fc2ブログ

【強い日本の復活を信じます!前編】

先日、芥川賞を受賞した西村賢太氏の小説、『苦役列車』を読みました。
主人公である北町貫多のダメな日常を描いた作品です。この貫多がとにかくダメな人間で、日雇い労働のその日暮らしをしているのですが、仕事に行くかどうかはその日の朝の気分しだい。現金が手に入ると、すぐに酒と風俗につぎ込んでしまい、家賃を滞納してアパートから追い出されるという生活です。
ところでこの小説は、9割は作者である西村賢太氏の実体験とのことです。
1
この小説が面白いのは、作者が貫多のダメな性格(実は自分の性格)を、とても冷静に語っているところです。普通であれば否定したくなるようなダメな性格や行動を描くことで、読者は自分のダメな部分に改めて気づかされ共感します。自らのダメな面を冷静に見るのは、ビジネスにおいてもとても大事なことだと思います。

次に、アメリカの代表的なIT企業であるHP(ヒューレット・パッカード)とIBMの対照的なCEOについて見てみます。
HPは20世紀末に成長が失速し、1999年に外部から招聘したカーリー・フィオリーナをCEOに選びました。フィオリーナは当時、とてもパワフルな女性経営者と評されており、地味で古いHPがスーパースターの女性経営者を迎えたことは、とても大きなニュースになりました。フィオリーナはHPのCEOに就任すると、積極的にメッセージを発信していきます。まずビジョンの策定を最優先事項とし、テレビ・コマーシャルに出演して会社が生まれ変わっていることを宣言し、劇的な事業転換を指導して、壮大なメッセージで部下を鼓舞しました。また、マスコミはこのスター経営者に注目して、世間の期待も高まりました。
2
一方IBMは業績の悪かった1993年に、やはり外部からルイス・ガースナーを招聘してCEOとしました。ガースナーはCEOに就任してフィオリーナとは対照的な行動をとります。ガースナーは、最優先事項として主要なポストに適切な人材を確実に配置しました。そして、既存の強みを活かすことを基本にして大量の定量分析を行い、IBMの状況を完全に理解するために3か月近い期間をかけました。また、こうも言っています。「たったいまIBMにもっとも必要ないもの、それはビジョンだ。」ガースナーが就任してからIBMの株価は下落し、世間のガースナーへの評価も厳しいものでした。
<続きは5月4日の後編をご覧ください!お楽しみに!!>

関連商品「事業構造改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
スポンサーサイト



【theme : 頑張りまっしょい!
【genre : ビジネス

業務効率化と内部統制強化の両立のポイント:4連載(最終回)

■事例にみる業務効率化と内部統制強化の両立

それでは、上記の考え方に基づいて、前回取り上げた住宅リフォーム企業で実践した改革活動をご紹介します。
7
まず、業務のパターン分けに関してですが、対象商品を軸に3つに分類しました。標準価格が存在して、業務をかなり標準化できる商品(パターン①)、見積段階で営業マンが工夫すること案件が成約する商品(パターン②)、大規模な案件で工期も長く、調達する部材も多い商品(パターン③)に分けました。そして、それぞれの業務パターンで、以下のようなコンセプトで業務を設計しました。

◆パターン①:
内部統制強化を重視して、ほとんどの業務を他部門に任せて、本来の営業活動と他部門の業務の実施チェックに専念する。(※営業マンの指示で他部門が実施できることが前提)
◆パターン②:
内部統制強化と業務効率化のバランスを取って、見積作成までは営業マンが実施するがそれ以降は、他部門に任せる。ただし、例外的として営業マンの発注も許可する。
◆パターン③:
最低限の内部統制を実現して、営業もする設計者が見積・発注を行い、仕入以降は他部門に任せる。発注項目も多く、発注内容の変更も多発するので、他部門に任せると効率が落ちる。

上記のコンセプトに従って、営業マンの情報システム上の登録権限を見積のみにし、他部門に依頼しないと案件が進まないようにしました。

●営業マンの情報システム上の登録権限は「見積」のみ

決裁プロセスに関しては、見積・受注・発注・仕入・売上の各登録が規定されていたのですが、必須の決裁を「受注」と「売上」に絞り込み、「見積」は一定の基準を設けて事後決裁を許容しました。発注・仕入の決裁は行われませんが、受注段階の内容からの小変更がほとんどですし、他部門が実施することから、不正を働きにくい環境を作っています。

●必須の決裁は「受注」と「売上」のみ

法令遵守に関しては、基本的には建設業法上の「注文書・請書のやり取り」を確実に行うことが内部統制上の要件でした。そこで、メーカーから発行される明細書に社印をもらうようにして、請書として取り扱えるようにしたり、注文書・請書の出力を情報システムの各登録と連動させて容易にやり取りができるようにしたりしました。

●注文書・請書のやり取り業務の効率化

以上のように、業務効率化も意識しながら、内部統制を強化しました。
8
■最後に

今回取り上げた住宅リフォーム企業での事例は、プロジェクト・マネジャーの役割を果たす営業部門に焦点が当たっていて、内部統制の強化は企業が社会的責任を果たすためにも必要なことであり、事業方針としても掲げられていることを旗印に活動を行いました。またパターン①の商品を増やすことで、営業マンとしては内部統制の強化に貢献できるとともに、本来の営業に使える時間が増えることがメリットであることを訴えました。
しかし、一般的にこれまでの業務を変更することは、それが効率化する場合であっても、現場からの抵抗はよく起きます。それを少しでも権限する方策としては、現場で実務を行っている人を活動に参加させて、意思決定のできる部・課長レベルと議論しながら、業務を設計することではないでしょうか。
内部統制プロセスの進化版として、業務効率化との両立を目指す企業にとって参考になれば幸いです。

業務効率化と内部統制強化の両立のポイント【完】:ありがとうございました。

関連商品事業構造改革コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください

【theme : がんばるあなたを応援します!
【genre : ビジネス

業務効率化と内部統制強化の両立のポイント:4連載【その3】

前回までは「内部統制とは何か」をおさらいした上で、住宅リフォーム企業を事例に内部統制上の課題をリストアップしました。

<住宅リフォーム事業の内部統制上の課題>
◆営業マン1人で、見積・受注・部材&工事発注・仕入・売上の各登録を完結できてしまう
◆決裁プロセスに、情報システム上に抜け道が存在する
◆法令遵守(工事発注時の注文書・請書のやり取り)がきちんと行われていない

今回は、これらの課題を解決するために、どのような考え方で業務効率化と内部統制強化を両立していけばよいか、そしてどのように業務を設計すればよいかを掘り下げたいと思います。
5
■業務効率化と内部統制強化の両立の基本的な考え方

業務効率化と内部統制強化で最も重要なことは、業務をパターン分けすることではないかと思います。パターン毎に、内部統制の強化度合いを最適化することが重要だと思います。
最低限の内部統制を実現する業務パターンとできる限り内部統制を強化する業務パターン、それらの中間の業務パターンなどに分類するべきではないでしょうか。そうしないと、ルールは規定されたが、実行されないと事態に陥りがちです。

次に重要なのは、複数部門が関わらないと一つの案件が完結しないようなプロセスにすることです。そのようなプロセスが実際に機能するためにも、情報システムの権限を適切に設定することがキーとなります。この権限設定により、営業部門以外が関わらないと案件が先に進めないようにできるからです。

さらに次に重要なのは、必ず行うべき決裁を絞り込むことです。管理したいがために、多くの決裁を設定してしまっている企業もあるでしょうが、業務効率化や顧客へのサービス向上を重視して、思い切って絞り込むべきだと考えます。
6
最後に、課題で挙げた法令遵守への対応ですが、これは実施せざるを得ません。これは如何に効率よく行うようにするかがポイントとなります。現在の文書を少し見直すことで法令に適用することを考えてみたり、情報システムで文書作成を効率化してみたりといったところでしょうか。

<業務効率化と内部統制強化の両立の基本的な考え方>
●業務をパターン分けして、それぞれに最適な内部統制プロセスを作り込む
●複数部門が関わるような業務プロセスを設計し、内部統制を強化する
●必ず行うべき決裁を絞り込んで、効率的な業務プロセスを追求する
●法令遵守をより簡易な方法で実現する

4月20日掲載の【最終回】へ続く!お楽しみに!!

関連商品事業構造改革コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください

【theme : がんばるあなたを応援します!
【genre : ビジネス

業務効率化と内部統制強化の両立のポイント:4連載【その2】

■工事系の業務の特徴
目的の1番目に「業務の有効性及び効率性」とあり、業務効率化と内部統制強化の両立が求められています。そこで、これらを両立するポイントを工事系の企業の事例を交えて、説明したいと思います。そして、工事系の業務の特徴と内部統制上に抱えている課題を整理したいと思います。
4
工事系の企業も色々ありますが、ここでは住宅リフォームを行っている企業の業務を取り上げたいと思います。
営業部門が住宅リフォーム案件を獲得して、顧客の要求をきちんと把握します。それを工事管理部門や発注する工事会社に伝えたり、必要な部材を調達、あるいは調達の依頼を資材部門にしたりします。住宅リフォーム案件では、それ程大きな工事規模にならないので、営業部門が最初から最後まで関わり、プロジェクトマネジャーとして、品質Q、コストC、納期Dを管理します。
工事の部分は工事管理部門、あるいは工事会社が中心となって、品質Q、コストC、納期Dを管理して、営業部門に情報を伝達します。工事以外でも、見積作成や部材調達等、事務系業務でも同様に、それを担当する部門と情報をやり取りしながら、業務をこなします。
このように、営業部門は各部門から必要な情報を入手しながら、案件全体の管理を行います。

<住宅リフォーム事業の役割分担>
●営業部門:最初から最後まで関わり、プロジェクトマネジャーとして、案件全体を管理する
●工事管理部門:工事部分の品質Q、コストC、納期Dを管理する
●事務系部門:見積作成や部材調達等の事務系業務をこなして、案件のQCD向上に貢献する

次は、この住宅リフォーム企業が抱えている内部統制上の課題を整理したいと思います。
5
工事規模の小さいリフォームが多いこともあり、営業マン1人で、最初から最後まで行い、社内の他の人が全く関わらなくても案件をこなすことができました。営業マンが自分で工事や部材を発注してしまうと、悪意を持てば、何でもできるような状況になっていました。
その他、決裁プロセスにも問題がありました。ルールとしては、決裁が規定されていましたが、情報システム上、抜け道が存在して、事後承認が日常茶飯事になっていました。これは顧客へのスピーディな対応を最優先した結果でした。
3つ目の主要な課題は、法令遵守が不十分だったことです。建設業法上、工事の発注に関しては、注文書と請書のやり取りを義務付けていますが、これを必ずしも行われていませんでした。

<住宅リフォーム事業の内部統制上の課題>
◆営業マン1人で、見積・受注・部材&工事発注・仕入・売上の各登録を完結できてしまう
◆決裁プロセスに、情報システム上に抜け道が存在する
◆法令遵守(工事発注時の注文書・請書のやり取り)がきちんと行われていない

今回は、内部統制の強化が必要とされている現在の状況、及び住宅リフォーム事業における内部統制上の課題をみてきましたが、次回はこれをどのように解決すればよいかを考えて見たいと思います。

4月13日掲載の【その3】へ続く!お楽しみに!!

関連商品事業構造改革コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください

【theme : がんばるあなたを応援します!
【genre : ビジネス

訪問者
プロフィール

日本ビジネスクリエイト

Author:日本ビジネスクリエイト
経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

【ホームページ】: http://www.jbc-con.co.jp/

メールでお問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

公式メルマガ
メルマガ登録・解除
 

『経営に役立つ
「現場レポート!」』

を購読しませんか?
E-mail

めろんぱん

メルマガ登録・解除
経営に役立つ「現場レポート!」
 
 powered by メルマガスタンドmelma! トップページへ

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
コンテンツページ
日本ビジネスクリエイトは日本初のAPICSの認定教育機関(AEP)
apics

弊社は、以下のページでも記事を掲載しています。

●フジサンケイビジネスアイでの連載記事

書籍案内
カレンダー
03 | 2011/04 | 05
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク
カテゴリ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード