受注設計生産型製造業における改革方向
はじめに - 受注設計生産型製造業の課題
受注設計生産型商品は、一般的に標準部と顧客要望に対応した都度設計対応部の混在したユニット構成となっています。しかし企業によっては、都度対応の範囲の違いや、その規定さえも不明確なままで設計者任せになっている企業もあります。このような受注対応をどれだけきちんと管理するかで、儲けが大きく変わります。一般的な問題点を羅列してみると以下のような共通した問題を抱えています。
1.顧客ニーズ対応を重視することにより、プロジェクト毎の管理になってしまい、プロジェクト間のつながりが弱く、標準化が遅れがちになる。プロジェクト毎、セイバン毎の管理のために、個別最適の追求活動になりがちである。
⇒標準化が進まなく、購買、生産における量の拡大によるモノコストの追求が弱い。
⇒設計負荷集中による設計効率向上ができず、設計品質問題等の問題が発生する。
⇒サービス部品等の集約化が出来づらい。
2.過去実績を有効活用できず、またコストテーブル等の整備が間に合わないため、見積精度が低く、利益管理が弱くなりがちである。全ての活動が終わらないと、損益が確定しない。
3.設計と並行する原価管理活動(目標実行予算管理)がしづらい。過去実績をそのまま使用できないため、見積期間、見積精度が向上しない。
⇒受注競争力の向上が進まない。
⇒継続的なコストダウンが出来づらい。
4.設計計画が不十分で、設計者の負荷管理、納期管理が出来ない。また品質面の管理が不十分になると、成果自体が見えなくなる。
これらの問題に対しては、まず基本的な考え方を明確にし、その上で個別判断、対応が出来るようにすべきです。
基本的考え方をより具体的に述べたいと思います。
1.事業遂行上の立脚点
1.事業として大きな成果を得ることを目指して、もの・プロセス・情報を対象に、競合優位性向上と社内業務効率化を目指した標準化の姿を明確にするとともに、総合力発揮ができるように業務プロセスの連携・強化が大切です。組織はえてして個別最適を追求しがちであり、組織間に負の力として発生してしまわないように配慮すべきです。
2.製造業は技術の強みを持って顧客満足と競合優位性を確保しています。ただ受注設計型企業には、「度が過ぎる」ことが多く、「自社は顧客の言う通り設計したことで顧客満足を得ている」と発言される企業が多く見受けられます。その結果、技術の先進性の追求ではなく、個別対応技術(付加価値の低い作業の増大)が多くなり、利益が出しずらくなっている場合があります。 顧客対応を考えた標準化は、先回りして顧客の活用企画を行なって、必要な種類の標準品に盛り込むことと定義すべきでしょう。
3.製品開発の採算性管理を考えた標準化企画が行なわれないと投資回収が出来なくなります。受注設計型企業では、回収機会が少ないため、特に意識して投資回収評価を基本にした新商品開発、個別対応、ライフサイクルマネージメントが重要になります。
4.標準化が遅れたままでCADやPDMの導入をしても大きな成果は出せません。この当たり前のことがおろそかになっている企業が多く、ITに対し、「魔法の杖」的な期待が強すぎる企業もあります。商品モデル、技術モデル、業務モデル、ITモデルのバランスこそが重要です。
5.「様々な投資をしたが利益につながらない等々」多くの悩みがあるが、それらは一言で言うと「マネージメントの責任」である。マネージメントとは利益を出すための機能である。上記の観点を配慮した活動企画が重要です。

2.受注設計型企業における付加価値創出業務とは、顧客の立場で企画すること
受注設計生産型製造業が顧客も自社もすり合わせ型になるのは、各々の業務プロセスに起因します。
顧客は主として生産技術部門であり、その先のユーザの要望対応を行い、設備メーカーはその顧客の要望に対応して行くプロセスであるからです。受身的な対応をしている限りは、すり合わせが限りなく広がります。
設備ユーザーは、新工場建設やライン増設等の際に、自社の製品仕様を基本に、いくらでどのように製造するかの個別検討を行う。これはその製造業の生産技術部門中心で企画される。その中で、図の右のように生産プロセス、作業方法、物流方法、情報システムとのかかわりとバランスを持って、必要な設備に対する機能。条件を設定していく。
これが発注仕様書として設備メーカにーに引合として示される。これを受けた段階では、企画が終っており標準を提案するには遅すぎる。
これを解決するには、早い段階で情報を得て、ユーザー検討に入ることが望まれる。また事前にユーザーが標準カタログ等を前提に企画してくれるような事前の提案を行なう必要がる。
残念ながらそのタイミングを逸した場合は、逆提案の形で提案することになる。これは技術、価格的な優位性を必要とする。
このような営業は、ユーザーの生産技術者の絶大な信頼を得る技術レベルを必要とし、受身型の営業ではなく、技術力をもった営業であるべきで、コンサルティングセールスとは、このような営業スタイルをいいます。受注設計型で儲けるには、このように業務の役割が大きく変わると認識すべきです。

3.標準化の追求を市場、商品、製品、購買、生産、営業を通して実施する
受注設計生産型製造業で事前の準備を怠ると、迅速な顧客対応が出来ません。事前準備とは、市場を基本に営業体制、商品体制を整備し、それを効率よく対応する製品体系を用意することです。さらに購買、生産のSCM対応も考えた事前準備を行なうことです。

市場からみて準備するものと、購買・生産から準備していくものの双方からの整備ができれば、受注対応を迅速に行なうことが出来ます。よくみる失敗は、片方からのみの検討で満足している場合であり、そのときには何らかの問題を発生しています。このように見ると複数の部門をまたがった、モデルの姿であり、そのために部門間をまたがった部品表のあり方が重要となり、部品表を核にして、この管理を行なうのが部門間協業を実現する方法です。
この例では、固定部と変動部を明確にし、オプション部と受注対応部で幅広い対応を可能にすることを目指しています。
このように事前に準備したものを、受注の都度認識し、大きく外れないようにしながら、受注対応を行なうのが良いでしょう。
またこの受注対応方法は、営業のメンバーが認識しておき、お客様の接点での対応方法まで整備しておくべきです。
4.事業全体を支える部品表整備で、全部門にメリットを出させる
受注に対して、事前に準備した部品表に連携して、設計管理と購買・生産活動をコンカレントに実施し、迅速に生産につなげる活動が求められます。部品表は生産管理のためだけではなく、商品企画や設計管理さらにコンカレントのために整備すると定義し、全部門の参加を義務付け、かつ全部門に有効になるように作りこむべきです。

受注設計型製造業では、受注の都度設計し部品表を整備する業界です。従って速く、効率よく部品表を整備することが重要です。設計・設計管理・技術管理・見積・コスト管理・購買管理・生産準備等を並行して作るしくみを整備すべきです。
これを迅速に整備できるように部品表に様々な情報をリンクさせて準備しておくことが必要になります。その上で営業活動と対応して部品表を迅速につくり、それに沿って各業務をコンカレントにできるようにマネージメントすべきです。
まとめると設計段階から部品表を整備し、それを迅速に生産部品表へつなげ、発注、生産、納期管理、出荷につなぐこと。さらにアフターサービスの部品表までつなげ、設置済み設備の部品表としての整備も出来るようにすると部品表を核にした部門間連携が実現できます。
部品表整備とは、このような全体のビジネスに関わるプロセスとの関係で整備すべきです。
5.受注設計型企業での原価低減活動は、既存業務にコスト要素を盛り込む
原価の設定部門、発生部門を巻き込んだ活動とし、全員がコストを基準に業務を行なえるようにすることが受注設計生産型企業の原価管理の姿です。(活動と原価管理のしくみへの配慮)

受注設計型製造業での原価管理は、全ての業務プロセスでの原価管理が必要です。開発とコストダウンを切り離しては実施できないため、設計の際、調達・生産の準備の段階で、目標原価の実現を果たさなければなりません。よって通常の業務機能に加えて、常にコストの管理が出来るようにすべきで、全てのメンバーが、コスト見積、コスト評価ができることが最低限望まれます。その上で、幅広い情報を収集、発想して、世界一の原価の実現への挑戦が必要になります。原価管理とは、そのような各部門の活動とリンクしつつ目標原価設定、進捗管理、各種原価低減支援を行ないつつ、結果を出す部門です。組織的には、部門間を貫く串刺し機能を持ちます。別の言い方をするとプロジェクト的な意味合いを持った部門であり、部門長への強権を持たなければ出来ない部門です。原価管理部門を中心にしてトータル原価管理を実現していきましょう。
6. 受注設計型企業での利益確保は準備、営業段階から始まる
個別顧客対応の際には、事前に標準モデルを準備し、それを基本に営業用資料を整備し、提案型営業へ移行し、標準モデルをベースに、顧客要件を把握し、提案書を速く、精度良く作成し、受注に結びつける連携と迅速なマネージメントが重要です。

受注設計型製造業では、事前に準備した情報で、ターゲットの市場への提案が出来なければならなりません。説得営業です。その段階で、設計上の必要な条件を早く決めてくる機能が求められます。
その条件を決めるためにも、個別対応要望に対する設計としての対応性と見積の迅速化が求められます。
仕様が決まれば、流用範囲と新規設計範囲を明確化し、設計管理を行い納期どおり設計を完了させます。
並行して調達、生産準備を行い、納期どおり製品を納める。トータルのマネージメントを成功させるために、プロジェクト管理も必要になります。
日本の受注設計型製造業では、技術の強みが盛んに言われますが、管理力の強みも世界に冠たるものがあります。ただあまりにも複雑なものが多く、個人の技に依存する領域もおおくなり、儲かりずらい代表選手になっています。その改革の切り口は、全体最適、一気通貫であり、方針に沿った組織総合力の発揮であります。「理屈は分るが難しい」のも事実で、それだけ少しづつの意識の統一、しくみの整備、実践活動こそが成果につながります。
そのための一助になれればと考えております。
関連商品: 「設計・生産改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC06.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/019/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
受注設計生産型商品は、一般的に標準部と顧客要望に対応した都度設計対応部の混在したユニット構成となっています。しかし企業によっては、都度対応の範囲の違いや、その規定さえも不明確なままで設計者任せになっている企業もあります。このような受注対応をどれだけきちんと管理するかで、儲けが大きく変わります。一般的な問題点を羅列してみると以下のような共通した問題を抱えています。
1.顧客ニーズ対応を重視することにより、プロジェクト毎の管理になってしまい、プロジェクト間のつながりが弱く、標準化が遅れがちになる。プロジェクト毎、セイバン毎の管理のために、個別最適の追求活動になりがちである。
⇒標準化が進まなく、購買、生産における量の拡大によるモノコストの追求が弱い。
⇒設計負荷集中による設計効率向上ができず、設計品質問題等の問題が発生する。
⇒サービス部品等の集約化が出来づらい。
2.過去実績を有効活用できず、またコストテーブル等の整備が間に合わないため、見積精度が低く、利益管理が弱くなりがちである。全ての活動が終わらないと、損益が確定しない。
3.設計と並行する原価管理活動(目標実行予算管理)がしづらい。過去実績をそのまま使用できないため、見積期間、見積精度が向上しない。
⇒受注競争力の向上が進まない。
⇒継続的なコストダウンが出来づらい。
4.設計計画が不十分で、設計者の負荷管理、納期管理が出来ない。また品質面の管理が不十分になると、成果自体が見えなくなる。
これらの問題に対しては、まず基本的な考え方を明確にし、その上で個別判断、対応が出来るようにすべきです。
基本的考え方をより具体的に述べたいと思います。
1.事業遂行上の立脚点
1.事業として大きな成果を得ることを目指して、もの・プロセス・情報を対象に、競合優位性向上と社内業務効率化を目指した標準化の姿を明確にするとともに、総合力発揮ができるように業務プロセスの連携・強化が大切です。組織はえてして個別最適を追求しがちであり、組織間に負の力として発生してしまわないように配慮すべきです。
2.製造業は技術の強みを持って顧客満足と競合優位性を確保しています。ただ受注設計型企業には、「度が過ぎる」ことが多く、「自社は顧客の言う通り設計したことで顧客満足を得ている」と発言される企業が多く見受けられます。その結果、技術の先進性の追求ではなく、個別対応技術(付加価値の低い作業の増大)が多くなり、利益が出しずらくなっている場合があります。 顧客対応を考えた標準化は、先回りして顧客の活用企画を行なって、必要な種類の標準品に盛り込むことと定義すべきでしょう。
3.製品開発の採算性管理を考えた標準化企画が行なわれないと投資回収が出来なくなります。受注設計型企業では、回収機会が少ないため、特に意識して投資回収評価を基本にした新商品開発、個別対応、ライフサイクルマネージメントが重要になります。
4.標準化が遅れたままでCADやPDMの導入をしても大きな成果は出せません。この当たり前のことがおろそかになっている企業が多く、ITに対し、「魔法の杖」的な期待が強すぎる企業もあります。商品モデル、技術モデル、業務モデル、ITモデルのバランスこそが重要です。
5.「様々な投資をしたが利益につながらない等々」多くの悩みがあるが、それらは一言で言うと「マネージメントの責任」である。マネージメントとは利益を出すための機能である。上記の観点を配慮した活動企画が重要です。

2.受注設計型企業における付加価値創出業務とは、顧客の立場で企画すること
受注設計生産型製造業が顧客も自社もすり合わせ型になるのは、各々の業務プロセスに起因します。
顧客は主として生産技術部門であり、その先のユーザの要望対応を行い、設備メーカーはその顧客の要望に対応して行くプロセスであるからです。受身的な対応をしている限りは、すり合わせが限りなく広がります。
設備ユーザーは、新工場建設やライン増設等の際に、自社の製品仕様を基本に、いくらでどのように製造するかの個別検討を行う。これはその製造業の生産技術部門中心で企画される。その中で、図の右のように生産プロセス、作業方法、物流方法、情報システムとのかかわりとバランスを持って、必要な設備に対する機能。条件を設定していく。
これが発注仕様書として設備メーカにーに引合として示される。これを受けた段階では、企画が終っており標準を提案するには遅すぎる。
これを解決するには、早い段階で情報を得て、ユーザー検討に入ることが望まれる。また事前にユーザーが標準カタログ等を前提に企画してくれるような事前の提案を行なう必要がる。
残念ながらそのタイミングを逸した場合は、逆提案の形で提案することになる。これは技術、価格的な優位性を必要とする。
このような営業は、ユーザーの生産技術者の絶大な信頼を得る技術レベルを必要とし、受身型の営業ではなく、技術力をもった営業であるべきで、コンサルティングセールスとは、このような営業スタイルをいいます。受注設計型で儲けるには、このように業務の役割が大きく変わると認識すべきです。

3.標準化の追求を市場、商品、製品、購買、生産、営業を通して実施する
受注設計生産型製造業で事前の準備を怠ると、迅速な顧客対応が出来ません。事前準備とは、市場を基本に営業体制、商品体制を整備し、それを効率よく対応する製品体系を用意することです。さらに購買、生産のSCM対応も考えた事前準備を行なうことです。

市場からみて準備するものと、購買・生産から準備していくものの双方からの整備ができれば、受注対応を迅速に行なうことが出来ます。よくみる失敗は、片方からのみの検討で満足している場合であり、そのときには何らかの問題を発生しています。このように見ると複数の部門をまたがった、モデルの姿であり、そのために部門間をまたがった部品表のあり方が重要となり、部品表を核にして、この管理を行なうのが部門間協業を実現する方法です。
この例では、固定部と変動部を明確にし、オプション部と受注対応部で幅広い対応を可能にすることを目指しています。
このように事前に準備したものを、受注の都度認識し、大きく外れないようにしながら、受注対応を行なうのが良いでしょう。
またこの受注対応方法は、営業のメンバーが認識しておき、お客様の接点での対応方法まで整備しておくべきです。
4.事業全体を支える部品表整備で、全部門にメリットを出させる
受注に対して、事前に準備した部品表に連携して、設計管理と購買・生産活動をコンカレントに実施し、迅速に生産につなげる活動が求められます。部品表は生産管理のためだけではなく、商品企画や設計管理さらにコンカレントのために整備すると定義し、全部門の参加を義務付け、かつ全部門に有効になるように作りこむべきです。

受注設計型製造業では、受注の都度設計し部品表を整備する業界です。従って速く、効率よく部品表を整備することが重要です。設計・設計管理・技術管理・見積・コスト管理・購買管理・生産準備等を並行して作るしくみを整備すべきです。
これを迅速に整備できるように部品表に様々な情報をリンクさせて準備しておくことが必要になります。その上で営業活動と対応して部品表を迅速につくり、それに沿って各業務をコンカレントにできるようにマネージメントすべきです。
まとめると設計段階から部品表を整備し、それを迅速に生産部品表へつなげ、発注、生産、納期管理、出荷につなぐこと。さらにアフターサービスの部品表までつなげ、設置済み設備の部品表としての整備も出来るようにすると部品表を核にした部門間連携が実現できます。
部品表整備とは、このような全体のビジネスに関わるプロセスとの関係で整備すべきです。
5.受注設計型企業での原価低減活動は、既存業務にコスト要素を盛り込む
原価の設定部門、発生部門を巻き込んだ活動とし、全員がコストを基準に業務を行なえるようにすることが受注設計生産型企業の原価管理の姿です。(活動と原価管理のしくみへの配慮)

受注設計型製造業での原価管理は、全ての業務プロセスでの原価管理が必要です。開発とコストダウンを切り離しては実施できないため、設計の際、調達・生産の準備の段階で、目標原価の実現を果たさなければなりません。よって通常の業務機能に加えて、常にコストの管理が出来るようにすべきで、全てのメンバーが、コスト見積、コスト評価ができることが最低限望まれます。その上で、幅広い情報を収集、発想して、世界一の原価の実現への挑戦が必要になります。原価管理とは、そのような各部門の活動とリンクしつつ目標原価設定、進捗管理、各種原価低減支援を行ないつつ、結果を出す部門です。組織的には、部門間を貫く串刺し機能を持ちます。別の言い方をするとプロジェクト的な意味合いを持った部門であり、部門長への強権を持たなければ出来ない部門です。原価管理部門を中心にしてトータル原価管理を実現していきましょう。
6. 受注設計型企業での利益確保は準備、営業段階から始まる
個別顧客対応の際には、事前に標準モデルを準備し、それを基本に営業用資料を整備し、提案型営業へ移行し、標準モデルをベースに、顧客要件を把握し、提案書を速く、精度良く作成し、受注に結びつける連携と迅速なマネージメントが重要です。

受注設計型製造業では、事前に準備した情報で、ターゲットの市場への提案が出来なければならなりません。説得営業です。その段階で、設計上の必要な条件を早く決めてくる機能が求められます。
その条件を決めるためにも、個別対応要望に対する設計としての対応性と見積の迅速化が求められます。
仕様が決まれば、流用範囲と新規設計範囲を明確化し、設計管理を行い納期どおり設計を完了させます。
並行して調達、生産準備を行い、納期どおり製品を納める。トータルのマネージメントを成功させるために、プロジェクト管理も必要になります。
日本の受注設計型製造業では、技術の強みが盛んに言われますが、管理力の強みも世界に冠たるものがあります。ただあまりにも複雑なものが多く、個人の技に依存する領域もおおくなり、儲かりずらい代表選手になっています。その改革の切り口は、全体最適、一気通貫であり、方針に沿った組織総合力の発揮であります。「理屈は分るが難しい」のも事実で、それだけ少しづつの意識の統一、しくみの整備、実践活動こそが成果につながります。
そのための一助になれればと考えております。
関連商品: 「設計・生産改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC06.pdf
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顧客密着型の営業モデル事例紹介
1.パナソニックショップ:ヤマグチ
東京都町田市にあるパナソニックショップ:ヤマグチの事例は地域密着型販売店の成功モデルとして年初の日経ビジネス誌にも掲載された。
今や家電販売はコジマ、ヤマダ、ヨドバシなどおなじみの量販店や、インターネットが主流の通販が大勢を占めている。いずれも不特定多数の顧客に対して大量販売をおこなうため、低価格や品揃えなどが売上・収益確保の条件と見られる。
しかし、ヤマグチの場合は状況が異なっている。典型的な御用聞き営業を主力に地域密着型の販売体制を敷き、しかも量販店やネット通販などよりはるかに高いオープンプライス(旧希望小売価格)レベルでの販売を実現している。
その特徴は外販専門営業マン13名が一人あたり500人~700人の固定顧客を受けもち、各家庭を訪問するというものだ。ベッドタウンである町田市は42万人近い住民が集積する地域で、顧客の多くは古くから地場で生活する高齢者が多い。なにかとヤマグチの担当者を頼りにして、いろんな電話が絶えないという。「テレビの画像が乱れる」、「FAXの調子が悪い」などの相談には営業マンがすぐさま自宅を訪問し、可能な範囲の調整・修理をおこなう。しかし、機器や部品の劣化など、いわゆる寿命には顧客の生活環境や機器の使用状態を見ながら直ぐに新商品の紹介をおこなう。量販店などと比較すると割高ではあるが、顧客との信頼関係が出来上がっているので提案は直ぐに商談に繋る。この背景は地域の高齢化と家電製品の操作性が複雑になったことが関係している。核家族化が進み高齢化や、ご近所づきあいが希薄になるという社会環境の変化に、ヤマグチのような小回りの利く小売店の役割が再認識される時代でもあるようだ。


2.大手産業車両メーカの事業拡大:物流システム事業
次に大手産業車両メーカで物流設備を担当した販社での経験を紹介したい。もともと私は技術者のはしくれで生産設備開発・製造からメンテナンス業務に従事していた。販社へ出向したタイミングで社長から「既存顧客の設備メンテナンスをおこないながら提案営業をおこなう役割」を特命で仰せつかった。この営業形態の狙いは既存顧客の設備状態監視をおこないながらメンテナンスで稼ぎ、顧客との関係を強化して相手の事業規模拡大やりプレイス情報を早期に入手することにある。商機を種の段階から見つけ、育て上げるといったところだ。もともと設備に明るい私は現場に飛び込むことに違和感はなく、設備故障やちょこ停など稼働率の低下といったユーザーの悩みに対して「お客様のお力になるために自分たちができることは何か」を自然に追求する気概が生まれてきた。一生懸命、設備をメンテナンスすることでお客様との人間関係も構築され、そのうち事業拡大による工場拡張設備の受注や他メーカ設備のりプレイス注文に繋がっていった。
既存顧客を巡回しながら設備のメンテナンスをおこなうので必然的に新規顧客への訪問機会は少なくなるが、それでも既顧客との信頼関係が厚くなると共に受注が増えていった。結果的に顧客の差別化・絞り込みをおこない顧客内シェアを上げることに繋がったものとみる。この成功事例の背景にも社会構造の変化があるようだ。顧客と話をすると拠点の海外移転や高齢化による技術者の不足が深刻な悩みであるということがわかってきた。


3.市場動向を掴み、自社保有の技術を活用して機会を得る!
この2つの事例には共通点がある。それは「自社が保有するメンテナンス技術を最大限に活かして顧客満足を追求する営業モデルを確立した」ことである。先に紹介したヤマグチは、もともと創業がライトバンで家電修理を請け負う業態であった。
100年に一度の不況といわれビジネスへの影響を実感する昨今、社会環境の変化を見定め「顧客密着」といったキーワードが「守ることで攻めに転じ、結果として売上を拡大する」ヒントに繋がるものとみる。
関連商品: 事業構造改革
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
東京都町田市にあるパナソニックショップ:ヤマグチの事例は地域密着型販売店の成功モデルとして年初の日経ビジネス誌にも掲載された。
今や家電販売はコジマ、ヤマダ、ヨドバシなどおなじみの量販店や、インターネットが主流の通販が大勢を占めている。いずれも不特定多数の顧客に対して大量販売をおこなうため、低価格や品揃えなどが売上・収益確保の条件と見られる。
しかし、ヤマグチの場合は状況が異なっている。典型的な御用聞き営業を主力に地域密着型の販売体制を敷き、しかも量販店やネット通販などよりはるかに高いオープンプライス(旧希望小売価格)レベルでの販売を実現している。
その特徴は外販専門営業マン13名が一人あたり500人~700人の固定顧客を受けもち、各家庭を訪問するというものだ。ベッドタウンである町田市は42万人近い住民が集積する地域で、顧客の多くは古くから地場で生活する高齢者が多い。なにかとヤマグチの担当者を頼りにして、いろんな電話が絶えないという。「テレビの画像が乱れる」、「FAXの調子が悪い」などの相談には営業マンがすぐさま自宅を訪問し、可能な範囲の調整・修理をおこなう。しかし、機器や部品の劣化など、いわゆる寿命には顧客の生活環境や機器の使用状態を見ながら直ぐに新商品の紹介をおこなう。量販店などと比較すると割高ではあるが、顧客との信頼関係が出来上がっているので提案は直ぐに商談に繋る。この背景は地域の高齢化と家電製品の操作性が複雑になったことが関係している。核家族化が進み高齢化や、ご近所づきあいが希薄になるという社会環境の変化に、ヤマグチのような小回りの利く小売店の役割が再認識される時代でもあるようだ。


2.大手産業車両メーカの事業拡大:物流システム事業
次に大手産業車両メーカで物流設備を担当した販社での経験を紹介したい。もともと私は技術者のはしくれで生産設備開発・製造からメンテナンス業務に従事していた。販社へ出向したタイミングで社長から「既存顧客の設備メンテナンスをおこないながら提案営業をおこなう役割」を特命で仰せつかった。この営業形態の狙いは既存顧客の設備状態監視をおこないながらメンテナンスで稼ぎ、顧客との関係を強化して相手の事業規模拡大やりプレイス情報を早期に入手することにある。商機を種の段階から見つけ、育て上げるといったところだ。もともと設備に明るい私は現場に飛び込むことに違和感はなく、設備故障やちょこ停など稼働率の低下といったユーザーの悩みに対して「お客様のお力になるために自分たちができることは何か」を自然に追求する気概が生まれてきた。一生懸命、設備をメンテナンスすることでお客様との人間関係も構築され、そのうち事業拡大による工場拡張設備の受注や他メーカ設備のりプレイス注文に繋がっていった。
既存顧客を巡回しながら設備のメンテナンスをおこなうので必然的に新規顧客への訪問機会は少なくなるが、それでも既顧客との信頼関係が厚くなると共に受注が増えていった。結果的に顧客の差別化・絞り込みをおこない顧客内シェアを上げることに繋がったものとみる。この成功事例の背景にも社会構造の変化があるようだ。顧客と話をすると拠点の海外移転や高齢化による技術者の不足が深刻な悩みであるということがわかってきた。


3.市場動向を掴み、自社保有の技術を活用して機会を得る!
この2つの事例には共通点がある。それは「自社が保有するメンテナンス技術を最大限に活かして顧客満足を追求する営業モデルを確立した」ことである。先に紹介したヤマグチは、もともと創業がライトバンで家電修理を請け負う業態であった。
100年に一度の不況といわれビジネスへの影響を実感する昨今、社会環境の変化を見定め「顧客密着」といったキーワードが「守ることで攻めに転じ、結果として売上を拡大する」ヒントに繋がるものとみる。
関連商品: 事業構造改革
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/016/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
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役割の分担と可視化
1.役割・業務分担の曖昧さをどう解消するか
サプライチェーンを検討する上での第一歩は、それを構成する者(プレーヤーと呼びます。例えば会社、部署など、サプライチェーンにおいて特定の役割を果たす主体のことです)どうしで、役割分担がきちんと定義されているか、の検証から始まります。
見込製品のサプライチェーンでは、モノ・プロセスとも標準がはっきりしているので、プレーヤー間での役割分担もそれなりに整理されているでしょう。
しかしながら受注設計製品では、案件毎に製品仕様が異なる=標準が決めにくいため、プレーヤー間の役割分担も曖昧なケースが散見されます。これを曖昧なままで放っておくと
・ヒトのスキルに頼った業務運用となり、優秀な人材が日常業務に取られてしまう
・当事者以外からは結果しか見えないので、業務量に比例したアタマ数が必要になってしまう
という事態に陥るのは必至です。
対策には様々なものが考えられるでしょうが、本稿では
・プレーヤーの提供価値に着目して役割/機能分担を決める
・決めた分担を業務機能体系に反映し、可視化状態にする
・評価指標を用いて、可視化状態を維持する
といったアプローチをご紹介します。
2.提供価値の分担原則
なぜそのサプライチェーンプレーヤー(自社・取引先、営業・設計など)が起用されているのでしょうか。サプライチェーンにおけるプレーヤーの提供価値で見た場合、価値の生成または価値入手の便宜供与において、明確に貢献しているかどうかが、役割分担を分析する切り口の一つとなります。

3.価値の生成および提供に必要な役割
プレーヤーの役割分担を考える際、下記のような役割がどのレベルまで必要か、予め方針を立てておき、それに従ってプレーヤーを起用するのがよいと思われます。

4.社外との機能分担を検討する
役割分担の方針に従って選定したプレーヤーではありますが、次は、どのように繋いでサプライチェーンを構成するかが問題です。
またサプライチェーン全体として、そもそもどのような機能が必要であるか、プレーヤー間で議論できる共通の基盤が必要です。
下記の例は、SCC(Supply Chain Council)が提唱するSCOR(Supply Chain Operation Reference model)を、必要な機能を検討するための基盤に用いて、企業間の機能分担とつなぎ方を分析したものです。

5.社内部門間での業務分担を決める
社内においても、部門間での業務分担が問題となります。業務分担を考える上での基本方針は ・価値生成業務は、重複しない限り部門に分散しても構わない ・補助業務については、極力部門集約をするです。このような方針を立てた上で、実際の業務をどの部門に振っていくかを検討します。

6.業務分担を部門の業務構成表に纏める
サプライチェーンを運営する上での定常的な業務は、機能-業務-作業のように階層的に体系化することができます。
業務分担の結果は、『業務構成表』という形で、部門が行うべき業務一覧として定義します。

7.作業マニュアルにて業務の可視化状態を定義する
個々の作業は、『作業マニュアル』という形で標準業務化します。作業マニュアルを日常的に用いることにより
管理者 :KPI/KPOを用いて業務の品質を確保する
作業者 :S.T.を用いて作業の能率をセルフチェックする
ことができます。

8.業務機能体系の全体像
これまで述べてきたように、社外との役割分担結果は、自社の機能体系として定義されます。これを「部門別役割定義(いわゆる業務分掌)」に基づいて分担した結果が、各部門の業務構成表といえます。
自社内で組織変更が生じた場合は、業務構成のレベルで部門間の調整が行われ、その結果として新たな業務構成が定義されますが、あくまで部門間での業務の授受となります。もちろん業務を構成する作業は、業務の部門間授受に従って、作業マニュアルごとやりとりされます。
この業務機能体系を維持管理する考え方としては
・自社の機能体系 ビジネスモデルの改良に連動して改訂
・業務構成表 組織変更時にのみ部門間で調整
・作業マニュアル その時点で所有する部門が維持向上
とするのが妥当と思われます。

9.評価指標とセットで可視化状態を維持する
これまで述べてきたことは、ある方針に従って役割を再配置する、すなわち可視化状態を作る話でした。図示すると下記左側のようになります。
ご紹介してきたアプローチはこのように構造的ですから、それぞれのステージに対応する管理指標をうまく選んで(下記右側)運用すれば、役割・業務の可視化状態を維持することが容易になります。

関連商品: X-Chain Management
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC00.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/014/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
サプライチェーンを検討する上での第一歩は、それを構成する者(プレーヤーと呼びます。例えば会社、部署など、サプライチェーンにおいて特定の役割を果たす主体のことです)どうしで、役割分担がきちんと定義されているか、の検証から始まります。
見込製品のサプライチェーンでは、モノ・プロセスとも標準がはっきりしているので、プレーヤー間での役割分担もそれなりに整理されているでしょう。
しかしながら受注設計製品では、案件毎に製品仕様が異なる=標準が決めにくいため、プレーヤー間の役割分担も曖昧なケースが散見されます。これを曖昧なままで放っておくと
・ヒトのスキルに頼った業務運用となり、優秀な人材が日常業務に取られてしまう
・当事者以外からは結果しか見えないので、業務量に比例したアタマ数が必要になってしまう
という事態に陥るのは必至です。
対策には様々なものが考えられるでしょうが、本稿では
・プレーヤーの提供価値に着目して役割/機能分担を決める
・決めた分担を業務機能体系に反映し、可視化状態にする
・評価指標を用いて、可視化状態を維持する
といったアプローチをご紹介します。
2.提供価値の分担原則
なぜそのサプライチェーンプレーヤー(自社・取引先、営業・設計など)が起用されているのでしょうか。サプライチェーンにおけるプレーヤーの提供価値で見た場合、価値の生成または価値入手の便宜供与において、明確に貢献しているかどうかが、役割分担を分析する切り口の一つとなります。

3.価値の生成および提供に必要な役割
プレーヤーの役割分担を考える際、下記のような役割がどのレベルまで必要か、予め方針を立てておき、それに従ってプレーヤーを起用するのがよいと思われます。

4.社外との機能分担を検討する
役割分担の方針に従って選定したプレーヤーではありますが、次は、どのように繋いでサプライチェーンを構成するかが問題です。
またサプライチェーン全体として、そもそもどのような機能が必要であるか、プレーヤー間で議論できる共通の基盤が必要です。
下記の例は、SCC(Supply Chain Council)が提唱するSCOR(Supply Chain Operation Reference model)を、必要な機能を検討するための基盤に用いて、企業間の機能分担とつなぎ方を分析したものです。

5.社内部門間での業務分担を決める
社内においても、部門間での業務分担が問題となります。業務分担を考える上での基本方針は ・価値生成業務は、重複しない限り部門に分散しても構わない ・補助業務については、極力部門集約をするです。このような方針を立てた上で、実際の業務をどの部門に振っていくかを検討します。

6.業務分担を部門の業務構成表に纏める
サプライチェーンを運営する上での定常的な業務は、機能-業務-作業のように階層的に体系化することができます。
業務分担の結果は、『業務構成表』という形で、部門が行うべき業務一覧として定義します。

7.作業マニュアルにて業務の可視化状態を定義する
個々の作業は、『作業マニュアル』という形で標準業務化します。作業マニュアルを日常的に用いることにより
管理者 :KPI/KPOを用いて業務の品質を確保する
作業者 :S.T.を用いて作業の能率をセルフチェックする
ことができます。

8.業務機能体系の全体像
これまで述べてきたように、社外との役割分担結果は、自社の機能体系として定義されます。これを「部門別役割定義(いわゆる業務分掌)」に基づいて分担した結果が、各部門の業務構成表といえます。
自社内で組織変更が生じた場合は、業務構成のレベルで部門間の調整が行われ、その結果として新たな業務構成が定義されますが、あくまで部門間での業務の授受となります。もちろん業務を構成する作業は、業務の部門間授受に従って、作業マニュアルごとやりとりされます。
この業務機能体系を維持管理する考え方としては
・自社の機能体系 ビジネスモデルの改良に連動して改訂
・業務構成表 組織変更時にのみ部門間で調整
・作業マニュアル その時点で所有する部門が維持向上
とするのが妥当と思われます。

9.評価指標とセットで可視化状態を維持する
これまで述べてきたことは、ある方針に従って役割を再配置する、すなわち可視化状態を作る話でした。図示すると下記左側のようになります。
ご紹介してきたアプローチはこのように構造的ですから、それぞれのステージに対応する管理指標をうまく選んで(下記右側)運用すれば、役割・業務の可視化状態を維持することが容易になります。

