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新規事業立ち上げのポイント

~パターン別にみる新規事業への取組み~
1.新規事業の必要性と考え方

どんな新製品であれ、プロダクト・ライフサイクル理論(*1)に則って、市場投入から徐々に販売が増加して、成長期を迎えます。しかし、製品が行き渡り始めると成長率が低下して、成熟期を経て、いずれ姿を消します。このような条件下で企業が成長を続けるためには、何か手を打つ必要があり、大きく次の3つから選択することになります。

a.既存製品を新市場に投入する
b.新製品を開発して、既市場に投入する
c.新製品を開発して、新市場に投入する


即ち、アンゾフの成長マトリックス(*2)の3つのセルのどれかを選択することになります。ここでは、一般的に「新規事業」として捉えられているb.とc.に関して、これまでのコンサル経験を踏まえながら、「新規事業の立ち上げのポイント」を考察したいと思います。

プロダクトライフサイクル
プロダクトライフサイクル http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/productlifecycle.html

アンゾフの成長マトリックス
アンゾフの成長マトリックス http://www.innovetica.com/resource_03.html

2.新規事業立ち上げのパターン

1)新製品のレベル
上述したように、大きくパターンとしてはb.とc.の2つですが、新製品のレベルによっても、新規事業の立ち上げのリスクや難易度、投資額、立ち上げの手順などが変わってきます。そこで新製品の定義を以下のようなものに絞りたいと思います。

A.これまで需要が少なく、特別対応していた製品、あるいはサービス(自社内にあるネタの育成)
例)産業財で、特定の顧客の特別仕様製品を新製品化する場合
例)アフターサービスをこれまで無償で実施していたが、付加価値を付けて、商品化する場合
B.自社として、これまで全く経験のない製品、あるいはサービス(自社としての新たな挑戦)
例)2輪車メーカーが4輪車を開発する場合(※保有技術の一部を活用できるが、要素技術の開発
を伴う場合)


2)新規事業のパターン
さらに、新製品の競合環境の視点から、競合が既にいる場合といない場合の2通りが考えられます。以上の3つの視点「アンゾフの成長マトリックス」「新製品の定義」「競合環境」の組合せで、パターンが複数が考えられますが、ここでは市場面のリスクと自社の技術面のリスクの観点から、以下の2つの場合に絞り込んで、考察したいと思います。
新規事業のパターン

3.新規事業立ち上げの基本的な手順

次に、弊社が実践している新規事業立ち上げの基本的な手順をご紹介します。パターン①、②ともに基本的な手順に違いはなく、それぞれのステップの重要度や難易度などに違いが出てきます。この違いから、新規事業立ち上げのポイントを議論していきたいと思います。

新規事業立ち上げの手順

4.パターン別にみた新規事業立ち上げのポイント

新規事業の立ち上げの基本的な手順を設定したところで、パターン別に、新規事業を立ち上げるのに際し、何が難しく、何に気を付けるべきかを考察したいと思います。

1)パターン①の場合 == 自社内の新製品ネタの育成 ==

パターン①は、市場面のリスクが高く、自社の技術面のリスクが低いので、新製品の市場性をどれだけ正確に予測できるかが大きなポイントになります。なお、市場性の予測の中には、どれだけ自社が需要を喚起できるかという要素も含まれています。前述の立ち上げの手順に従い、注意すべき点を列挙すると、
パターン①の注意事項1

競合がまだ事業化していないことから、早期に事業を立ち上げることも重要なポイントになります。この観点から、注意すべき点を列挙すると、
パターン①の注意事項2

新規事業では、必ず投資(経費や設備投資)が必要になります。この観点から、注意すべき点を列挙すると、
パターン①の注意事項3

2)パターン②の場合 == 未経験の新製品でフォロワー参入 ==

パターン②は、市場面のリスクが低く、自社の技術面のリスクが高いので、投資ミニマムを意識しながら、差別化できる製品を開発し、それを効率的に届けるサプライチェーンを構築することが大きなポイントになります。前述の立ち上げの手順に従い、注意すべき点を列挙すると、
パターン②の注意事項1

事業を継続するためには、自社の技術力向上と外部活用による投資ミニマム化の両立が重要なポイントになります。この観点から、注意すべき点を列挙すると、
パターン②の注意事項2

投資(経費や設備投資)の観点から、注意すべき点を列挙すると、
パターン②の注意事項3

5.最後に

ポイントの総括
新規事業立ち上げのポイント

ここまでお読み頂いた方には既にお分かりだと思いますが、新規事業立ち上げで一番重要なことは、どんなパターンであるかを明確に認識することです。どんなパターンであるかが認識できれば、自ずと立ち上げのポイントが見えてきます。上述した内容は、新規事業を立ち上げるためのチェックリストとして活用して頂ければ幸いです。
最後に、新規事業立ち上げの目的、あるいは位置づけについて、触れたいと思います。位置づけの候補として、
◎将来的な基幹事業としての新規事業
◎企業全体の収益源の底上げとしての新規事業

などが考えられます。こられを明確にしておくことは重要で、これらにより投資の仕方やリスクの捉え方などが異なります。
更なる企業の成長を目指して、新規事業を立ち上げようという時に、上述の内容がお役に立てば幸いです。


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【theme : 経営コンサルタント
【genre : ビジネス

業務改革を定着化するためのマネジメント

1.業務改革とはどこまでを指すのでしょうか?

業務改革、改善活動を通じて新しい業務の流れを作るということは、日々のオペレーションをどう行うかを考えるだけでは不十分です。オペレーションが、業務改革・改善の企画・構想段階で意図した通りに行われ、期待した成果や性能が発揮できるまで、しっかりやりきる必要があります。
例えば業務設計は一生懸命に行ったにもかかわらず、あるいは新しい情報システムを構築したにもかかわらず、その後の実務への定着化がなされずに、業務改善・改革が一向に定着せず、従来の成行管理から脱却できないというケースも見受けられます。

成り行き管理

2.新しい業務の流れはマネジメントできていますか?

新しい業務の流れを円滑に運営するためには、定められた手順と基準に沿って実施するためのマネジメントを強化する必要があります。
みなさんの企業ではいかがでしょうか。
改革・改善像は設計したが、実務として定着化しなければ、成果が得られないだけでなく、関係者の方々のモチベーションも一向に上がらず、“改革・改善”という言葉がしらけてしまい、結局従来の仕組みに戻ってしまう危険性もあります。
ではどのようにして改革・改善後の仕組みを定着化させたらよいのでしょうか。
本稿では、製造業の業務分野として重要な役割を担う生産・調達面を例にとって、業務改革・改善を定着化するためのマネジメントポイントの設定及びマネジメント機能を実現するための実行施策について、事例に基づき紹介いたします。

マネジメント強化の手順

3.改革・改善マネジメントの重点対象を明確にする

まず、改革・改善を定着化するためのマネジメントの対象業務を明確にする必要があります。下記は、組立製造業における検討例です。

マネジメントの重点対象明確化

4.マネジメントポイントをフォーカスする(1)~生産計画業務

次に、マネジメントポイントを明確にするために、対象となる業務の流れを明確にします。例えば生産計画業務について下記のような業務の流れを実行しようとした場合を想定します。

生産計画業務

この生産計画業務の中でマネジメント力を発揮しなければならないと考えられる点は多々ありますが、例えば「生販調整会議準備」~「月次生販調整会議の実施」にフォーカスを当てることができます。マネジメントの観点は下記のようになるでしょう。

フォーカスポイント生産計画


5.マネジメント施策を設計する(1)~生産計画業務

下記に、生販調整会議の準備段階でのマネジメント施策を設計した例を紹介します。改革実施の責任者が下記のような事項を生産計画部門に対し確認することが、定着化のために不可欠です。

生販会議確認基準書

6.業務の流れを明確化する(2)~資材調達業務

次は調達業務に関する意思決定の場面です。下記は半期に1度、調達方式を見直す業務の例です。

資材調達業務

7.マネジメントポイントをフォーカスする(2)~資材調達業務

この「調達管理」業務において、マネジメントの立場から意思決定を行う必要があるのは「集計結果評価」業務となります。ここでは、前期に設定した調達基準(発注方式、発注ロットサイズ、複社購買可否、調達リードタイム等)が実務に対応しているか否かを見極め、乖離があると判断した場合は、対策基準に準じて以降の活動に反映しなければなりません。この意思決定が行われないと、目標指標の達成は困難であり、また、未達成でも何ら是正措置がとられないのであれば、管理指標は業務上意味をなさなくなり、単に毎月集計しているのみというムダな業務活動となってしまいます。  マネジメントの観点は下記の通りと考えられます。

フォーカスポイント資材

8.マネジメント施策を設計する(2)~資材調達業務

下記に、調達業務の集計結果評価における評価基準の事例を示します。

集計・評価項目一覧表

評価基準に沿って、計画に対する実績を評価する際に留意すべき事項として、“傾向を掴む”ことが挙げられます。つまり、􀁺一過性の問題か􀁺特定の傾向が表れているのかを理解することです。これを怠ると対策が間違ってしまう可能性もあるので、必要に応じて基準書に記述することも大切です。例えば、下記ケースでは対策方法が異なるはずです。

