fc2ブログ

経営戦略を考える【後編】

経営戦略を考える3
韓国のサムスン電子の例です。サムスン電子は、今や日本の代表的な電機メーカーであるソニーやパナソニックを売上高・利益で上回る世界有数の電機メーカーです。主力製品は、半導体メモリー、液晶パネル、薄型テレビ、携帯電話で、このうち世界シェア2位の携帯電話以外は、全て1位です。サムスンというと数年前まではそれほど目立つ存在ではなく、日本では安くて品質の劣る製品ぐらいにしか見られていなかったと思います。そのサムスン電子を現在の姿に導いた原動力は、一貫した経営戦略です。日本メーカーが不況期に短期的な利益を追求して投資を控えたのに対して、サムスン電子は長期的な成長を狙って投資を断行し、シェアを奪いました。長期的な視点で投資を断行できるのは、オーナーであり、先日会長職に復帰したイ・ゴンヒ氏の影響が大きいと言われています。サラリーマン社長の多い日本の大企業ではなかなか真似ができないかもしれません。

アメリカのグーグルを見てみます。グーグルは、強力な検索エンジンと特異なインターネット関連サービスにより、驚異的な成長を続けている企業です。2004年に上場したグーグルの株式時価総額は、今やトヨタ自動車を超えています。グーグルの高い成長を支えているのは、「ユーザーの使い心地を第一に考え、常に公平・中立な情報を提供する」という戦略です。グーグルの売上はほとんどが広告収入です。グーグルで検索した時に、検索結果の右側に検索キーワードに関連した広告がたった3行の文章で表示されるものです。ヤフーのトップページにあるような派手なバナー広告は一切ありません。「広告がサイトから気をそらすものであってはならない」という、ユーザー本位の思想が貫かれているのです。またこの3行の広告自体も広告料だけではなく、人気の高い広告を上位に表示する仕組みにして、公平性を高めています。先日、グーグルは政府の検閲により公平・中立な情報を提供できない中国の事業から撤退しました。目先の利益よりも長期的な戦略を優先した結果であると思います。
経営戦略を考える4
経営戦略を策定する上で気をつけたいことが3つあります。第1に経営環境(市場、競合、自社)をしっかり分析したうえで経営戦略を策定することです。他社がその戦略で成功しているからと言って単純に戦略を真似しても、競合状況や自社の実力ではうまくいかないかもしれません。第2に長期的な視点を持って戦略を実行することです。製造業の調達部門の例では、短期間で戦略が変わった結果、状況がかえって悪化する結果となってしまいました。第3に個々の従業員が戦略の実現のために、何をすればいいのかを具体化することです。このためには、経営トップは常に自社の戦略を発信し続け、個々の組織が戦略実現のために何をすべきかを考
える必要があります。一度自社の経営戦略は明確か、自社の組織・従業員はその経営戦略に沿って業務を実行しているかを再確認してみる必要があると思います。
経営戦略を考える【完】

関連商品「 ビジネスプロセス改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC03.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/017/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先

bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
スポンサーサイト



【theme : ☆経営のヒント☆
【genre : ビジネス

経営戦略を考える【前編】

企業にとって経営戦略を立てることが重要であることは、言うまでもありません。ところで「経営戦略」とは何でしょうか。「戦略」というのはもともと軍事用語であり、「経営戦略」は、企業のおかれている経営環境を戦場に見立てて、その環境下で企業が目的を達成するために必要となる打ち手を指しています。企業に所属する組織
や社員は、「経営戦略」に基づいて業務を実行します。すなわち「経営戦略」は業務を実行するうえでの拠り所となるものです。
スライド1
「経営戦略」が示されなかったり曖昧であったりすると、組織や社員が個々の判断で業務を実行してしまい、全社的には整合性が取れず、いい結果とならないことがほとんどです。以下に例を挙げてみます。

古い話になりますが、第二次世界大戦前の日本を見てみます。
明治時代に政治家の強力なリーダーシップで富国強兵を成し遂げた日本でしたが、昭和の時代に入ると強力なリーダーシップを持った政治家が現れませんでした。総理大臣は1、2年で常に交代しているような状況で(今も同じようなものですが)、国の進むべき方向、すなわち「戦略」を示せないようになりました。その結果、政府の下部組織である軍隊が自分の判断で活動し、日本を戦争に導いていくことになります。満州事変や日中戦争は、朝鮮・満州に駐留していた日本軍が勝手に戦線を拡大し、本国の政府が追認するという形で戦争に突入していきました。そして引くに引けぬままイギリス・アメリカの不信を買い太平洋戦争へと戦局が拡大していく羽目になります。
その結果は皆さんもご存知のとおりです。トップが明確に「戦略」を示せないまま、下部組織が自分の判断で動いてしまった結果といえます。

ある製造業の調達部門の例を見てみます。この企業では、経営戦略として新しい調達先の採用と、調達企業数の削減を打ち出しました。この戦略に基づき、調達先へ今後の新しい調達方針を説明し、新しい調達先の採用を進めていきました。ところが、数年後に経営者が変わると戦略が変わり、今度は以前から取引のある調達先との関係強化に転換してしまいました。この戦略は、以前の戦略の反省を踏まえて設定されたものなのですが、調達先からの不信感は簡単には拭えません。また以前の戦略に基づいて新たな取引先を採用しており、結果的に調達先の数は増えてしまいました。
スライド2

韓国のサムスン電子の例です。・・
≪後編は次週5月20日掲載します!お楽しみに!≫

関連商品
「 ビジネスプロセス改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC03.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/017/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先

bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください

【theme : ☆経営のヒント☆
【genre : ビジネス

完成は崩壊の始まり?

