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「ドラッカーとの対話 未来を読みきる力」 小林 薫 著 【3連載 最終回】

さらに深耕すべき項目として二点を感じている。一つは、企業が果たしてドラッカー思想を実行に移せるかどうかという点であり、二つには「良い会社とは」を深掘りして理解することの必要性である。
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ドラッカー思想には、キャピタリズムからキャピタルを取り除くという視点があり、これは人間主義をもって置き換えようというものである。確かに同意はできるものの、あまりにも綺麗過ぎるという気もする。なぜなら、企業は社会的責任を全うするためにも収益の確保が必須であり、これなくして自己犠牲の上では責任は全うできないからである。
 また変革するため、つまりジャンプするためには、一旦膝を曲げなければならない。このことは、変革にあたっては業績の落ち込みを覚悟しなければならないことを示す。常に効率向上を追求しつづけて疲弊した企業に、このような力が残っているのであろうか。これらに対するドゥハウを掴む必要性を感じている。
文中に「ドラッカー山脈」という言葉が出てくる。たしかにこれまでの業績を見ると山脈に相応しいものである。本書でドラッカー山脈のアウトラインは掴めるが、登山ガイドを読んだということに等しい。このガイドは、登山道のビューポイントや注意点が細部に亙って非常に分かり易く書かれており、また写真イメージで臨場感を増しているので、あたかも実際に登山したかのように感じてしまう。
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本書ではドラッカー山脈全体が語られているが、山脈を形成するビークのそれぞれが一つの山として語られるべき威厳と風貌を擁しているので、それら一つ一つに実際に自分の足で登り、自分の目で見て感じ、そして理解を深める必要がある。
おわり

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「ドラッカーとの対話 未来を読みきる力」 小林 薫 著 【3連載 その2】

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2.本書の論点
 本書の論点として、次の三点が特に注目すべき点である。
第一には「大局観・世界観を持つこと」である。現在は大きな変革期の渦中にある。それも200~300年に一度の大変革であり、100年程度のスパンを持つ長期的な変革でもある。ようやく50~60年経過したところだが、その変化は従来のような連続的なものではなく、これまでのあり方を根底から覆すような変化であると説かれている。
ドラッカー思想の根本は変革への対応であり、この変革に対応するには大局観・世界観を持つことが必須である。ドラッカー的大局観は、広く諸国に適応する経営学原理の確立という野心的なものであるが、我々はここまで広げなくても経営における大局観・世界観を持つことが、変化への対応の源になるものと考える。
このことは、単に企業が生き残るという意味のみでなく、より良い企業として存続するということに繋がるものである。効率を上げて収益を稼ぐだけが目的の企業であってはいけないという思いがひしひしと伝わってくる。
第ニには、「強みの上におのれを築け(Build on your own Strength)」である。ドラッカーの言葉の中で著者が学んだ第一に重要な点がこの言葉であるとのこと。
前述した変革への対応に関しても、自社の強みを認識してそれをより強固にすることが必要である。これまで身近に見てきた変革への対応(改革)は、細部に視点を当てて弱みを補強する「問題解決型」を中心にしていたが、強みをより伸張させる「ビジョン達成型」に重きを置かねばならないことが理解できる。これは名言録その九「問題解決を図るよりも、新しい機会に着目して創造せよ」に繋がっている。
企業のみならず個人においても、自分の強みを認識して行動すれば、より強くなれるのであろう。一方弱みと感じることでも、考え方や他者への訴求の仕方で強みに転換できることが認識された。
第三には、名言録その一にある「表の風に吹かれろ!」である。特に重要なことは、「会社組織の中にあるのはコストのみ」で、すべての機会とチャンスは外部にあるとしている。この意味でも、前述したように内部にフォーカスした「問題解決」ではなく、外部に視点を置いた「ビジョン達成」に力点を置かねばならないことが分かる。このことを理解して行動に移せる企業とそうでない企業で、盛衰が決まってくるのであろう。
 製造業で言えば、オペレーショナルな問題解決、すなわち在庫削減や製造リードタイムの短縮はもちろん大切ではあるが、そのような効率を上げることが第一義ではなく、それよりも市場に受け入れられる商品はいかなるものか、社会に受け入れられるのはどのような企業かを熟慮しなければならない。中小企業においても、下請に甘んじることなく商品の一つでも世に問うことで、表の風が吹き込んできて、市場の生の声が聞こえてくると考えられる。
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続きの「3.まとめ(最終回)」は,5月25日に掲載します。お楽しみに!

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「ドラッカーとの対話 未来を読みきる力」 小林 薫 著 【3連載 その1】

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1.本書の概要
 本書はドラッカーの経営哲学について、著者の小林薫氏(以後筆者)が40年に亙る交流に基づいた要点を、掻い摘んで分かり易く解説した本である。著者は40年前にフルブライト留学生として渡米した際、ドラッカー哲学に魅せられて押しかけ弟子になり、現在に至るまで毎年交流しているとのこと。
ドラッカーは、1909年にウィーンに生まれ、オーストラリアで育った。2005年11月11日95歳でこの世を去ったが経営学・社会生態学の第一線に影響を与え続けている超人・巨人である。
「現代の経営」「断絶の時代」「ポスト資本主義社会」をはじめ多数の著作を世に出し、セミナーやコンサルティングでも八面六臂の活躍をされ、今でもその総合力を活かして経営における「物見」の役割を担い続けている。
本書は、あとがきにあるように「ドラッカーの経済や経営、社会論の翻訳ではなく、著者の眼や耳というフィルターを通しての説明と分析」、「人間味溢れる実像とリンクさせて記述」、「ソースは如是我聞の記録」というところに特徴がある。
つまり、ドラッカー思想のサマリー的な紹介ではあるが、その奥深さを感じさせてくれ、かつドラッカー本人を身近に感じさせてくれるところが魅力となっている。文中にある「アナロジーに音楽の比喩が多いのは、彼が作曲家になりたかったからだ」は、実際に交流を深めたからこそ出てくる表現であろう。
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 企業の目的は何か、そのための企業運営はどうあるべきか、経営者はどう行動すべきか、より良い社会を作るにはどうすべきかなどのドラッカー思考のエッセンスが、筆者の言葉で明快に論じられている。
これまでドラッカーの著作(日本語訳)は、畏まった表現が多く多少取り付きにくい面があったが、本書では特に人間味という切り口での記述に溢れており、大いに親近感が増す。そして多くの情報のなかから物事の本質を捉えるための洞察力や先見性についての理解が深まる。

続きの「2.本書の論点」は,5月18日に掲載します。お楽しみに!

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【強い日本の復活を信じます!後編】

外部からCEOを招聘したこの2社の業績は、その後どうなったでしょうか。
IBMは売上高利益率を着実に上昇させ、安定した利益を出すようになりました。対して、HPの売上高利益率は変動が激しく赤字も経験し、フィオリーナは解任されることになりました。ガースナーは、IBMの状況を理解してその後にビジョンや戦略を決めるという、まず足元を固める着実な方法で成功したのです。
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3月11日に東日本で起きた大震災は、日本史上でも最大の危機であると思います。被災された方々には、心からお見舞いを申し上げます。福島第1原子力発電所では必死の対応が続いており、命をかけて対応されている方々には本当に頭が下がります。しかし、この震災は、日本人が誇りと自信を持つきっかけにもなっていると思います。災害に直面した方々が見せた冷静な対応と高いモラルは、世界に驚きと感銘を与えました。江戸時代に10万人以上の焼死者を出した明暦の大火のおりに、当時の指導者が「今回の大被害でも犯罪者が現れず、世間が平穏無事なこと以上に国の幸いはない」と言ったという記録があるそうです。日本には古くから、高いモラルが文化として根づいているようです。
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日本はバブルがはじけて以来「失われた20年」と言われ、景気に明るい兆しがなかなか見えない中で今回の震災に遭遇しました。しかしに日本は、第二次世界大戦や阪神大震災等の大災害からも、力強く復興してきた実績と経験があります。日本の企業は現在、アメリカのIT企業や、韓国の電機メーカーと比べると元気がないように見えます。しかし、日本の企業にはコツコツと地道に現場を鍛える能力あり、アメリカや韓国の企業にはない現場力強化のスキームがあるはずです。今一度、ここで冷静に自らの弱み・強みを見つめ、自信を持ち、足元を固めて着実に自らのできることにまい進することで、復興を成し遂げ、力強い日本が復活することを信じています。
<強い日本の復活を信じます!終り・・復活の担い手でもある私たちもガンバります!!>

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経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

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