製販連携の要諦は商品区分ごとの計画連携にあり【前編】
1.製販連携の重要性
100年に1度と言われる不況により、需要が蒸発してしまい、在庫が過剰になった企業が多いのではないでしょうか。実際に新聞等のメディアに「在庫過剰」「在庫調整」などの言葉が連日掲載されていました。在庫は、需要が計画に対して上ブレしたときにはその機能を果たしますが、不況のように下ブレしたときには経営を圧迫するものとなります。
在庫とは、需要と供給能力の差分を埋めるためのもので、製造と販売の連携度合いを評価する指標としても活用できるものです。極端な例ですが、製造が需要予測に基づく販売計画を無視して、工場の稼働率だけを重視して生産してしまえば、需要低迷期には在庫は過剰になります。逆に、販売側が製造の供給能力を越えた販売計画を勝手に立案すれば、供給が追い付かず販売機会損失が発生します。製販が販売計画を共有していれば、前倒し生産により販売機会損失を回避することができたかもしれません。

今回は、在庫と販売機会損失に大きな影響を与える「製販連携のあり方」に焦点を当ててみたいと思います。「製販連携の強化」は不況時にはより必要性が増しますが、好況時においても利益最大化のために追求すべきテーマですので、ここで取り上げたいと思います。また対象の業界としては、自動車や食品、家電など最終的に不特定多数の一般消費者に供給するメーカーとします。なぜならば、このような業界では、設備メーカーなど法人顧客の要望に合わせて設計変更の入る業界と違って、在庫という指標が製販連携を評価する指標としてより適切だからです。
○製販連携の評価指標
在庫(在庫日数/在庫数など)
販売機会損失(店頭欠品率、販売側の要求に対する供給側の充足率など)
2.製販連携の目的と要件
まず本主張の出発点を明確にするために、製販連携の目的を設定しておきます。「需要に連動して製品を供給する」ことが製販連携の目的と捉えています。その結果として、前述したように「利益最大化」を達成できると考えています。
需要に連動して供給できていれば、在庫も販売機会損失も最小化することができ、より強固な製販連携を実現できていると言えます。
今後は、需要への連動性を向上させるための製販連携のあり方に関して考察したいと思います。
○製販連携の目的 ⇒ 需要連動性の向上

ここでは、「需要連動性の向上」のために、製造・販売・製販の3つの視点からどんな課題に取り組むべきかを考察したいと思います。
まず製造ですが、製販間で合意した生産計画通りに生産するだけでなく、供給リードタイムを短縮することが主な課題となるのではないでしょうか。
次に販売ですが、需要予測精度を高めることが主な課題でしょう。しかし需要予測を100%的中することは無理ですから、その予測に基づき作成した販売計画通りに販売施策を打って販売することが課題と言えるかもしれません。
製造・販売、それぞれが業務品質を向上させる取り組みと併行して、製販協働で取り組む課題もあります。現状の製造・販売の能力を是認した上で、少しでも需要連動性を高める取組みをすることは必要です。「製造した後に販売する」という時間的流れがあるために、製販が協働で行う領域としては、計画段階が中心となります。例えば、製販協働で製販が保持する総在庫を適正化する取組みや生産・販売計画の確定タイミングを販売に引き付ける取組み、需要ピークに備えての製販合意での前倒し生産を行う取組みなどが考えられます。
◆製造の取組み: 供給リードタイム短縮(受注から販売への着荷までの時間の短縮)
◆販売の取組み: 需要予測精度の向上
◆製販の取組み: 総在庫管理の仕組み構築、計画確定タイミングの短期化、前倒し生産合意の仕組み構築 など

この続きは9月2日に掲載します。お楽しみに!
関連商品: 「ビジネスプロセス改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC03.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/017/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
100年に1度と言われる不況により、需要が蒸発してしまい、在庫が過剰になった企業が多いのではないでしょうか。実際に新聞等のメディアに「在庫過剰」「在庫調整」などの言葉が連日掲載されていました。在庫は、需要が計画に対して上ブレしたときにはその機能を果たしますが、不況のように下ブレしたときには経営を圧迫するものとなります。
在庫とは、需要と供給能力の差分を埋めるためのもので、製造と販売の連携度合いを評価する指標としても活用できるものです。極端な例ですが、製造が需要予測に基づく販売計画を無視して、工場の稼働率だけを重視して生産してしまえば、需要低迷期には在庫は過剰になります。逆に、販売側が製造の供給能力を越えた販売計画を勝手に立案すれば、供給が追い付かず販売機会損失が発生します。製販が販売計画を共有していれば、前倒し生産により販売機会損失を回避することができたかもしれません。

今回は、在庫と販売機会損失に大きな影響を与える「製販連携のあり方」に焦点を当ててみたいと思います。「製販連携の強化」は不況時にはより必要性が増しますが、好況時においても利益最大化のために追求すべきテーマですので、ここで取り上げたいと思います。また対象の業界としては、自動車や食品、家電など最終的に不特定多数の一般消費者に供給するメーカーとします。なぜならば、このような業界では、設備メーカーなど法人顧客の要望に合わせて設計変更の入る業界と違って、在庫という指標が製販連携を評価する指標としてより適切だからです。
○製販連携の評価指標
在庫(在庫日数/在庫数など)
販売機会損失(店頭欠品率、販売側の要求に対する供給側の充足率など)
2.製販連携の目的と要件
まず本主張の出発点を明確にするために、製販連携の目的を設定しておきます。「需要に連動して製品を供給する」ことが製販連携の目的と捉えています。その結果として、前述したように「利益最大化」を達成できると考えています。
需要に連動して供給できていれば、在庫も販売機会損失も最小化することができ、より強固な製販連携を実現できていると言えます。
今後は、需要への連動性を向上させるための製販連携のあり方に関して考察したいと思います。
○製販連携の目的 ⇒ 需要連動性の向上

ここでは、「需要連動性の向上」のために、製造・販売・製販の3つの視点からどんな課題に取り組むべきかを考察したいと思います。
まず製造ですが、製販間で合意した生産計画通りに生産するだけでなく、供給リードタイムを短縮することが主な課題となるのではないでしょうか。
次に販売ですが、需要予測精度を高めることが主な課題でしょう。しかし需要予測を100%的中することは無理ですから、その予測に基づき作成した販売計画通りに販売施策を打って販売することが課題と言えるかもしれません。
製造・販売、それぞれが業務品質を向上させる取り組みと併行して、製販協働で取り組む課題もあります。現状の製造・販売の能力を是認した上で、少しでも需要連動性を高める取組みをすることは必要です。「製造した後に販売する」という時間的流れがあるために、製販が協働で行う領域としては、計画段階が中心となります。例えば、製販協働で製販が保持する総在庫を適正化する取組みや生産・販売計画の確定タイミングを販売に引き付ける取組み、需要ピークに備えての製販合意での前倒し生産を行う取組みなどが考えられます。
◆製造の取組み: 供給リードタイム短縮(受注から販売への着荷までの時間の短縮)
◆販売の取組み: 需要予測精度の向上
◆製販の取組み: 総在庫管理の仕組み構築、計画確定タイミングの短期化、前倒し生産合意の仕組み構築 など

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企業の成長に応じて、ゼネラリスト集団からスペシャリスト集団へ【後編】
前回は、人間同様、企業も乳児期、学童期、青年期、成人期、老年期などの成長段階があり、特に青年期を定義しました。そして、青年期に取組むべき課題を以下のように列挙しました。
●技術系・事務系の各組織の役割・責任設計と業務プロセス可視化(分業化)
●法・規制遵守や内部統制の強化のための業務ルールの設定(リスク回避)
●ゼネラリストからスペシャリストへの意識改革
今回は青年期に取組むべき課題に取組むに際して、留意すべきポイントを考察したいと思います。
4.青年期を確実に通過するためのポイント
ここでは、前述3つの課題に取組むにあたって、留意すべきポイントを考察したいと思います。
まず、「●技術系・事務系の各組織の役割・責任設計と業務プロセス可視化」に関してですが、現状の業務プロセスを詳細まで可視化した上で、技術系業務と事務系業務とを分離することになります。その分離の際に、これまで長年ゼネラリストとして業務を行ってこられた人を巻き込むことがポイントの一つ目です。他人に業務を任せられない理由があるはずなので、それを明確にしながら、どうすれば任せられるかを議論することです。この議論において、もう一つのポイントがあります。業務プロセスをタイプに分類して、任せられるものと任せられないものをきちんと切り分けることです。すべての物件を一律に技術系と事務系に分業化しようとしないことです。逆に効率性が落ちたり、モチベーションが下がったりします。当たり前のことかもしれませんが、経験上意外と重要だと感じています。
○ポイント1:ベテランのゼネラリストと議論しながら、新業務プロセスを設計する
○ポイント2:業務プロセスをタイプ分類し、タイプごとに応じた分業化のプロセスを設計する

次に、「●法・規制遵守や内部統制の強化のための業務ルールの設定」に関してですが、上記のように分業化すると、ゼネラリストで情報が閉じることがなくなり、複数の目でチェックすることになり、内部統制は強化されます。ここでのポイントの一つ目は、必ず行うべき承認行為、及びそこでのチェック項目をきちんと定義することです。理想論で承認行為を増やさず、最低限に絞り込むことが重要です。もう一つのポイントは、冷静に業務プロセスを見て、法・規制に準拠していないところや内部統制上の弱点を指摘できる人を議論に巻き込むことです。効率性の観点ではなく、リスクの観点から業務を点検できないと、不完全なものになってしまいます。
○ポイント3:最低限の承認行為、及びチェック項目に絞り込む
○ポイント4:リスクの観点から業務を点検できる人を巻き込んで新業務プロセスを設計する

最後に、「●ゼネラリストからスペシャリストへの意識改革」に関してですが、最も重要なことは分業化の取組みやリスク回避の取組みの重要性を共有し、全社員が理解することです。更なる物件数の拡大のためには、各部署が本来業務に専念することで、それが結果として会社全体の効率性に繋がることを理解してもらうことです。これをさらに促すような評価指標を適用するとなおよいのではないでしょうか。先程の事例で言えば、営業マンに売上ノルマを上げて、営業に専念しないとできないようにするなどが考えられます。あるいは、本来業務である提案回数を評価指標にするなども効果があるのではないでしょうか。しかし、意識改革で一番効果があるのはやはり経営トップの方針ではないでしょうか。売上拡大のために「ゼネラリストの集団からスペシャリストの集団に生まれ変わる」という明確なメッセージを経営トップ自らが継続的に、発信することではないでしょうか。特に、内部統制強化などのリスク回避の取組みはこれがないとなかなか進みません。
○ポイント5:意識改革のメリットを共有し、改革を促す評価指標を設定する
○ポイント6:経営トップ自らが意識改革の必要性を継続的に発信する
なお補足として、ゼネラリストの集団からスペシャリストの集団への変革は、売上高の見積り方を以下のように変化させることも意味します。
◇ゼネラリストの集団 ⇒ ゼネラリスト数×一人当たりの売上高で、見積もるのが中心
◇スペシャリストの集団 ⇒ 商品数×1商品当たりの売上高で、見積もるのが中心

5.最後に
企業の青年期では、ゼネラリストの集団からスペシャリストの集団への変革のための課題やその解決のためのポイントを考察してきました。それでは、青年期を越えて成人期に入ったら何をすべきなのでしょうか。
青年期で確立した業務プロセスを定着、発展させることではないでしょうか。
具体的には、事務系の社員の習熟度に応じて分業化の範囲をより拡大することではないでしょうか。分業化していなかった業務タイプでも分業化を進めることです。
二つ目としては、各部門がそれぞれの専門性を高めて、業務品質を向上させることでしょう。例えば、営業部であれば、売上を拡大するために、部門としての営業戦略を立案して、その達成状況を管理するようなことが考えられます。
三つ目としては、部門間の繋ぎ目の効率化を図るべきではないでしょうか。分業化することで少なからず業務の繋ぎ目で効率性が落ちることは仕方ないことです。業務間の繋ぎに着目してもう一度効率化に着手することが更なる事業規模拡大に寄与するものと思います。
中小企業や中堅以上の新規事業などで「青年期」を迎えられている事業において、本考察が参考になって、一人前の企業になれば幸いです。さらに「成人期」で需要の変動に耐えうる強靭な体質に変革する礎を築くことに繋がればと願っております。

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●技術系・事務系の各組織の役割・責任設計と業務プロセス可視化(分業化)
●法・規制遵守や内部統制の強化のための業務ルールの設定(リスク回避)
●ゼネラリストからスペシャリストへの意識改革
今回は青年期に取組むべき課題に取組むに際して、留意すべきポイントを考察したいと思います。
4.青年期を確実に通過するためのポイント
ここでは、前述3つの課題に取組むにあたって、留意すべきポイントを考察したいと思います。
まず、「●技術系・事務系の各組織の役割・責任設計と業務プロセス可視化」に関してですが、現状の業務プロセスを詳細まで可視化した上で、技術系業務と事務系業務とを分離することになります。その分離の際に、これまで長年ゼネラリストとして業務を行ってこられた人を巻き込むことがポイントの一つ目です。他人に業務を任せられない理由があるはずなので、それを明確にしながら、どうすれば任せられるかを議論することです。この議論において、もう一つのポイントがあります。業務プロセスをタイプに分類して、任せられるものと任せられないものをきちんと切り分けることです。すべての物件を一律に技術系と事務系に分業化しようとしないことです。逆に効率性が落ちたり、モチベーションが下がったりします。当たり前のことかもしれませんが、経験上意外と重要だと感じています。
○ポイント1:ベテランのゼネラリストと議論しながら、新業務プロセスを設計する
○ポイント2:業務プロセスをタイプ分類し、タイプごとに応じた分業化のプロセスを設計する

次に、「●法・規制遵守や内部統制の強化のための業務ルールの設定」に関してですが、上記のように分業化すると、ゼネラリストで情報が閉じることがなくなり、複数の目でチェックすることになり、内部統制は強化されます。ここでのポイントの一つ目は、必ず行うべき承認行為、及びそこでのチェック項目をきちんと定義することです。理想論で承認行為を増やさず、最低限に絞り込むことが重要です。もう一つのポイントは、冷静に業務プロセスを見て、法・規制に準拠していないところや内部統制上の弱点を指摘できる人を議論に巻き込むことです。効率性の観点ではなく、リスクの観点から業務を点検できないと、不完全なものになってしまいます。
○ポイント3:最低限の承認行為、及びチェック項目に絞り込む
○ポイント4:リスクの観点から業務を点検できる人を巻き込んで新業務プロセスを設計する

最後に、「●ゼネラリストからスペシャリストへの意識改革」に関してですが、最も重要なことは分業化の取組みやリスク回避の取組みの重要性を共有し、全社員が理解することです。更なる物件数の拡大のためには、各部署が本来業務に専念することで、それが結果として会社全体の効率性に繋がることを理解してもらうことです。これをさらに促すような評価指標を適用するとなおよいのではないでしょうか。先程の事例で言えば、営業マンに売上ノルマを上げて、営業に専念しないとできないようにするなどが考えられます。あるいは、本来業務である提案回数を評価指標にするなども効果があるのではないでしょうか。しかし、意識改革で一番効果があるのはやはり経営トップの方針ではないでしょうか。売上拡大のために「ゼネラリストの集団からスペシャリストの集団に生まれ変わる」という明確なメッセージを経営トップ自らが継続的に、発信することではないでしょうか。特に、内部統制強化などのリスク回避の取組みはこれがないとなかなか進みません。
○ポイント5:意識改革のメリットを共有し、改革を促す評価指標を設定する
○ポイント6:経営トップ自らが意識改革の必要性を継続的に発信する
なお補足として、ゼネラリストの集団からスペシャリストの集団への変革は、売上高の見積り方を以下のように変化させることも意味します。
◇ゼネラリストの集団 ⇒ ゼネラリスト数×一人当たりの売上高で、見積もるのが中心
◇スペシャリストの集団 ⇒ 商品数×1商品当たりの売上高で、見積もるのが中心

5.最後に
企業の青年期では、ゼネラリストの集団からスペシャリストの集団への変革のための課題やその解決のためのポイントを考察してきました。それでは、青年期を越えて成人期に入ったら何をすべきなのでしょうか。
青年期で確立した業務プロセスを定着、発展させることではないでしょうか。
具体的には、事務系の社員の習熟度に応じて分業化の範囲をより拡大することではないでしょうか。分業化していなかった業務タイプでも分業化を進めることです。
二つ目としては、各部門がそれぞれの専門性を高めて、業務品質を向上させることでしょう。例えば、営業部であれば、売上を拡大するために、部門としての営業戦略を立案して、その達成状況を管理するようなことが考えられます。
三つ目としては、部門間の繋ぎ目の効率化を図るべきではないでしょうか。分業化することで少なからず業務の繋ぎ目で効率性が落ちることは仕方ないことです。業務間の繋ぎに着目してもう一度効率化に着手することが更なる事業規模拡大に寄与するものと思います。
中小企業や中堅以上の新規事業などで「青年期」を迎えられている事業において、本考察が参考になって、一人前の企業になれば幸いです。さらに「成人期」で需要の変動に耐えうる強靭な体質に変革する礎を築くことに繋がればと願っております。

関連商品: 「事業構造改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
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企業の成長に応じて、ゼネラリスト集団からスペシャリスト集団へ【前編】
1.企業の成長とは
人が乳児期、学童期、青年期、成人期、老年期と成長するように、企業も事業規模に応じて成長していくように思います。起業したとき、あるいは新規事業を立ち上げた時は、少人数で始めることが多いのではないでしょうか。これが起業の乳児期とでも言えるのではないでしょうか。その後、市場が拡大し、事業が軌道にのると、人数も増えて部門が分かれてきます。集団行動を始めるこの時期は学童期に相当するのではないでしょうか。
部門別の組織体制も徐々に細分化される時期を青年期と呼んでいいのではないでしょうか。その後は、組織的に大きな変更はなく、各組織の連携を強化するといった組織の精度を高める時期になり、成人期と呼んでは如何でしょうか。
今回は、上記のうち青年期に着目して、どのように組織を細分化していくかを考察したいと思います。この青年期は、一人前の企業、あるいは事業になるための重要なステップということで、ここに焦点を当てます。また、この時期をうまく乗り切るかどうかが、事業としてより大きな成功を手中におさめることができるかどうかの瀬戸際でないかとも思うので、青年期を取り上げます。

※エリク・H・エリクソンは、発達心理学の観点から人生を8つの段階に分類して言いますが、それを参考に、人の成長の段階を上記では5段階に分けました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB
2.企業の青年期とは
まず、ここでの「企業の青年期」とはどういう時期か改めて定義しておきたいと思います。当該企業、あるいは当該事業が次の要件を満たす場合を「青年期」と定義してみます。
◆組織の数、及び階層が増加する時期
◆個々人のノウハウに依存した業務遂行から、部署ごとの業務標準に従った業務遂行に移行する時期
◆ゼネラリストの人数増加から、スペシャリストの組合せで事業規模を実現するように移行する時期
このように定義すると、学童期より青年期は組織が充実していく時期で、個々人のやり方はまだまだ学童期を引きずっているという時期です。青年期以前は人数も少なく、個々人がゼネラリストで様々な業務をこなし、そのゼネラリストの人数に応じて、規模が拡大します。しかし、優秀なゼネラリストを増加させていくのには限界があり、事業規模拡大には分業化して、異なる専門性を持ったスペシャリストを複数確保することの方が効率がいいという事業規模が訪れます。このような移行時期を「青年期」と呼びたいと思います。
青年期の末期には、およそ次のような要件を満たすことが求められています。
◆組織の階層が、部・課の2つ以上存在する
◆業務標準に従い、各部署がそれぞれの役割・責任を持って、業務を遂行している
◆部署ごとに分業化することで、事業規模拡大を達成する

【青年期の企業のイメージ】
より具体的に青年期をイメージしてもらう事例として、最近私が関わった企業をご紹介します。
その企業は、住宅設備機器の販売、及び住宅リフォーム工事の設計・施工を請け負っていて、現在売上30億円、従業員100名のあるグループの子会社です。成長戦略を描いていて、売上50億円を目指しておられます。これまで個々の営業マンがゼネラリストとして物件の最初から最後まですべての面倒を見てきましたが、売上拡大のためには、営業部内に事務処理を行う組織を設定して、営業マンの営業本来の業務以外をその部署に分業化しようとしています。即ち、各部門が専門性を持ったスペシャリストとして分業化して、それらを繋いで、物件を完結しようとしています。
以下も上記企業での経験も踏まえながら、考察していきます。
3.青年期の課題
次に、青年期に取り組むべき課題を考察してみたいと思います。
まず組織構成に関してですが、業務プロセスを役割に応じて、再分化してそれを組織に割り当てることが必要です。その際に特に重要なのは、技術系の組織と事務系の組織を分断し、それぞれの役割・責任を明確にすることです。そして業務標準として、それを明文化することです。売上規模が拡大していくと、事務処理系の業務をまとめても十分組織として成立し、効率性も向上する状況が発生します。会社全体の効率化を追求するためにも組織と業務プロセスの設計が必要です。
次に課題となるのが、法律やCSRなどの遵守、あるいは内部統制の強化などです。これまで効率性を重視して、売上を拡大してきている傾向があり、顧客への迅速な対応を阻害するものとして、これらは軽視されがちです。物件の最初から最後までを一人でコントロールしているゼネラリストからすれば、効率性のみで進めることも可能です。しかし売上拡大に伴い、注目度は増して、社会的信用度を高めることは必要不可欠になります。
三つ目の課題は、上記とも絡みますが、社員の意識改革です。これまで効率性のみを重視したゼネラリストに、分業化を理解してもらい、各社員がそれぞれのスペシャリストとして会社に貢献することを実践してもらう必要があります。
以上をまとめると、
●技術系・事務系の各組織の役割・責任設計と業務プロセス可視化(分業化)
●法・規制遵守や内部統制の強化のための業務ルールの設定(リスク回避)
●ゼネラリストからスペシャリストへの意識改革
この続きは8月12日に掲載します。お楽しみに!
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困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
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bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
人が乳児期、学童期、青年期、成人期、老年期と成長するように、企業も事業規模に応じて成長していくように思います。起業したとき、あるいは新規事業を立ち上げた時は、少人数で始めることが多いのではないでしょうか。これが起業の乳児期とでも言えるのではないでしょうか。その後、市場が拡大し、事業が軌道にのると、人数も増えて部門が分かれてきます。集団行動を始めるこの時期は学童期に相当するのではないでしょうか。
部門別の組織体制も徐々に細分化される時期を青年期と呼んでいいのではないでしょうか。その後は、組織的に大きな変更はなく、各組織の連携を強化するといった組織の精度を高める時期になり、成人期と呼んでは如何でしょうか。
今回は、上記のうち青年期に着目して、どのように組織を細分化していくかを考察したいと思います。この青年期は、一人前の企業、あるいは事業になるための重要なステップということで、ここに焦点を当てます。また、この時期をうまく乗り切るかどうかが、事業としてより大きな成功を手中におさめることができるかどうかの瀬戸際でないかとも思うので、青年期を取り上げます。

※エリク・H・エリクソンは、発達心理学の観点から人生を8つの段階に分類して言いますが、それを参考に、人の成長の段階を上記では5段階に分けました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB
2.企業の青年期とは
まず、ここでの「企業の青年期」とはどういう時期か改めて定義しておきたいと思います。当該企業、あるいは当該事業が次の要件を満たす場合を「青年期」と定義してみます。
◆組織の数、及び階層が増加する時期
◆個々人のノウハウに依存した業務遂行から、部署ごとの業務標準に従った業務遂行に移行する時期
◆ゼネラリストの人数増加から、スペシャリストの組合せで事業規模を実現するように移行する時期
このように定義すると、学童期より青年期は組織が充実していく時期で、個々人のやり方はまだまだ学童期を引きずっているという時期です。青年期以前は人数も少なく、個々人がゼネラリストで様々な業務をこなし、そのゼネラリストの人数に応じて、規模が拡大します。しかし、優秀なゼネラリストを増加させていくのには限界があり、事業規模拡大には分業化して、異なる専門性を持ったスペシャリストを複数確保することの方が効率がいいという事業規模が訪れます。このような移行時期を「青年期」と呼びたいと思います。
青年期の末期には、およそ次のような要件を満たすことが求められています。
◆組織の階層が、部・課の2つ以上存在する
◆業務標準に従い、各部署がそれぞれの役割・責任を持って、業務を遂行している
◆部署ごとに分業化することで、事業規模拡大を達成する