日光東照宮の陽明門に「逆柱(さかばしら)」という柱があります。
「完成された建物は、いずれは崩壊する。完成した瞬間から崩壊が始まる。」と考えられていることから魔よけの意味を込めて建てられているといわれています。
「完成した瞬間から崩壊が始まる」というキーワードは経営活動の教訓として捉えることができそうです。
完成は崩壊の始まり1
最近、「指標」の設定に関するプロジェクトを目にします。一度設定すれば何もかもうまくいく「完璧な指標」を設定するにはどうしたら良いのかという話を聞きます。ものごとの考え方や方向性を示すものとして充分なものか・と考えてしまいます。時間の経過とともに経営環境やビジネスの関わる制度は変わり人の価値観も変化する。技術革新によって測定できるものは広がっていくものの指標だけは変わらない・という状態は適切なのでしょうか。私は指標も環境や周りの状況によって変わっていくべきではないかと考えます。(そもそも「指標を設定するだけで万事うまくいく」ということはありえませんが・。)

私は小学生の頃からサッカーをやっていた影響で今でもよくテレビでサッカー観戦をします。特にJリーグ(日本)とプレミアリーグ(イングランド)を観戦しますが、そこにサッカーのレベルだけでなく大きな違いに気が付きます。Jリーグでは「シュートの本数が何本」ということが解説や画面で表示されて分かります。一方、プレミアリーグでは「シュートの本数が何本でそのうちゴールの枠を捉えているのが何本」というように表示されます。最近は「何キロ走っているか」まで分かるようになり、アーセナルのセスク・ファブレガスは1試合で十数キロも動いていることも分かります(これは、GPSチップが内蔵されたユニフォームを着ることで人の動き・距離を簡単に計測できるようになった技術革新の賜物です。
日本のサッカーレベルが低くシュート数だけが課題なので「シュートの本数」が指標ということもわかるのですが、ある程度のレベルに達し決定力不足が課題と言われて何十年も経っているのに指標は変わらないことこそが、日本代表チームの結果が頭打ちになっている要因の一つではないかと思います。Jリーグの指標も現状に合わせて変化させていくことがもう一段ステップアップする一つの手段だと考えています。
完成は崩壊の始まり2
サッカーだけでなく、同様の事象は企業内プロジェクト活動でも起こっています。
「指標」を設定しても実務レベルまで浸透せずに結果は何も変わらない。何も変わらないで済めばまだましで、実際には更に悪くなっているにもかかわらず、表面上数字が良く見えるように画策したりごまかしたりするといった本末転倒の行為もみかけます。指標や構想案を作成することがミッションとして形を作っただけで満足していると往々にしてこのようなことが起きてしまいます。

改善・改革活動を成功させるには、施策や思いを現場へ浸透させることが必要でそのためには相当の時間が掛かることを覚悟すべきです。「(そこそこ)完璧なものができた」というところで満足せずに、「まだまだ改善余地はある」と考え行動し続け、コミュニケーションを密にしながら現場の腹に落とすことが成功の秘訣です。それでも失敗することはあるのですから・。様々なプロジェクト活動を支援してきた結果、改革を成功させる一番の近道はあきらめずに継続することだと確信しております。現在でも4年ほど続いているプロジェクトを支援しておりますが、確実に結果がでて更に効果を上積みしています。単年度で活動を終了していたら結果は出せていないと思います。
現状の指標や構想案に満足せず、経営環境更の変化に追随してレベルの高いものへブラッシュアップする。妥協せず、あきらめずに経営改革活動を継続させることで、組織を活性化させ、競争力を得て、不況をチャンスに変える企業体質を目指すべきと考えます。
完成は崩壊の始まり3

関連商品「 ビジネスプロセス改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC03.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/017/

困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html

コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください

【theme : 成功する為に必要な事
【genre : ビジネス

訪問者
プロフィール

日本ビジネスクリエイト

Author:日本ビジネスクリエイト
経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

【ホームページ】: http://www.jbc-con.co.jp/

メールでお問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

公式メルマガ
メルマガ登録・解除
 

『経営に役立つ
「現場レポート!」』

を購読しませんか?
E-mail

めろんぱん

メルマガ登録・解除
経営に役立つ「現場レポート!」
 
 powered by メルマガスタンドmelma! トップページへ

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
コンテンツページ
日本ビジネスクリエイトは日本初のAPICSの認定教育機関(AEP)
apics

弊社は、以下のページでも記事を掲載しています。

●フジサンケイビジネスアイでの連載記事

書籍案内
カレンダー
04 | 2010/05 | 06
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク
カテゴリ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード