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計画社会の行動原理と協調社会の行動原理 4連載:その3

今回と次回は、協調社会型のものづくり現場が日本を復活させることについて述べていきたいと思います。

計画社会の行動原理は、企業内の効率を計算して設計された仕組みで、内向きになっています。何故内向かというと、計画社会では数値化されたものだけが対象だからです。顧客の思いや願いは数値化できません。
だから、顧客サービスは評価基準から抜け落ちてしまいます。
一方、協調社会の行動原理というのは、評価基準の第一は顧客サービスにあります。
後工程はお客様というトヨタのJITの考え方が、顧客サービス第一の考え方を代表しています。つまり、仕事の仕方を設計する時、社内の効率は二義的なことで、先ず顧客サービスを第一義にする外向きの考え方をするのが協調社会の本質なのです。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110815151826
顧客に対して強い立場にある企業ならともかく、顧客に対して弱い立場にある普通の企業にとって、計画社会の行動原理は机上の空論でしかありません。計画社会にあっては、現場の作業者は状況をみる目が備わっていないと考えますので、何でも決めた通り、即ちマニュアル通りに行動させようとします。しかし、協調社会にあっては、作業者には状況を見る目が備わっています。従って、マニュアル通りに行動させようとしても、変化する現場状況に合わせて、自分の目を優先させ、マニュアルに従いません。と言うより、マニュアルを必要としません。マニュアルを押し付ける必要はないのです。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110815151846
よくPlan、Do、Seeサイクルを廻せと言われます。これは計画社会の行動原理に基づくものです。一方、協調社会の行動原理は、DoとSeeのサイクルが基本です。もちろん、Planがあってはいけないということではないのですが、これはあくまでも目安に過ぎず、DoがPlanに拘束されるものではありません。
基本がDo→Seeのサイクルだから、時々刻々起こる想定外のことは、その時々で次のDoで反映される仕組みです。必然的に、協調社会の現場では、呼吸というものが意識され、それが相互で連携するように働くものです。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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計画社会の行動原理と協調社会の行動原理 4連載:その2

製造現場を知らない人は、製造現場は軍隊のように号令一下整然と行進するようなイメージを抱いています。もちろん、そういう製造現場が日本にも無いことは無いのですが、多くは違います。現場はそこら中で何か混乱が起きていて、それを何とかリカバリーしようと渦巻いているのが実態です。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110815151722
従ってモノを作っている人の頭は常にフル回転していて、この頭を休ませるとまた新しい混乱を作り出すので大変なのです。混乱が起こる原因は、自分たちのやり損ないであることもあるし、客先の無理難題であることもあります。現場に足を運べとか現場を知らないという時の「現場」とは、こういう様子のことを言うのです。決して、軍隊のような号令一下整然とした様子を言うのではありません。

二つの行動原理についてもう少し具体的に説明します。計画社会の行動原理というのは、実際に起こっている情報を月とか週とか日の単位で定期的に中央に集めて評価し、次に何をなすべきかという指令を中央から作業する人に出す仕組みです。
対して協調社会の行動原理は作業する人が周囲の状況を見て今自分が何をすべきかを判断して行動する仕組みです。協調社会の行動原理と計画社会の行動原理と、どちらが効率的と言えるのでしょうか。現場の人が状況に応じて自分が何をすべきかを判断する能力が鍛えられていれば間違いなく協調社会の行動原理の方が効率が良いと言えます。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110815151748
これは、統計的にも証明可能です。簡単に言いますと、計画社会にあっては、個々の仕事について平均能力で計画することはできません。不測の事態による遅れを加味して計画することがどうしても必要です。そうすると、例えば平均能力の90%位でしか計画できないのです(これも相当怪しいが)。計画段階で既に10%のロスを生ぜざるを得ないのです。対して、協調社会であれば、平均能力通りに仕事量を決めることができます。もし、不測の事態によって遅れが生じた場合でも、現場がその状況で最も良い方法でリカバリーするからです。現場は、ドラえもんのポケットのように、たくさんの回復手段を持っています。もちろん、選択を誤って事態をもっと悪くしてしまうこともあります。計画社会型の人はこれを最も嫌います。
とは言え、常時10%の効率ロスを生じさせている計画社会の行動原理より、協調社会の行動原理ははるかに効率が良いと言えます。

協調社会の行動原理が分からないと、トヨタのカンバン方式は理解できません。日本人は仕事では命令はしません。日本の伝統的社会においては、リーダーの仕事は命令するのではなく教えることにあります。
日本の現場は教える社会であり、欧米の命令する社会でなかったことこそが、日本の製造業を世界一に押し上げた、と私は考えます。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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計画社会の行動原理と協調社会の行動原理 4連載:その1

今回は、少し重いテーマについて触れてみたいと思います。
実はこのテーマ、かつて勤務していたメーカーで、私に何かと指導をしてくれた大学も同窓の10年先輩の方から学んだことです。当時スタッフ部門にいた私にとっては大変貴重な話でした。
きっかけは、とある工場の生産効率を高めようと製造スケジューリングシステムの開発導入を目論んだところ、そもそも現場の行動原理とは、について滔々と諭されたことを背景にしたものです。少しは私の脚色もありますが、しばらく前まで政府開発援助の一環でウズベキスタンにて生産管理を指導していらした尊敬する先輩の思想をお伝えしながら、ものづくり現場の力の源泉について考えてみたいと思います。
話が少し長くなるため、四回にわたり掲載させて戴くことをお許し下さい。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110815151612
今回は、その第一回です。表題のテーマから、工業立国となった日本の強さの本質について触れてみたいと思います。

世の中には頭の良い人は物事を決める仕事に就いて、そうでない人は決められたことに従う仕事に就くべきだと考える人が大勢います。
欧米人はほぼ全員がそういう考え方をします。従って、欧米人が考える国家の仕組みや企業の仕組みは全て同じ発想から出ています。
例えば、自由主義と共産主義は正反対の考え方として対立していますが、根本において相通ずるところがあります。それは、頭の良い人だけが計画することに加われるということです。繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110815151659
その他の人は計画したことに従わなければならないのです。これが計画社会の行動原理です。
一方、欧米の自由主義圏の考え方や共産主義圏の考え方と違って、日本の多くの製造業はこうは考えません。それぞれが周囲の状況を見て今自分が何をすべきかを判断し行動します。これが協調社会の行動原理です。

(次回へ続きます。お楽しみに!)

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何気なく使ってる言葉がムズカシイ

改善、改革のためには課題を顕在化すること、そして課題を抽出するためには目指す姿を共有化することが必要になります。
目指す姿を鮮明にするためには言葉の定義が有効なケースがあります。

例えば「計画」という言葉。

辞書によると、
『ある事を行うために、あらかじめ方法や順序などを考えること。またはその考えの内容。』
ただし、何か物足りない。スケジュール表を書いてりゃOK。
繧ケ繝ゥ繧、繝・_convert_20110722143832
ある人は
『ある事を行うためにあらかじめ実行可能性に裏付けされ、かつ最も効率良く行える方法や順序などを考えること。またはその考えの内容』としました。
なるほど、例えば生産計画であれば、調達の可能性や、製造部門の負荷能力バランスなどの実行可能性を検証されたものでなければ「計画」と呼べないことになります。
では我々の作っている計画は?実行可能性の検証は?
効率性の検討は?
ここからなすべき課題の議論が始まりそうです。

では「調達」とは?「品質」とは?「設計」とは?「管理」とは?
意外とムズカシイですね。
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普段何気なく使っている言葉をきちんと(かつ簡潔に)定義すること。
さまざま改善、改革のための、また、よりよい議論のためのひとつのヒントかもしれません。

(おわり)

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リスク発生時に顕在化するサプライチェーン・マネジメントSCMの成熟度 4連載:その4(最終回)

最終回の今回は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を行う上での強化の手順についてです。

■サプライチェーン・マネジメント(SCM)強化の手順■
前回、SCMの4つの柱をご紹介しましたが、ここではそれらを強化するための手順の一例をご説明します。

1.自社の保有しているプロセスパターンの種類を特定する
2.部門横断・企業横断で、プロセス全体を可視化する
3.顧客起点で、プロセスが具備すべき要件を明確にする
4.各部門・各企業が果たすべき役割、あるいは存在価値を設定する
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手順1.が必要な理由は、パターン毎にサプライチェーンの強化の方向性が違うからです。パターンを区分するときには、「需要特性」「製品特性」「生産特性」という3つの視点から特徴を整理することがポイントです。

手順2.では、パターン毎にサプライチェーンに係る部門や企業をすべて洗い出して、商品の流れのみならず、計画等の情報の流れも含めてプロセス全体を俯瞰します。
特に、各部門・企業が策定する計画の連携性を明らかにすることが重要です。

手順3.では、目的の1つである「顧客に提供する価値の最大化」を実現するためにも必要な手順です。顧客起点でニーズを明確化し、それを満足するためのプロセス要件を抽出します。顧客ニーズを品質Q、価格C、納期Dの視点から明らかにしながら「需要特性」を把握し、その上で「製品特性」や「生産特性」を最適化していくための要件を抽出することがポイントです。

手順4.は、手順3.の要件を実現するために、各部門・企業の役割を設定します。ここでは、できる限り顧客との距離を近づけるために、サプライチェーンを構成する部門・企業は少なくすることが重要です。構成要素の組織は、サプライチェーン内でどんな役割を果たすのか、なぜこの組織でないと駄目なのかを明らかにすることがポイントです。

■最後に■
ここまで、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の強化について述べてきましたが、SCMのレベルを阻害する外乱として需要変動を想定していました。
しかし、商品ライフサイクルが短期化している現在では、新製品の生産準備完了のタイミングもSCMのレベルを阻害する外乱と認識されるようになってきました。これはSCMの強化において、製品開発プロセスや商品企画・マーケティングプロセスも無視できなくなってきたことを表します。
そこで弊社JBCでは、サプライチェーンの概念を製品開発やマーケティングの領域にまで拡張して、「Xチェーン」という概念を提唱しています。(この概念を記述した「Xチェーン経営」(註)という本を出版しています)
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Xチェーンでは事業を「デマンドチェーン」「エンジニアリングチェーン」「サプライチェーン」そして「サービスチェーン」の4つから構成されると定義しています。
サプライチェーンなど個々のチェーンの最適化のみならず、チェーン間のロスまで低減することがポイントで、この両方を行って初めて、事業全体の最適化・効率化が達成されます。
是非、サプライチェーン・マネジメントの強化に留まらず、Xチェーン・マネジメントの強化に取組み、より大きな効果を享受して頂くきっかけになれば幸いです。

(おわり)

(註)「Xチェーン経営」 http://www.jbc-con.co.jp/books/books_xcm.html

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Author:日本ビジネスクリエイト
経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

【ホームページ】: http://www.jbc-con.co.jp/

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