関連商品: X-Chain Management
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC00.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/014/
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フロントローディングを成功させるには
1.2つの要件と3つのポイント
受注設計製品の製造において、フロントローディング;
「前工程が作業を行っている最中から、後工程が前の状況に合わせて作業を開始することにより、効率化と品質向上をめざす」という考え方自体は、以前からありました。
しかしながら、受注産業の性が染みついているのか、「受注してから考えればよい」「自工程に来てから考えればよい」という意識が強く、一部の業界を除いては事例もまだまだ少ないのが現状です。
フロントローディングとはつまるところ、後工程の先行開始に他なりませんから、これを成功させるためには
【2つの要件】
後工程で必要とする情報が、前工程の時点で明らかになっていること
前工程の進捗が、後工程からもタイムリーに把握できること
が必要です。よってここでは次の3つを、フロントローディング成功のポイントと位置づけたいと思います。
【3つのポイント】
1)受注前から生産準備に入ることを前提に、商談の段階から必要な情報を先行取得する
2)設計の段階から後工程が準備できるよう、設計をも含めた全体日程を管理する
3)設計の出図以降で手戻りが発生しないよう、製造部門が設計のアウトプットをレビューする
このうち、今回は2)、3)について考えていきます。
2.設計の進捗を外部から知る方法
設計は自ら仕様を創出する部署であり、その過程においては他部門との連携が少ないため、いかんせん作業がブラックボックス化しがちです。ともすれば他部門からは
現在の設計状況がどうなっているかわからない
今後の設計進捗についても見当がつかない
ため、案件としての日程管理は出図以降でしか行われないことが多いようです。
設計のように、専門性が高い業務の進捗を外部から知る方法としては、昨今話題となっているプロジェクト管理技法の中でEVMS(Earned Value Management System)という手法が応用できると思われます。この方法のミソは『進捗の予定と実績を費用化して対比する』点にあります。
方法は非常にシンプルで、次の3点を実施します:
1)費用が発生するタイミングと積算値を、管理工程単位(or管理期間単位)に割り振る
2)設計の進捗率は従来どおり「○○%終了」のように報告して貰う
3)予定期間における費用の、実際の発生の仕方と進捗率の報告とを対比する
小さなプロジェクトであれば、内部に精通したプロジェクトマネージャーが全て掌握&統制可能でしょうが、巨大プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーの場合、内部の全てに通じ切れていないにも拘わらず、予定期間内に、予算を管理しながら、所定の品質で納入しなければなりません。
このように中身に立ち入れない場合であっても、プロジェクトのQCDを管理する必要性から、EVMSは考案されました。(もちろん、これ一つで全てOKというわけではありません)
プロジェクトの予算とスケジュールを立てるとき、類似の過去事例を参考に立案するのが一般的ですが、EVMSでもその精度を信頼した上で、予算を管理工程単位に割り振ります。プロジェクトが始まると、予算はスケジュールの進行に伴って消化されますが、EVMSではその進捗度合い、および予算との差異割合を監視することで、管理工程の内部に立ち入ることなく、管理工程内の状況を推測します。
EVMSでは
-価値の創出予定(=費用の進捗計画、BCWS)
に対し
-作業の進捗(価値創出の進捗(進捗率→能率))
-経費の進捗(ACWP)
の2つで実績を捉えます。計画した価値量を創出するには
-今の能率ではあとどれくらいかかりそうか
-計画価値の到達期日と追加経費をどれ位に設定するか
のように考えてシミュレーションを行うことができます。(BCWP)
グラフにプロットすると下図のようになります。

このようにEVMSは計画と実績を費用化して比べることで、今後の日程&経費の落ち着きを予測するものです。
なお、EVMSでは次の3点を前提としています:
費用の見積がかなり正しい
作業者の進捗率がうまく測定できる
作業者の消費工数(or消化経費)がタイムリーに把握できる
EVMSを活用できるか否かは、実績把握に向けての作業者の協力に掛かっているといっても過言ではありません。
設計の進捗管理にも、EVMSこの考え方が応用できます。
案件の進行管理は生産管理担当者であることが一般的ですが、彼にしたところで、設計の中身はブラックボックス化していることが多いです。ここで「設計のことはわからないので、出図以降で頑張るしかないや」としたらどうでしょう?すでにかなりの日程を消化してしまっているので、外注先や生産工程へ、無理な日程をお願いすることが常になっていないでしょうか?
全体の日程は限られていますから、「出図以降で頑張る」のではなく「設計進捗を見ながら後工程が前準備する」、そのために設計の進捗を知る道具として、EVMSの応用を考えてみては如何でしょうか:
【EVMSによる設計進捗管理の着眼点】
・予定期間と費用とに比例した進捗率の上がり方となっているか
-発生費用に比べ進捗率がいやに高い→大きなモレ・ヌケがないか
-発生費用に比べ進捗率がいやに低い→設計において大きなトラブルが発生していないか
・現在の費用発生状況からすればいつ頃完了しそうか
・増員するなどした場合の影響はどうなるか
などが推測できれば、設計以降の調達や外注、生産工程などでも、効率を考えながら準備を行うことができる筈です。
〈例〉EVMSの使い方

3.製造による設計アウトプットのプレビュー
設計者は顧客仕様を元に、徐々に詳細の設計仕様へ落とし込んでいきます。その結果に基づき、部材の生産・手配を通じて、仕様という情報をモノの形にしたのち、設計と逆の流れでモノをくみ上げていきます。つまり、設計工程の末端の出力(設計仕様)は、組立工程における起点の入力となります。そこで出図の前、設計がほぼ終了した部位から順に、組立準備のための事前レビューを行うことにより、出図後の手戻りを最小限に止めると共に、全体工期の短縮を狙うことができるようになります。

受注設計製品では、どのようにモノを加工するか・組み立てるかを、製造が図面を見ながら検討を行いますが、
もし出図前に、これを行うことができれば
①過去の設計責不具合の再発を、製造の目によって防止する
②製造側から、作業の効率を考慮した改良要望を出しやすくなる
③製造が早めに図面を見ることで、負荷制約を早期に把握でき工程編成へ反映しやすくなる
④製造側は、部品が揃っていることを先ず確認するクセがあるため、部品の手配準備ミスが減る
⑤図面の修正手続きは出図後に比べ非常に簡単(設計が余分な工数を取られない)
などのメリットも得ることが期待できるのです。
製造による設計プレビューのおおまかな流れ(事例)を、以下にご紹介します:
〈事例〉製造による設計プレビューの流れ

4.まとめ
フロントローディングに対する今回の提言を、部門の位置関係上に表すと下記のようになります:

関連商品: 「ビジネスプロセス改革」コンサルティング
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受注設計製品の製造において、フロントローディング;
「前工程が作業を行っている最中から、後工程が前の状況に合わせて作業を開始することにより、効率化と品質向上をめざす」という考え方自体は、以前からありました。
しかしながら、受注産業の性が染みついているのか、「受注してから考えればよい」「自工程に来てから考えればよい」という意識が強く、一部の業界を除いては事例もまだまだ少ないのが現状です。
フロントローディングとはつまるところ、後工程の先行開始に他なりませんから、これを成功させるためには
【2つの要件】
後工程で必要とする情報が、前工程の時点で明らかになっていること
前工程の進捗が、後工程からもタイムリーに把握できること
が必要です。よってここでは次の3つを、フロントローディング成功のポイントと位置づけたいと思います。
【3つのポイント】
1)受注前から生産準備に入ることを前提に、商談の段階から必要な情報を先行取得する
2)設計の段階から後工程が準備できるよう、設計をも含めた全体日程を管理する
3)設計の出図以降で手戻りが発生しないよう、製造部門が設計のアウトプットをレビューする
このうち、今回は2)、3)について考えていきます。
2.設計の進捗を外部から知る方法
設計は自ら仕様を創出する部署であり、その過程においては他部門との連携が少ないため、いかんせん作業がブラックボックス化しがちです。ともすれば他部門からは
現在の設計状況がどうなっているかわからない
今後の設計進捗についても見当がつかない
ため、案件としての日程管理は出図以降でしか行われないことが多いようです。
設計のように、専門性が高い業務の進捗を外部から知る方法としては、昨今話題となっているプロジェクト管理技法の中でEVMS(Earned Value Management System)という手法が応用できると思われます。この方法のミソは『進捗の予定と実績を費用化して対比する』点にあります。
方法は非常にシンプルで、次の3点を実施します:
1)費用が発生するタイミングと積算値を、管理工程単位(or管理期間単位)に割り振る
2)設計の進捗率は従来どおり「○○%終了」のように報告して貰う
3)予定期間における費用の、実際の発生の仕方と進捗率の報告とを対比する
小さなプロジェクトであれば、内部に精通したプロジェクトマネージャーが全て掌握&統制可能でしょうが、巨大プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーの場合、内部の全てに通じ切れていないにも拘わらず、予定期間内に、予算を管理しながら、所定の品質で納入しなければなりません。
このように中身に立ち入れない場合であっても、プロジェクトのQCDを管理する必要性から、EVMSは考案されました。(もちろん、これ一つで全てOKというわけではありません)
プロジェクトの予算とスケジュールを立てるとき、類似の過去事例を参考に立案するのが一般的ですが、EVMSでもその精度を信頼した上で、予算を管理工程単位に割り振ります。プロジェクトが始まると、予算はスケジュールの進行に伴って消化されますが、EVMSではその進捗度合い、および予算との差異割合を監視することで、管理工程の内部に立ち入ることなく、管理工程内の状況を推測します。
EVMSでは
-価値の創出予定(=費用の進捗計画、BCWS)
に対し
-作業の進捗(価値創出の進捗(進捗率→能率))
-経費の進捗(ACWP)
の2つで実績を捉えます。計画した価値量を創出するには
-今の能率ではあとどれくらいかかりそうか
-計画価値の到達期日と追加経費をどれ位に設定するか
のように考えてシミュレーションを行うことができます。(BCWP)
グラフにプロットすると下図のようになります。

このようにEVMSは計画と実績を費用化して比べることで、今後の日程&経費の落ち着きを予測するものです。
なお、EVMSでは次の3点を前提としています:
費用の見積がかなり正しい
作業者の進捗率がうまく測定できる
作業者の消費工数(or消化経費)がタイムリーに把握できる
EVMSを活用できるか否かは、実績把握に向けての作業者の協力に掛かっているといっても過言ではありません。
設計の進捗管理にも、EVMSこの考え方が応用できます。
案件の進行管理は生産管理担当者であることが一般的ですが、彼にしたところで、設計の中身はブラックボックス化していることが多いです。ここで「設計のことはわからないので、出図以降で頑張るしかないや」としたらどうでしょう?すでにかなりの日程を消化してしまっているので、外注先や生産工程へ、無理な日程をお願いすることが常になっていないでしょうか?
全体の日程は限られていますから、「出図以降で頑張る」のではなく「設計進捗を見ながら後工程が前準備する」、そのために設計の進捗を知る道具として、EVMSの応用を考えてみては如何でしょうか:
【EVMSによる設計進捗管理の着眼点】
・予定期間と費用とに比例した進捗率の上がり方となっているか
-発生費用に比べ進捗率がいやに高い→大きなモレ・ヌケがないか
-発生費用に比べ進捗率がいやに低い→設計において大きなトラブルが発生していないか
・現在の費用発生状況からすればいつ頃完了しそうか
・増員するなどした場合の影響はどうなるか
などが推測できれば、設計以降の調達や外注、生産工程などでも、効率を考えながら準備を行うことができる筈です。
〈例〉EVMSの使い方

3.製造による設計アウトプットのプレビュー
設計者は顧客仕様を元に、徐々に詳細の設計仕様へ落とし込んでいきます。その結果に基づき、部材の生産・手配を通じて、仕様という情報をモノの形にしたのち、設計と逆の流れでモノをくみ上げていきます。つまり、設計工程の末端の出力(設計仕様)は、組立工程における起点の入力となります。そこで出図の前、設計がほぼ終了した部位から順に、組立準備のための事前レビューを行うことにより、出図後の手戻りを最小限に止めると共に、全体工期の短縮を狙うことができるようになります。

受注設計製品では、どのようにモノを加工するか・組み立てるかを、製造が図面を見ながら検討を行いますが、
もし出図前に、これを行うことができれば
①過去の設計責不具合の再発を、製造の目によって防止する
②製造側から、作業の効率を考慮した改良要望を出しやすくなる
③製造が早めに図面を見ることで、負荷制約を早期に把握でき工程編成へ反映しやすくなる
④製造側は、部品が揃っていることを先ず確認するクセがあるため、部品の手配準備ミスが減る
⑤図面の修正手続きは出図後に比べ非常に簡単(設計が余分な工数を取られない)
などのメリットも得ることが期待できるのです。
製造による設計プレビューのおおまかな流れ(事例)を、以下にご紹介します:
〈事例〉製造による設計プレビューの流れ

4.まとめ
フロントローディングに対する今回の提言を、部門の位置関係上に表すと下記のようになります:

関連商品: 「ビジネスプロセス改革」コンサルティング
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組織横断型コストダウン活動の取り組み方
コストダウンは企業内の多くの部門、サプライヤーなどビジネス・パートナーとの協業により大きな効果を狙うことができます。従来にないこうした組織横断型の取り組みに、コンセンサスを重視したアプローチを採用すべきです。
1.はじめに
今回は、サプライチェーン全体視点でのコストダウン活動を組織横断で実施する重要性とその活動のツボを説明します。
各企業様では、コストダウンを永続的な課題として取組んでおられることと思います。この取り組みには、これまでにも述べてきたように、従来の製品別、部門別、企業別の個別の追求の壁を破り、全体最適の視点からの追求と実現を追及することが重要です。
製品コストの原型を作るのはもちろん設計。原料、部品を購入するのは購買。物を運ぶ必要もありますし、生産活動を管理運営する人・部門も必要です。サプライチェーン全体で発生するコストで競争する時代に、真のコストダウン活動は個々の個人・組織のみの活動ではなく、組織横断的な活動を行うことこそが重要なのです。たとえば部品一つを取ってみても、設計が新しく図面をひきます。この図面を基にして生産仕様が決定され、自社内生産設備能力によっては外部に発注されます。どの外注先を使いましょうか?部品が納入されるときの搬送は効率的に行われていますか?運びやすい部品仕様ですか?
このように部品一つをとってもコストを決定する要因は、多くの部門・組織に関係しています。サプライチェーンのコストは企業あるいは企業をまたいだサプライチェーン全体の活動そのものにより形成されています。コストを作りこむためには、組織横断的な活動が絶対に必要になるのです。
では、この取り組みをどのように進めたら良いでしょうか?本ブログでその要点を述べたいと思います。
2.組織横断型コスト追求の第一歩は真のコスト構成を全員で知ること!
製品のコスト構成を自社の目ではなく、サプライチェーン全体視点で見直すと下の図のように書き換えられます。このようにサプライチェーン全体を通してみると、例えば下記の例では製品の加工・組立に関係するコストは自社の目から見えていたより、割合が多いことが解ります。

サプライチェーン全体でのコスト構成を明らかにし、関係者全員が正しい認識を持つことで、コストダウンすべき真のターゲットが明確になります。
3.全体最適視点で問題解決を!
コストダウン活動だけではありませんが、部門毎の改善活動は取り組みやすい反面、自部門の効率のみを追い求める「個別最適」になりがちです。「個別最適」の最大の弊害は、活動が自己満足に陥りやすく他部門へのロスの付け替えになってしまいがちなことです。サプライチェーン全体のコストダウンは各部門観点は犠牲にしても全体のコスト水準を下げるトレードオフ事項への意思決定とも言えます。

4.全体視点からのコストダウンにコンセンサスを重視したアプローチを!
組織横断的な活動を行う有効性・重要性を述べてきましたが、実際の活動を開始するにあたってのポイントをいくつか紹介します。
1.部門間(時には企業間)の直接お金に絡む利害関係を乗り越えて全体コストを下げる取り組みです。また、全組織、他企業をいきなり巻き込んで体制を組むことが難しいケースも多々あります。
2.成果を実感しながら、段階的に活動範囲を広げていくことが実際的です。
(例えば)
①まずは部門間から取り組み、グループ会社との連携、企業横断、と徐々に関係組織を広げていく
②ある領域に絞って始める(サンプル製品から、特定コスト項目から)
③事前に成果配分方法を取り決めておく
(事例)サプライヤーとの協業による納入コストダウンについてはコストダウン成果の半額を購入価格に反映する
3.まずは領域を絞って、短期間のワークショップから始め、関係者がサプライチェーン全体視点からコストを追求する意味を実感することから始めることも有効です。以下にその例を示します。
サプライチェーンコスト組織横断型アプローチの概略イメージ

今回は、企業のコストダウン活動をサプライチェーン全体視点で実施するために必要な組織横断型活動のアプローチについて紹介しました。
サプライチェーン全体視点からのアプローチは利害が対立する数多くの組織体の協調を取る、全体最適のコンセンサスを作り続ける活動です。それには、これまで多くの企業が取組んできたSCM活動のノウハウが生かされるはずです。また、コストという同じ言葉、業績に直結する指標を使って、さらなる全体最適の追求に役立つことと思われます。
関連商品: 「総コスト改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC04.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/018/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
1.はじめに
今回は、サプライチェーン全体視点でのコストダウン活動を組織横断で実施する重要性とその活動のツボを説明します。
各企業様では、コストダウンを永続的な課題として取組んでおられることと思います。この取り組みには、これまでにも述べてきたように、従来の製品別、部門別、企業別の個別の追求の壁を破り、全体最適の視点からの追求と実現を追及することが重要です。
製品コストの原型を作るのはもちろん設計。原料、部品を購入するのは購買。物を運ぶ必要もありますし、生産活動を管理運営する人・部門も必要です。サプライチェーン全体で発生するコストで競争する時代に、真のコストダウン活動は個々の個人・組織のみの活動ではなく、組織横断的な活動を行うことこそが重要なのです。たとえば部品一つを取ってみても、設計が新しく図面をひきます。この図面を基にして生産仕様が決定され、自社内生産設備能力によっては外部に発注されます。どの外注先を使いましょうか?部品が納入されるときの搬送は効率的に行われていますか?運びやすい部品仕様ですか?
このように部品一つをとってもコストを決定する要因は、多くの部門・組織に関係しています。サプライチェーンのコストは企業あるいは企業をまたいだサプライチェーン全体の活動そのものにより形成されています。コストを作りこむためには、組織横断的な活動が絶対に必要になるのです。
では、この取り組みをどのように進めたら良いでしょうか?本ブログでその要点を述べたいと思います。
2.組織横断型コスト追求の第一歩は真のコスト構成を全員で知ること!
製品のコスト構成を自社の目ではなく、サプライチェーン全体視点で見直すと下の図のように書き換えられます。このようにサプライチェーン全体を通してみると、例えば下記の例では製品の加工・組立に関係するコストは自社の目から見えていたより、割合が多いことが解ります。

サプライチェーン全体でのコスト構成を明らかにし、関係者全員が正しい認識を持つことで、コストダウンすべき真のターゲットが明確になります。
3.全体最適視点で問題解決を!
コストダウン活動だけではありませんが、部門毎の改善活動は取り組みやすい反面、自部門の効率のみを追い求める「個別最適」になりがちです。「個別最適」の最大の弊害は、活動が自己満足に陥りやすく他部門へのロスの付け替えになってしまいがちなことです。サプライチェーン全体のコストダウンは各部門観点は犠牲にしても全体のコスト水準を下げるトレードオフ事項への意思決定とも言えます。

4.全体視点からのコストダウンにコンセンサスを重視したアプローチを!
組織横断的な活動を行う有効性・重要性を述べてきましたが、実際の活動を開始するにあたってのポイントをいくつか紹介します。
1.部門間(時には企業間)の直接お金に絡む利害関係を乗り越えて全体コストを下げる取り組みです。また、全組織、他企業をいきなり巻き込んで体制を組むことが難しいケースも多々あります。
2.成果を実感しながら、段階的に活動範囲を広げていくことが実際的です。
(例えば)
①まずは部門間から取り組み、グループ会社との連携、企業横断、と徐々に関係組織を広げていく
②ある領域に絞って始める(サンプル製品から、特定コスト項目から)
③事前に成果配分方法を取り決めておく
(事例)サプライヤーとの協業による納入コストダウンについてはコストダウン成果の半額を購入価格に反映する
3.まずは領域を絞って、短期間のワークショップから始め、関係者がサプライチェーン全体視点からコストを追求する意味を実感することから始めることも有効です。以下にその例を示します。
サプライチェーンコスト組織横断型アプローチの概略イメージ

今回は、企業のコストダウン活動をサプライチェーン全体視点で実施するために必要な組織横断型活動のアプローチについて紹介しました。
サプライチェーン全体視点からのアプローチは利害が対立する数多くの組織体の協調を取る、全体最適のコンセンサスを作り続ける活動です。それには、これまで多くの企業が取組んできたSCM活動のノウハウが生かされるはずです。また、コストという同じ言葉、業績に直結する指標を使って、さらなる全体最適の追求に役立つことと思われます。
関連商品: 「総コスト改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC04.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/018/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
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