調達のケース分け

9.例外管理業務もマネジメントすることが重要

予期できない例外処理(例えば、生産計画を確定し、販売/製造部門と合意したにも拘らず、緊急追加オーダ指示が必要となり、結果として他の指示済オーダが遅延してしまう場合)の対応についても、発生した事象に対する対応結果実績を蓄積・共有・活用する仕組みを構築することにより、業務の効率が上がります。どのような企業においても「○○さんでなければ対処できない」といった事柄はあります。しかしながら、できる限り社員のノウハウを活用・標準化することにより、付加価値の高い業務を遂行する時間が増えるはずです。また、比較的若い社員でも上司がいなければ何もできないという待ちの姿勢も低減化できます。下記は例外処理で蓄積する情報の様式例です。お分かりの通り、これは障害報告書や例外処理連絡表といったみなさんの職場でも利用されている情報です。但し、ここでは報告・承認のみならず、情報の活用を前提とした仕組みを構築することがポイントです。

情報の活用の仕組み

上記について情報システムを活用し、キーワードで検索ができれば、意思決定と対策実施の効率が更に向上します。

10.まとめ
例えば仕入先に対する業務改善指導の実施などは、場合によっては非常に時間を要することもあります。業務運営サイクル内でマネジメント活動を含めた業務全体が本当に実現可能か否か、マネジメント意思決定事項はいつから業務に反映されるのかを検証しておく必要があります。
このため、業務のタイミングチャートを、マネジメント業務も含めて作成し、各関係者間で検証することが効果的と考えます。
業務の改革・改善は単に構想するだけでは何も効果を生みません。
また、業務運営サイクル(月次、週次、日次など)ごとのオペレーション部分に注力するあまり、意思決定を必要とするマネジメント領域の業務のあり方の検証が欠如してしまっては「P(Plan)、D(Do)、C(Check)、A(Action)の徹底」が確立せず、改革・改善が定着しません。
本稿で触れた
マネジメントのポイント
を実践することにより、改善・改革後の仕組みが円滑に運営されるものと考えます。
勿論、統制機能を業務に反映するだけでなく、業務の基礎知識を向上する、担当者・職場のモチベーションを高めるといった忍耐を要する継続的な活動や、業務に最適な組織構造を構築するといったことも不可欠な要素と考えます。

現在、業務の改革・改善を実践中、あるいはこれから取り組まれます企業の方々のご参考になれば幸いです。


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顧客に柔軟対応でき、儲かる生産へのアプローチ

1.はじめに
~製造業は顧客に柔軟対応でき、儲かる生産を目指しましょう~

高度成長期、バブル期を経て、低成長の時代になってきています。しかし、全体的には低成長時代であると括られていますが、もう少し細分化して物事をみると、様々な分野(個人、同一業種内、業種間など)でも「勝ち組み」と「負け組み」が分かれてきています。
一方では、耐久消費財等の普及率が上がり、消費者の購買意欲がモノそのものではなく、良いものを所有する喜びや他人との所有するものの差、などに向いてきていることも言うまでもありません。
このように個人も企業も、一括りにはできなくなっている多様化の時代の中で、製造業はこのような多様なニーズに対して、きめ細かく商品やサービスを提供していくことを求められています。
当然、きめ細かく顧客のニーズに対応するために莫大な在庫を持ち、膨大な間接業務を行う、いわば力ずくのアプローチでは儲かる生産ができないことは明らかです。
ここでは、製造業としてどのような考え方でこの課題に対する方策を立てていくか、そのアプローチについて記述します。

2.多様な顧客ニーズに対応する際の生産の課題

多様な顧客ニーズに対応するためには、同種の製品を大量に生産するのではなく、多品種少量
生産、変種変量生産のようなフレキシブルな生産体制が求められます。しかし、少品種大量生
産と同じ考え方でフレキシブルな生産を実行しようとすると、下記のような壁に当たります。

生産の課題

3.柔軟で儲かる生産の実現に向けた生産改革の基本的なアプローチ

柔軟で儲かる生産の実現に向けた生産改革の基本的なアプローチは、生産現場の実力を向上すること、在庫/仕掛品などのモノを減らすこと、によって、計画に基づいて確実にモノ作りを実行できる、柔軟な現場を作ることです。

生産改革の基本的なアプローチ

4.柔軟で儲かる生産の実現に向けた生産改革が目指す最大の狙い

生産改革が目指す最大の狙いは、計画に裏付けられたスピード生産です。工数低減、稼働率向上な
ど、生産現場には様々な評価指標が存在します。例えば生産のスピードアップのためにロットサイズ
を小さくするれば段取り回数が増え、稼働率が低下します。スピード生産が最も重視するのはスピー
ドであり、まずはスピードをあげることを前提とし、それに必要な段取り完全を行います。
スピード生産の実現を支えるものは、意識改革、計画改革、現場改革であると考えています。

生産改革の最大の狙い

5.なぜスピード生産を行うことで顧客に柔軟に対応できるのか

スピード生産を実現し、リードタイムを大幅に短縮すれば、最新の顧客要求(注文)を元に、無駄なく、
納期を確保しながら生産できます。

スピード生産

6.なぜスピード生産を行うことで儲けを生むことができるのか

スピード生産を実現することで、材料/部品在庫や仕掛品を徹底的に減らし、最小限の運転資金で身軽に生産できます。

スピード生産による儲け方1

スピード生産を実現することで、支払から入金までのタイムラグを小さくし、有利なキャッシュフローで事業を行えます。

スピード生産による儲け方2

スピード生産を実現することで、製造着手当初から、最新の設計情報に基づいて製造できる。そのため、設計変更対応のための付加価値を生まない直接/間接コスト(外乱対応コスト)を抑制できます。

スピード生産による儲け方3

スピード生産を実現することで、徹底的にムダを排除、また間接作業を削減し、現有の資源(工数)を直接作業に振り向け、内作化を進めることができます。作業者(工数)を増やさずに出来高が上がれば単位工数あたりの固定費配賦分が減り、加工費レートを下げられます。

ムダの排除と間接作業の削減

7.スピード生産の実現に向けた取り組みの基本的な考え方

スピード生産の実現のためには、設計改革、部品表改革などの上流業務の改革から、生産計画/管理業務の改革、現場改革まで一貫した取り組みを行うことが重要です。

スピード生産実現の考え方

8.スピード生産の実現に向けた取り組みの事例

弊社では、スピード生産の実現のために、設計改革、部品表改革などの上流業務の改革から、生産計画/管理業務の改革、現場改革まであらゆる分野でのプロジェクト活動を、総合的に支援しています。

スピード生産に向けたアプローチの例

スピード生産に向けたアプローチ例
スピード生産の実現には、全社的かつ体系立った活動で、小ロット生産、計画主導型生産に向けて取り組むことが必須です。ある企業では、基本的な改革推進シナリオを以下のように定めて改革を実行しました。

スピード実現の基本的な改革シナリオ

9.最後に

「がんばっているのだがなかなか柔軟対応できない」、「なかな儲けにつながらない」ということもあるかとは思います。このようなトンネルを出る一つの考え方として、価値観を変えてみることも一考の余地があるのではないでしょうか?
「そうは言っても稼働率を上げないと償却できん」、「そうは言ってもレートが一定なのだから工数を下げないとコストは下がらん」、「それなら、スピード重視も合わせて全部やらせればよかろう」などという声が聞こえてきそうです。
ある会社で、日本で最も利益を上げている自動車メーカーからの転職者が言っていました。「ここではT社で当たり前にやっていたことを、皆から説明を求められるし反対される」
このような話が少しでもヒントになればと思います。

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原価改革への総合的アプローチ ~「売れて儲かる」受注設計生産

1.はじめに

日本の製造業の中には、工作機械や電子部品製造装置などの設備機械産業のように、受注の都度、お客様の要求仕様に基づいて製品の一部を個別設計したり、事前準備された派生品やオプションを選択・組合わせて製品を実現してお客様に提供するタイプの企業が少なからずあります。これらの企業は、ものづくり日本の技術を支え、日本の景気回復の鍵となる、非常に重要な存在です。
 原価管理の面からその特徴を捉えると、 ①仕様検討決定・設計に時間がかかり、その分納期優先の業務となり、調達・製造に負担がかかる ②顧客対応設計のため、標準化・共通化がなかなか進まない。その結果製品原価率が悪化し、収益確保が困難になりがちです。 今回は、原価改革として、受注設計生産型の製造業が売れて儲かるための条件を、業務プロセス別に、その課題と解決の方向性を提案します。
 「売れて儲かる」ためには、下記の4つの機能を連携させながら、バランスよく効率的にマネジメントしなければなりません

1)商品企画・・・市場構造、マーケットニーズ顕在化
2)開発設計・・・ニーズ別製品開発、製品コスト開発
3)技術営業・・・エンジニアリングセールス、顧客ニーズを基本設計
4)生産調達・・・製品構造体系、生産調達の技術


このマネジメント構造をベースに、原価の視点から業務
プロセス別に原価改革の課題を纏めました。製品構成を自社標準、顧客選択、顧客個別対応に明確に定義することが、『売れて儲かる』ための大きな課題と考えます

1)標準、選択、個別対応とコスト配分を明確にした商品企画、開発
2)標準、選択、個別対応を基準にした受注の待ち構え方
3)標準、選択、個別対応の組織的に機能する技術営業活動
4)標準、選択、個別対応で実施する先手管理の生産準備活動
5)顧客納入済み部品表とサービス部品表の事前整備
6)管理統制のPDCAをまわすための目標設定と条件


以上のポイントを以下説明します。

2.受注設計生産で「売れて儲かる」マネジメント構造

受注設計生産をしつつ売れて儲かるためには、商品企画、開発設計、技術営業、生産調達の4つの機能を、バランスよく効率的にマネジメントすることが重要です。原価改革は各領域で常に考えなければならない項目です。

売れて儲かるマネジメント構造

3.原価改革への総合的なアプローチ

「すりあわせ」と「すりあわせ」の関係で、顧客価値を実現する、受注設計生産における原価改革は、会社全体の統合化されたアプローチによって初めて実現可能となります。

原価改革への総合的なアプローチ

4.売れて儲かる商品企画/開発
1)製品群のミニマムコストモデル開発

商品企画/開発で売れて儲かるためには、代表モデルのコスト限界追求、派生モデルの限界追求を行うとともに、個別要望に対応できるように設計方法、条件を絶えず整備しておく必要があります。

ミニマムコストモデル


2)対象製品群を用いた業務管理方式例と目標コスト比率

ミニマムコスト製品群を①標準、②顧客選択、③個別対応(顧客特殊) の3つに分類する構造は、設計・調達・生産の効率化とリードタイム短縮に繋がるだけでなく、品質や受注設計品の製品コストの見通しも容易にします。標準部分+選択部分のコスト比率を上げることでコストダウンに大きく寄与します。製品開発のスタートから定量目標を決め、その達成度を管理すべきです。

管理方式例と目標コスト比率

3)技術営業強化のための組織営業力の仕組みづくり

引合・内示から受注に至るまでの顧客との交渉過程で、売れて儲かるかどうかが決まります。そこで、①標準、②顧客選択、③顧客特殊仕様個別対応に応じた営業活動と、そのバックで顧客ニーズをくみ上げるエンジニアリング組織を機能させることが重要です。

組織営業力の仕組み作り


4)生産準備活動

製品開発でモデル化した①標準②選択③顧客仕様個別対応の製品構造に合致した生産プロセスを準備すべきです。見込みで(先行して)手配できるもの、まとめて生産できるもの、受注後手配をするものを明確にし、変動費と管理工数(固定費)削減が実現できるように生産企画すべきです。

生産準備活動

5)サービス部品表まで考慮した部品表を作成

受注設計生産に対しては、構想設計の段階から企画部品表を定義し、生産部品表を作成し、客先納品後に客先納入済み構成部品表とサービス部品表を定義しておき、稼動後に膨大なアフターサービス部品の調査確認時間が発生しないよう事前対応することが重要です。このことで大きな間接コスト削減が実現できます。

部品表の作成

5.統合化されたアプローチでのコストダウン

受注設計生産の原価管理の問題は、PLANの計画精度が悪いことから生じます。受注設計生産の対応範囲が広過ぎることも一因です。先に述べたように標準、選定の範囲を広げるとともに、受注設計範囲の計画精度をあげる工夫をすべきです。 その上で、①実績の可視化 ②対応策を迅速にまわすことが重要です。

目標原価設定

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経営改革、業務改革、現場改革、システム実現支援などの総合的なコンサルティングを提供しています。特に製造業の現場に精通したコンサルティングに強みを持ち、SCM/CVM領域でのパイオニアとして認知され、また公益事業向けコンサルティングにおいても実績があります。

経営コンサルティング企業として、日本におけるSCM改革をリーディングしております。
また最近では、「X-Chain Mangement(エックスチェーンマネジメント)」という新しい経営手法を開発して、お客様の事業の成功に貢献しております。

【ホームページ】: http://www.jbc-con.co.jp/

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