【青年期の企業のイメージ】
より具体的に青年期をイメージしてもらう事例として、最近私が関わった企業をご紹介します。
その企業は、住宅設備機器の販売、及び住宅リフォーム工事の設計・施工を請け負っていて、現在売上30億円、従業員100名のあるグループの子会社です。成長戦略を描いていて、売上50億円を目指しておられます。これまで個々の営業マンがゼネラリストとして物件の最初から最後まですべての面倒を見てきましたが、売上拡大のためには、営業部内に事務処理を行う組織を設定して、営業マンの営業本来の業務以外をその部署に分業化しようとしています。即ち、各部門が専門性を持ったスペシャリストとして分業化して、それらを繋いで、物件を完結しようとしています。
以下も上記企業での経験も踏まえながら、考察していきます。
3.青年期の課題
次に、青年期に取り組むべき課題を考察してみたいと思います。
まず組織構成に関してですが、業務プロセスを役割に応じて、再分化してそれを組織に割り当てることが必要です。その際に特に重要なのは、技術系の組織と事務系の組織を分断し、それぞれの役割・責任を明確にすることです。そして業務標準として、それを明文化することです。売上規模が拡大していくと、事務処理系の業務をまとめても十分組織として成立し、効率性も向上する状況が発生します。会社全体の効率化を追求するためにも組織と業務プロセスの設計が必要です。
次に課題となるのが、法律やCSRなどの遵守、あるいは内部統制の強化などです。これまで効率性を重視して、売上を拡大してきている傾向があり、顧客への迅速な対応を阻害するものとして、これらは軽視されがちです。物件の最初から最後までを一人でコントロールしているゼネラリストからすれば、効率性のみで進めることも可能です。しかし売上拡大に伴い、注目度は増して、社会的信用度を高めることは必要不可欠になります。
三つ目の課題は、上記とも絡みますが、社員の意識改革です。これまで効率性のみを重視したゼネラリストに、分業化を理解してもらい、各社員がそれぞれのスペシャリストとして会社に貢献することを実践してもらう必要があります。
以上をまとめると、
●技術系・事務系の各組織の役割・責任設計と業務プロセス可視化(分業化)
●法・規制遵守や内部統制の強化のための業務ルールの設定(リスク回避)
●ゼネラリストからスペシャリストへの意識改革
この続きは8月12日に掲載します。お楽しみに!
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全体構造を押える!【後編】
政治のマニフェストで言えば、後者の「全体改革構造図」を1枚見せる
だけで、有権者の納得感は10倍増になると思うのですが、どうにも見当たりません。
それは、そもそも見せると墓穴を掘るからかも知れませんが...。
(民主党で言えば、高速道路無料化&ガソリン暫定税率廃止と、温室排気ガス25%削減の矛盾のように)

『「将来のありたい姿」を掲げ、それを実現するための各施策の繋がりを構造的に見せる』 これは、政治家であろうが、各企業のトップであろうが、コンサルタントであろうが、変革を推し進めるためのコアエンジンです。
この納得感がないと、変革は絶対に進みません。(逆に、この納得感が得られると、後は非常にスムーズに進みやすくなります)
皆様も、今回の一連の選挙を1つの学習材料として、自社の企業活動を振り返る良い機会にしてみては如何でしょうか?

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だけで、有権者の納得感は10倍増になると思うのですが、どうにも見当たりません。
それは、そもそも見せると墓穴を掘るからかも知れませんが...。
(民主党で言えば、高速道路無料化&ガソリン暫定税率廃止と、温室排気ガス25%削減の矛盾のように)

『「将来のありたい姿」を掲げ、それを実現するための各施策の繋がりを構造的に見せる』 これは、政治家であろうが、各企業のトップであろうが、コンサルタントであろうが、変革を推し進めるためのコアエンジンです。
この納得感がないと、変革は絶対に進みません。(逆に、この納得感が得られると、後は非常にスムーズに進みやすくなります)
皆様も、今回の一連の選挙を1つの学習材料として、自社の企業活動を振り返る良い機会にしてみては如何でしょうか?

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