リスク発生時に顕在化するサプライチェーン・マネジメントの成熟度 4連載:その3
前回までは、東日本大震災とリーマンショックで起きたことを整理して、サプライチェーン・マネジメント(SCM)には、「構造面」と「運用面」の2種類があり、両面を強化していくことが重要であることを述べました。
<サプライチェーン・マネジメントの2面性>
●サプライチェーン構造の管理:
サプライチェーン構造をどう構築すべきかを設計し、マネジメントすること
●サプライチェーン運用の管理:
既存のサプライチェーン構造を前提に、日々どのように運用すべきかを設計しマネジメントすること
↓
上記2つを管理することで、顧客に提供する価値の最大化と提供するまでに存在するリスクの最小化が実現できる

今回は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を行う上でのポイントをご説明致します。
■サプライチェーン・マネジメント(SCM)の4つの柱■
「サプライチェーン・マネジメントとは、顧客への価値提供プロセスを全体としてひとつのものと捉え直し、企業や組織の壁を越えて全体最適化を継続的に行ない、高収益をもたらす経営手法である」と、前回定義しました。
このとき、マネジメントする目的は、顧客へ提供する価値を最大化するとともにその提供プロセス上のリスクを最小化することす。
このようなSCMの目的を達成するためには、どんなポイントがあるでしょうか。
弊社JBCでは、以下のような4つの柱を設定しています。
<SCMの4つの柱>
●需要連動化 → 運用面のアプローチ
顧客が欲しいものを欲しい時に届けることで価値を最大化する
●スピード化 → 構造面のアプローチ
製品がサプライチェーンを通り抜ける速度を高めることで需要連動性を高める
●同期化 → 運用面のアプローチ
プロセス間のタイミングを合わせることで在庫リスクを低減する
●プロセス圧縮化 → 構造面のアプローチ
顧客との距離を縮めることで、需要連動性を高めるとともにリスク発生時の機能不全リスクを低減する

さらに、上記4つの柱を実現するためには何に気を付けるべきでしょうか。
「部門間・企業間のロス低減」「サプライチェーン内での計画の共有」「各部門・各企業の役割・存在価値の明確化」の3つであると考えています。
「部門間・企業間のロス低減」を実現することで、上記の『スピード化』や『同期化』を強化することができますし、「サプライチェーン内での計画の共有」を実現することで、『需要連動化』や『同期化』を強化することができます。
また「各部門・各企業の役割・存在価値の明確化」を実現すると、『プロセス圧縮化』や『スピード化』を強化することができます。
<SCM強化の方向性>
◆部門間・企業間のロス低減
→ 『スピード化』や『同期化』の強化に繋がる(運用面・構造面のアプローチ)
◆サプライチェーン内での計画の共有
→ 『需要連動化』や『同期化』の強化に繋がる(運用面のアプローチ)
◆各部門・各企業の役割・存在価値の明確化
→ 『プロセス圧縮化』や『スピード化』の強化に繋がる(構造面のアプローチ)
次回は最終回です。サプライチェーン・マネジメント(SCM)強化の手順をご説明します。
関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
<サプライチェーン・マネジメントの2面性>
●サプライチェーン構造の管理:
サプライチェーン構造をどう構築すべきかを設計し、マネジメントすること
●サプライチェーン運用の管理:
既存のサプライチェーン構造を前提に、日々どのように運用すべきかを設計しマネジメントすること
↓
上記2つを管理することで、顧客に提供する価値の最大化と提供するまでに存在するリスクの最小化が実現できる

今回は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を行う上でのポイントをご説明致します。
■サプライチェーン・マネジメント(SCM)の4つの柱■
「サプライチェーン・マネジメントとは、顧客への価値提供プロセスを全体としてひとつのものと捉え直し、企業や組織の壁を越えて全体最適化を継続的に行ない、高収益をもたらす経営手法である」と、前回定義しました。
このとき、マネジメントする目的は、顧客へ提供する価値を最大化するとともにその提供プロセス上のリスクを最小化することす。
このようなSCMの目的を達成するためには、どんなポイントがあるでしょうか。
弊社JBCでは、以下のような4つの柱を設定しています。
<SCMの4つの柱>
●需要連動化 → 運用面のアプローチ
顧客が欲しいものを欲しい時に届けることで価値を最大化する
●スピード化 → 構造面のアプローチ
製品がサプライチェーンを通り抜ける速度を高めることで需要連動性を高める
●同期化 → 運用面のアプローチ
プロセス間のタイミングを合わせることで在庫リスクを低減する
●プロセス圧縮化 → 構造面のアプローチ
顧客との距離を縮めることで、需要連動性を高めるとともにリスク発生時の機能不全リスクを低減する

さらに、上記4つの柱を実現するためには何に気を付けるべきでしょうか。
「部門間・企業間のロス低減」「サプライチェーン内での計画の共有」「各部門・各企業の役割・存在価値の明確化」の3つであると考えています。
「部門間・企業間のロス低減」を実現することで、上記の『スピード化』や『同期化』を強化することができますし、「サプライチェーン内での計画の共有」を実現することで、『需要連動化』や『同期化』を強化することができます。
また「各部門・各企業の役割・存在価値の明確化」を実現すると、『プロセス圧縮化』や『スピード化』を強化することができます。
<SCM強化の方向性>
◆部門間・企業間のロス低減
→ 『スピード化』や『同期化』の強化に繋がる(運用面・構造面のアプローチ)
◆サプライチェーン内での計画の共有
→ 『需要連動化』や『同期化』の強化に繋がる(運用面のアプローチ)
◆各部門・各企業の役割・存在価値の明確化
→ 『プロセス圧縮化』や『スピード化』の強化に繋がる(構造面のアプローチ)
次回は最終回です。サプライチェーン・マネジメント(SCM)強化の手順をご説明します。
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リスク発生時に顕在化するサプライチェーン・マネジメントSCMの成熟度 4連載:その2
前回は東日本大震災で顕在化した問題を整理してみました。
今回はリーマンショックで顕在化した問題の整理とSCMの二面性についてお話したいと思います。
■リーマンショックで顕在化した問題■
リーマンショックで起きたことを整理したいと思います。
自動車業界で前述したように、需給のバランスが崩れました。
米国をはじめ世界の購買意欲が低迷したにも関わらず、工場が生産し続けたために、ディーラーなど販売側に過剰在庫が積み上がりました。このような事態に陥った理由として、需要の低迷度合いが予測を上回ったこと、洋上に多くの在庫があったこと、及びその需要の実態をサプライチェーン内で充分共有できなかったこと等が挙げられるのではないでしょうか。

100年に一度の不況で、過去に経験がなかったため、需要予測は難しかったとは思いますが、業界によっては計画の共有をサプライヤなど上流、あるいは小売など下流に拡大するような改善は考えられるのではないでしょうか。
リーマンショックは、「如何に需要を高精度に予測すべきか、製販会議でどのように議論すべきか、そしてその結果をサプライチェーン内の関係者と如何に共有すべきか」という課題を我々に突き付けたように思います。
<リーマンショックで起きたこと>
●自動車業界など:
需要の低迷度合いを、製販協働で充分議論し、それを計画という形でサプライ チェーン内の関係者と共有できず、販売側に過剰在庫が積み上がった
■サプライチェーン・マネジメント(SCM)の2面性■
東日本大震災とリーマンショック、それぞれで起きたことを整理してみると、どちらの事象も、サプライチェーンに問題が発生して、売上減少へと繋がっている点では同じですが、問題の性質に違いがあるように思います。
東日本大震災では、「サプライチェーンの構造上の問題」が顕在化し、リーマンショックでは、既存のサプライチェーン構造を前提として、「サプライチェーンの運用の問題(特に、計画策定とその共有の問題)」が顕在化したと言えるのではないでしょうか。
上記から、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の2面性が見えてきます。
「サプライチェーン構造をどう構築すべきか」という観点からのSCMと、既存のサプライチェーン構造を前提に、「その構造を日々どう運用すべきか」という観点からのSCMの2種類です。

顧客のニーズに応じて、『製品、サービス、情報など』の価値を最大化し、最小のリスクでそれを提供し、利益を獲得するためには、「サプライチェーンの構造と運用の両面」をマネジメントしなければならないことを、上述した2つの出来事は再認識させてくれたように思えてなりません。
<サプライチェーン・マネジメントの2面性>
●サプライチェーン構造の管理:
サプライチェーン構造をどう構築すべきかを設計し、マネジメントすること
●サプライチェーン運用の管理:
既存のサプライチェーン構造を前提に、日々どのように運用すべきかを設計し、マネジメントすること
↓
上記2つを管理することで、顧客に提供する価値の最大化と提供するまでに存在するリスクの最小化が実現できる
次回は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を行う上でのポイントとその強化の手順ををご説明致します。
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今回はリーマンショックで顕在化した問題の整理とSCMの二面性についてお話したいと思います。
■リーマンショックで顕在化した問題■
リーマンショックで起きたことを整理したいと思います。
自動車業界で前述したように、需給のバランスが崩れました。
米国をはじめ世界の購買意欲が低迷したにも関わらず、工場が生産し続けたために、ディーラーなど販売側に過剰在庫が積み上がりました。このような事態に陥った理由として、需要の低迷度合いが予測を上回ったこと、洋上に多くの在庫があったこと、及びその需要の実態をサプライチェーン内で充分共有できなかったこと等が挙げられるのではないでしょうか。

100年に一度の不況で、過去に経験がなかったため、需要予測は難しかったとは思いますが、業界によっては計画の共有をサプライヤなど上流、あるいは小売など下流に拡大するような改善は考えられるのではないでしょうか。
リーマンショックは、「如何に需要を高精度に予測すべきか、製販会議でどのように議論すべきか、そしてその結果をサプライチェーン内の関係者と如何に共有すべきか」という課題を我々に突き付けたように思います。
<リーマンショックで起きたこと>
●自動車業界など:
需要の低迷度合いを、製販協働で充分議論し、それを計画という形でサプライ チェーン内の関係者と共有できず、販売側に過剰在庫が積み上がった
■サプライチェーン・マネジメント(SCM)の2面性■
東日本大震災とリーマンショック、それぞれで起きたことを整理してみると、どちらの事象も、サプライチェーンに問題が発生して、売上減少へと繋がっている点では同じですが、問題の性質に違いがあるように思います。
東日本大震災では、「サプライチェーンの構造上の問題」が顕在化し、リーマンショックでは、既存のサプライチェーン構造を前提として、「サプライチェーンの運用の問題(特に、計画策定とその共有の問題)」が顕在化したと言えるのではないでしょうか。
上記から、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の2面性が見えてきます。
「サプライチェーン構造をどう構築すべきか」という観点からのSCMと、既存のサプライチェーン構造を前提に、「その構造を日々どう運用すべきか」という観点からのSCMの2種類です。

顧客のニーズに応じて、『製品、サービス、情報など』の価値を最大化し、最小のリスクでそれを提供し、利益を獲得するためには、「サプライチェーンの構造と運用の両面」をマネジメントしなければならないことを、上述した2つの出来事は再認識させてくれたように思えてなりません。
<サプライチェーン・マネジメントの2面性>
●サプライチェーン構造の管理:
サプライチェーン構造をどう構築すべきかを設計し、マネジメントすること
●サプライチェーン運用の管理:
既存のサプライチェーン構造を前提に、日々どのように運用すべきかを設計し、マネジメントすること
↓
上記2つを管理することで、顧客に提供する価値の最大化と提供するまでに存在するリスクの最小化が実現できる
次回は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を行う上でのポイントとその強化の手順ををご説明致します。
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リスク発生時に顕在化するサプライチェーン・マネジメントSCMの成熟度 4連載:その1
東日本大震災から4ヶ月以上が経過しましたが、この度の震災をビジネスの視点から捉えなおすと、自動車産業をはじめ各業界で調達が滞りました。それが組立メーカーの生産停止に繋がり、ビジネスに大きな影響を与えました。
ビジネスに影響のあった出来事として、記憶に新しいものの一つに、リーマンショックがあります。この時も、自動車産業を中心に、各業界で打撃を受けました。具体的には、生産のブレーキが即座にきかず販売側に過剰在庫が積み上がり、その解消に何ヶ月も要しました。

このように、ビジネスには色々なリスクが存在し、そのリスクが一旦発生してしまうと、これまで見えていなかった問題が顕在化します。しかも、これらの問題は、お客さまに商品を届ける一連のプロセス、所謂サプライチェーンに多く発生するように、感じます。
そこで、今回はリスクが発生した時に、顕在化するサプライチェーン・マネジメント(SCM)の成熟度に焦点を当てて、考察してみたいと思います。
■サプライチェーン・マネジメントの定義■
既にご存じの方も多いかとは思いますが、サプライチェーン・マネジメントの定義をおさらいしておきます。
「サプライチェーンとは、顧客に『製品、サービス、情報』などの価値を提供するにあたり、原材料の供給者からお客様に至るプロセス全体のこと」です。
そして、サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは、サプライチェーン全体を最適化する経営手法のことです。全世界に向けて、SCMの啓蒙を行っているSupply Chain Councilという団体では、SCMを以下のように定義しています。
SCM=顧客への価値提供プロセス(サプライチェーン・プロセス)を全体としてひとつのものと捉え直し、企業や組織の壁を越えて全体最適化を継続的に行ない、高収益をもたらす経営手法
サプライチェーン・マネジメント(SCM)の定義を再確認したところで、SCMの重要性を改めて認識することになった東日本大震災とリーマンショックで発生した問題を整理して、比較してみたいと思います。
■東日本大震災で顕在化した問題■
まず今回の東日本大震災ですが、自動車業界を例にとれば、トヨタなどの自動車メーカーが部品を調達できず、生産できないという事態が発生しました。しかも国内工場のみならず、海外工場にも影響が出ました。
同じ部品を被災地以外から調達できれば問題はないのですが、それができないのが実態です。特定の部品で、調達先の選択肢が少なく、1社に依存していたことによる結果と言えるのではないでしょうか。
このように調達できなかった部品には、自動車部品に限らず、電車の部品や飲料瓶のラベルなども含まれています。電車の部品に関しては、間引き運転など日常生活にも影響が出ました。
このような状況は、逆から見れば、東北地方の企業が高度な技術を持っている証と捉えることもできます。
別の業界に目を向けてみます。例えば、水産加工業界では、魚介類を捕獲する漁師から加工品を販売するまでのすべてのサプライチェーンが機能不全に陥りました。インターネットが普及して、被災地であっても商品さえ入手できれば、販売できる環境が現在は整備されているにも関わらず、ビジネスができません。
これは地域密着型で特定地域にサプライチェーンを集約した結果と言えるのではないでしょうか。しかし、このようなリスクが発生する前は、同一地域に集約しているからこそ、より大きな経済効果を享受できていた訳で、諸刃の剣です。
上記から分かるように、東日本大震災は、サプライチェーンを構成する企業に関して課題を我々に突き付けているように感じます。「サプライチェーンに参加してもらう企業を、様々なリスクを考慮しながら、どう選定すべきか」という課題です。
<東日本大震災で起きたこと>
●自動車業界など:部品調達先が1社に依存していて、その企業の生産が止まると、最終組立も停止する
●水産加工業界など:サプライチェーンの多くが特定地域に集約
インターネットの普及で小売りは可能であるが、そこに至るサプライチェーン全体が機能不全に陥った
次回はリーマンショックで顕在化した問題とSCMの二面性について考察したいと思います。
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ビジネスに影響のあった出来事として、記憶に新しいものの一つに、リーマンショックがあります。この時も、自動車産業を中心に、各業界で打撃を受けました。具体的には、生産のブレーキが即座にきかず販売側に過剰在庫が積み上がり、その解消に何ヶ月も要しました。

このように、ビジネスには色々なリスクが存在し、そのリスクが一旦発生してしまうと、これまで見えていなかった問題が顕在化します。しかも、これらの問題は、お客さまに商品を届ける一連のプロセス、所謂サプライチェーンに多く発生するように、感じます。
そこで、今回はリスクが発生した時に、顕在化するサプライチェーン・マネジメント(SCM)の成熟度に焦点を当てて、考察してみたいと思います。
■サプライチェーン・マネジメントの定義■
既にご存じの方も多いかとは思いますが、サプライチェーン・マネジメントの定義をおさらいしておきます。
「サプライチェーンとは、顧客に『製品、サービス、情報』などの価値を提供するにあたり、原材料の供給者からお客様に至るプロセス全体のこと」です。
そして、サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは、サプライチェーン全体を最適化する経営手法のことです。全世界に向けて、SCMの啓蒙を行っているSupply Chain Councilという団体では、SCMを以下のように定義しています。
SCM=顧客への価値提供プロセス(サプライチェーン・プロセス)を全体としてひとつのものと捉え直し、企業や組織の壁を越えて全体最適化を継続的に行ない、高収益をもたらす経営手法
サプライチェーン・マネジメント(SCM)の定義を再確認したところで、SCMの重要性を改めて認識することになった東日本大震災とリーマンショックで発生した問題を整理して、比較してみたいと思います。
■東日本大震災で顕在化した問題■
まず今回の東日本大震災ですが、自動車業界を例にとれば、トヨタなどの自動車メーカーが部品を調達できず、生産できないという事態が発生しました。しかも国内工場のみならず、海外工場にも影響が出ました。
同じ部品を被災地以外から調達できれば問題はないのですが、それができないのが実態です。特定の部品で、調達先の選択肢が少なく、1社に依存していたことによる結果と言えるのではないでしょうか。
このように調達できなかった部品には、自動車部品に限らず、電車の部品や飲料瓶のラベルなども含まれています。電車の部品に関しては、間引き運転など日常生活にも影響が出ました。
このような状況は、逆から見れば、東北地方の企業が高度な技術を持っている証と捉えることもできます。

別の業界に目を向けてみます。例えば、水産加工業界では、魚介類を捕獲する漁師から加工品を販売するまでのすべてのサプライチェーンが機能不全に陥りました。インターネットが普及して、被災地であっても商品さえ入手できれば、販売できる環境が現在は整備されているにも関わらず、ビジネスができません。
これは地域密着型で特定地域にサプライチェーンを集約した結果と言えるのではないでしょうか。しかし、このようなリスクが発生する前は、同一地域に集約しているからこそ、より大きな経済効果を享受できていた訳で、諸刃の剣です。
上記から分かるように、東日本大震災は、サプライチェーンを構成する企業に関して課題を我々に突き付けているように感じます。「サプライチェーンに参加してもらう企業を、様々なリスクを考慮しながら、どう選定すべきか」という課題です。
<東日本大震災で起きたこと>
●自動車業界など:部品調達先が1社に依存していて、その企業の生産が止まると、最終組立も停止する
●水産加工業界など:サプライチェーンの多くが特定地域に集約
インターネットの普及で小売りは可能であるが、そこに至るサプライチェーン全体が機能不全に陥った
次回はリーマンショックで顕在化した問題とSCMの二面性について考察したいと思います。
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成功に導く改革のチームづくり 2連載:その2(最終回)
■改革活動を成功に導くために■
改革活動を成功させて、大きな成果に繋げるようとする場合の改革メンバーを選定するにあたり、改革責任者は、まず最初に、以下の4つのタイプの人間を見つけ出すことが、改革を成功に導く秘訣となるでしょう。
1.過去の古い体質や風土を否定して、ものごとに対して改革論理で斬新的な発想ができる「思想型人間」
2.事実とデータに基づいた分析により、裏付けのある論理的、かつ、知的な発想ができる「分析型人間」
3.論理的な裏付けとリスクに対する備えというバランス感覚で意思決定、改革をリードできる「推進型人間」
4.改革にあたって、「推進型人間」をサポートする若くて、フットワークの軽い行動力のある「行動型人間」

経験的に、「発想」・「分析」・「推進」・「行動」という、これら4つの個性(特性)をバランスよく兼ね備えたチーム編成がなされたときの、改革を推進するうえので総合力は極めて大きな牽引力を発揮するものです。
しかし、際立った個性のぶつかり合いのため、それぞれのバランスを崩れると、改革が空中分解する恐れも予測されるため、改革責任者はそれぞれのタイプに適合したコミュニケーションを図る必要があるでしょう。
外部のコンサルタントが短期的な面談を通して、十分なタイプ分析ができない場合が多いので、改革責任者が常日頃から、こうした人物分析をしておくことも必要になると考えます。
■改革による変化を受ける人間のフォロー■
改革メンバーが改革の実施に向けて推進する中、企業内のその他大勢の人間のなかには、基本的には改革を望むものの自分の立場に保険をかけてリスクを避けようとする「リスク保険型人間」や、変革願望が弱く改革の進み具合を見守る「中立型人間」、論理的ではなく感情的に改革を否定する「抵抗型人間」などが居ると言われています。このように、改革による変化を受ける人間のなかには、実際の改革活動において、抵抗勢力になることもありえます。
改革メンバーの人選もさることながら、改革メンバーによる改革推進の進捗に応じて、企業内の人間における改革の追従度を見ながら改革を実行することも忘れてはなりません。
■最後に■
実際の改革活動は、改革メンバーの人選がうまくいけば、必ず成功するという保証はありません。
改革活動をするにあたり、少しでも、戦力の高いメンバーを揃えて改革に臨むことが望ましいのは当然ですが、さらに、改革手法や改革プロセスの専門性、改革経験を持つコンサルタントの支援を加えることで、より効果的な成果を期待することができるのも事実です。
(おわり)
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改革活動を成功させて、大きな成果に繋げるようとする場合の改革メンバーを選定するにあたり、改革責任者は、まず最初に、以下の4つのタイプの人間を見つけ出すことが、改革を成功に導く秘訣となるでしょう。
1.過去の古い体質や風土を否定して、ものごとに対して改革論理で斬新的な発想ができる「思想型人間」
2.事実とデータに基づいた分析により、裏付けのある論理的、かつ、知的な発想ができる「分析型人間」
3.論理的な裏付けとリスクに対する備えというバランス感覚で意思決定、改革をリードできる「推進型人間」
4.改革にあたって、「推進型人間」をサポートする若くて、フットワークの軽い行動力のある「行動型人間」

経験的に、「発想」・「分析」・「推進」・「行動」という、これら4つの個性(特性)をバランスよく兼ね備えたチーム編成がなされたときの、改革を推進するうえので総合力は極めて大きな牽引力を発揮するものです。
しかし、際立った個性のぶつかり合いのため、それぞれのバランスを崩れると、改革が空中分解する恐れも予測されるため、改革責任者はそれぞれのタイプに適合したコミュニケーションを図る必要があるでしょう。
外部のコンサルタントが短期的な面談を通して、十分なタイプ分析ができない場合が多いので、改革責任者が常日頃から、こうした人物分析をしておくことも必要になると考えます。
■改革による変化を受ける人間のフォロー■
改革メンバーが改革の実施に向けて推進する中、企業内のその他大勢の人間のなかには、基本的には改革を望むものの自分の立場に保険をかけてリスクを避けようとする「リスク保険型人間」や、変革願望が弱く改革の進み具合を見守る「中立型人間」、論理的ではなく感情的に改革を否定する「抵抗型人間」などが居ると言われています。このように、改革による変化を受ける人間のなかには、実際の改革活動において、抵抗勢力になることもありえます。
改革メンバーの人選もさることながら、改革メンバーによる改革推進の進捗に応じて、企業内の人間における改革の追従度を見ながら改革を実行することも忘れてはなりません。

■最後に■
実際の改革活動は、改革メンバーの人選がうまくいけば、必ず成功するという保証はありません。
改革活動をするにあたり、少しでも、戦力の高いメンバーを揃えて改革に臨むことが望ましいのは当然ですが、さらに、改革手法や改革プロセスの専門性、改革経験を持つコンサルタントの支援を加えることで、より効果的な成果を期待することができるのも事実です。
(おわり)
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