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業務の改革・改善を進めるのに、トップダウン、ボトムアップのどちらが有効か【後編】

前回は、改革・改善活動を実施している企業の事例を見ていきました。

今回は、事例から、業務の改革・改善活動を実施するにあたってのポイントを挙げてみます。

①「シンプル」で「整合性」のある方針を示す

トップは、「シンプル」で「整合性」のある方針を示すべきです。トヨタ自動車は、「必要なものを・必要な時に・必要なだけものをとどける」という、「ジャスト・イン・タイム」の方針に従って現場が改善活動を継続した結果、トヨタ生産方式をつくりあげました。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20111216144434
また、かつてデルは、パソコンを「最小限の在庫を持ち、直販で、受注生産する」という、シンプルな方針を実現することで成功しました。

②改革・改善を実施する風土をつくる

ボトムアップで改革・改善活動を進めるには、現場に改革・改善活動を実施する風土が必要です。トヨタ自動車では、「改善」を実施する風土があるからこそ、現場が創意工夫を積み重ねてトヨタ生産方式をつくりあげることができました。「改善」する風土がないままに、トヨタ生産方式を形だけ導入してもうまくいかないことがほとんどです。あるトヨタ系企業の管理職の方は、自分の仕事は「現場が改善を実施し易くする環境づくりだ」と言っています。
改革・改善する風土を根付かせるには、会社として社員が改革・改善を実施するための「動機づけ」の仕組みが必要です。

③まずはやってみる

環境は常に変化しており、完璧な業務をあらかじめつくることはできません。
机上で完璧な業務をつくってから実施するのではなく、「まずはやってみる」ことが大切です。トヨタ自動車は、最終的な姿がどうなるか分からないまま、現場が試行錯誤してトヨタ生産方式をつくりあげています。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20111216144451
まずは改革・改善活動やってみて、必要に応じてやり方を変えていくという柔軟さが必要です。

(おわり)

本年のブログ更新は今回で終了です。本年もご愛読ありがとうございました。
なお、年明けは4日から更新予定です。変わらずご愛読いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、どうぞ良いお年をお迎えください!

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業務の改革・改善を進めるのに、トップダウン、ボトムアップのどちらが有効か【前編】

業務の改革・改善活動を進めるのには、リーダーからのトップダウンと現場からのボトムアップのどちらが有効でしょうか。トヨタ自動車がトヨタ生産方式を導入した経緯や、改革・改善活動を実施している企業の事例を見て考えてみたいと思います。

第一の事例として、輸送機器メーカーの事例を挙げてみます。
この企業の調達部門は、外資企業の傘下に入った後に、新しい調達戦略を作成しました。その調達戦略では、今まで系列メーカー中心に発注していた板金、鋳造等の外注部品の発注先を、系列に捉われることなく大胆に見直し、直接発注するメーカーの数を少なくするという方針を立てました。この方針に沿って新規発注先の見直しを進めた結果、実力のあるメーカーは他社からの受注を獲得してこの輸送機器メーカーの言うことを聞かなくなり、実力のないメーカーは売上が減った結果、経営状態が悪くなりました。結局、生産設備の移管を伴うような既存部品の発注先変更はできず、発注先を大胆に減らすという方針は達成できませんでした。この事例は、現場の事情をよく理解せぬままトップダウンで方針を決めてしまい、現場は先の展望を描くことができぬまま、中途半端に方針に従って業務を進めた結果失敗した例です。
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第二の事例として、娯楽製品メーカーの事例を挙げます。この企業では、トップダウンで生産・販売・在庫計画業務の情報システムを全社に導入して、業務プロセス改革を進めることにしました。現在、複数ある事業部のうち一つの事業部が活動を進めています。この事業部では情報システムを導入するのをいい機会と捉えて、事業部の現場部門のメンバーが中心となり、よりよい業務プロセスを実現しようと活動を進めています。
この企業では、まだ課題はあるものの、トップの方針に沿って、現場が自主的に活動を進めることができています。

第三の事例として、トヨタ自動車がトヨタ生産方式を導入していった事例を見てみます。「かんばん」に代表されるトヨタ生産方式は、トップの「ジャスト・イン・タイム」の方針を実現するために、現場のメンバーが30年近くに渡って改善活動を積み上げてつくりあげたものです。これはトップダウンとボトムアップがうまくかみあって成功したいい例でしょう。
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上記事例を見て分かるとおり、業務の改革・改善活動を進めるには、トップダウンの方針とボトムアップの活動の双方が必要です。トップダウンの方針がないと、各現場の活動がバラバラで全体の整合性がとれないものとなりかねず、ボトムアップの活動がないと、改革・改善活動を実際の業務に落としこむことができません。

次回は、事例から、業務の改革・改善活動を実施するにあたってのポイントを挙げてみます。
お楽しみに!

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ソーシャルロジスティクスに注目

突如として起った地震。私は家にいたが、その時、床が横に大きく揺れて積み上げてあった書類や本がドッと崩れた。落ち着けと自分を励ましながら古いラジオの電池を換えた。ラジオは東北地方を震源とするM8.8(やがて9.0に修正)という大地震を告げていた。
ソーシャルロジスティクスの出番だと咄嗟に思った。
3月11日以来、テレビは連日、この災害について報じた。ある町では津波による死者がまとまって見つかり、その数は日を追って増えていった。避難所では電気、水・ガス、ガソリン、灯油、食品、衣料、薬品のない生活を余儀なくされた。
情報がまったくないと嘆くのは被災者、自治体の担当者、医者達だけではなかった。地震から波及して起った原発事故の当事者である東電の社員さえ、状況がわからないと困惑していた。
物流の重要性が注目を浴びた。緊急的対応としてロジスティクスに関しては物の流れについての情報の収集・指示、食品などの緊急物資供給、瓦礫処理、道路・家屋・鉄道など補修のための機材や資材の整理・供給などがあった。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20111130145855
これらの活動は一つの企業というより組織化された複数の企業、自治体、それに人々を捲き込んだ社会的なシステムである。私はこれをソーシャルロジスティクスと位置づけた。
ソーシャルロジスティクスは、ビジネスや個人の生活のためのロジスティクスを支援するために、公的な機関あるいはそこから委託された組織が計画・運用するシステムで、物と人の流れとそれを運用するための情報、金の流れが対象となる。
重要性は指摘されながら、まだその設計方法は定まっていない。
私はかつてパレット・物流機器の標準化、港湾の高度機械化、消費者物流の約款改定、青果物流通の改善、築地市場の再整備、ハイパービルの計画などに関わった。そして最近ではチリ銅鉱山の落盤事故や日本の東日本大震災に遭遇した。特に災害によってはっきりしたのは、流れの最適化を考えるならソーシャルロジスティクスを物の流れにとどめずに人の流れもあわせて考えてはどうかということであった。避難も遺体の収容もロジスティクスとして扱うとよいのではないか。もちろん平時でも病院内の医師や患者の流れ、観光ツアーや通勤なども人の流れとして対象となる。
ソーシャルロジスティクスはビジネスの世界でも活動のグローバル化によって特に注目されるようになった。情報や物の移動が一つの企業の枠を越えて国境をまたいで行き交うようになったからである。そして、このレベルの戦略をもってビジネスを支援する必要がでてきている。
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宅配便は本来、人々の物の移動を支援するために生まれたパーソナルロジスティクスを支援するシステムであったが、企業が目をつけてこれを代行して実践しているソーシャルロジスティクスである。公機関が計画をしたというより、その広がりが社会的に多くの消費者を含んで、社会システムの一部となっているからだ。公益事業もソーシャルロジスティクスと密な関係にある。ソーシャルという使い方はこれからも新しい側面が見えてくるだろう。そしてビジネスとソーシャルの領域の区分がぼやけてくる。
最近、ミニブログなどのソーシャルメディアと連携したネット通販などはソーシャルコマースと呼ばれている。これも私のいったソーシャルロジスティクスとは少し性格が異なっている。
ロジスティクス以外にもソーシャルなシステムはこれからも新しい展開を見せるに違いないのである。注目していよう。

(おわり)

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伝統文化財保存の考え方からモノ作り技術技能継承の枠組みを学ぶ

少し時間は遡りますが5月に島根県出雲大社を訪れました。
出雲大社は“数々の試練を克服し国土経営の大業を成し結んだ「大国主大神」をお祀りする社”です。天照大神が造営を命じた本殿が延享元年(1744年)に造営され、古くから「天下無双の大廈(てんかむそうのたいか)」と称えられてきました。
たまたま訪れた5月6日に「平成の大遷宮」の本殿改修がおこなわれていて珍しいことに御本殿大屋根修理の現場を見学(というより拝観)することができました。
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神聖な場所ですので、ジーンズや短いスカート、サンダルやヒールの高い靴を履いている方は災いを払うことができないという理由で(だったと思いますが)場内に入ることは禁じられています。そもそもこのような文化財修理の現場へ立ち入ることはできないのですが、大社側は貴重な文化財修理のプロセスを公開することにより、広く一般に知ってもらい世代を通じて永続的に維持管理する世論・文化を構築することが狙いということをお聞きしました。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20111206141110
現場を拝見すると厳粛な雰囲気のもと宮大工やそれに準ずる職人が粛々と作業をされていたのですが、意外にも比較的若い方が従事されていることに驚きました。ここ数年、文化財保存の現場に遭遇する機会があり(平城京跡の第一次大極殿や姫路城)、現地説明員から文化財を修理・再建する宮大工の国内人員は100人に満たず、かなり限定的でやや閉鎖的な職業であることを聞きました。
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文化財修理の技能やノウハウは代々継承されてきたものと発掘した遺跡や古い文献等から手さぐりで再生したものを融合して構成されているそうです。宮大工の育成には、根気よく・粘り強く・諦めるわけにはいかず・継続して育成に取り組む必要があり関係者や棟梁の苦労は並大抵のものでないことを想像します。
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製造現場が海外へ移っていくにつれモノづくりに関わる国内人員も減少の一途を辿っています。技術・技能職の空洞化が製造業の構造問題として認識される今、伝統文化財を守る人材の育成方法はモノづくり人材育成の枠組みにも学ぶべきものがあるように感じます。

(おわり)

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経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

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