>
◆技術部門と調達部門が一緒になって、事業戦略に基づきながら、目指す調達戦略を議論する。
◆技術部門と調達部門が共同で評価すべき観点も盛り込む。
◆調達戦略の実効性を、評価指標の設定と測定で、常に監視する。
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