プロセス視点からの組織力向上
1.「組織」及び「組織力向上」の必要性
組織力向上の必要性
企業という形態が、人が集まりって、それぞれが役割を持って、ビジネス活動を実践する限り、「組織力の向上」は永遠の課題でしょう。いつの時代も、企業は「組織力を向上させたい」と考え、それによりビジネスを成功に導きたいと願っています。
「組織」の成り立ち
まず、「組織」という形態がなぜ発生したのでしょうか。職人が一人で製品を作っている時代には、「組織」という概念は不要でした。その後、産業革命により一人一人の役割を限定して、それを繋ぐことで、効率的に大量生産するようになりました。このとき同じ役割の人を括ることで、組織が生まれました。

2.「組織」の定義
組織の定義
最初の組織は、製品が出来るまでのプロセスを役割、あるいは機能別に分割したものでした。機能ごとに人を集めるとそのシフトや人員確保などを検討する管理者が必要になります。また、各機能が全体としてうまく機能させるために、経営者が必要になります。
上記のストーリーに従って、ここでは組織を「機能(作業)」×「役職(経営者/管理者/実務者)」と捉えて、「どのように組織力を向上させるか」を考察したいと思います。「機能」×「役職」は、「実行プロセス軸」×「管理プロセス軸」と言い換えることもできます。

3.「組織力向上」の考え方
「組織力」の測定方法
ところで、「組織力」とはどのように把握されるのでしょうか。例えば、「一人あたりの売上高」で評価することができます。この他にも評価指標は存在しますが、突き詰めると、以下に集約されます。

「組織力向上」の基本的な考え方
組織力(ビジネス活動のI/O比率)を向上させるためには、組織の定義で用いた「実行プロセス軸」と「管理プロセス軸」に着目することで、次の3つの方向性が考えられます。

4.「組織力向上」を実現するための施策
「組織力向上」のための施策
前述の3つの方向性をどのように実現すればよいかを、より具体的に考察したいと思います。

5.組織設計の考え方
プロセス視点からの組織設計
事業の本質はモノ、及び情報の加工&伝達など業務の繋がりであり、各業務の繋ぎ目によく不具合や無駄・無理が発生します。業務効率の最大化に着目して、組織設計をする場合、一連のプロセスをどこで区切るか、換言すれば管理者の責任範囲をどこまでにするかを決定することになります。区分の考え方として、弊社では「Xチェーン(後述)」という枠組みを提唱しています。

Xチェーン視点の組織設計
弊社が提唱する「Xチェーン」を基軸に組織設計をご紹介したいと思います。
Xチェーンでは事業を「デマンドチェーン」「エンジニアリングチェーン」「サプライチェーン」そして「サービスチェーン」の4つから構成されると定義しています。(2009年6月3日「組織力向上を目指したXチェーン・マネジメント(XCM)」参照)トレードオフ関係にある情報(例えば、需要と供給)をできる限り集約するという考え方に基づいたとき、これらのチェーン単位が大きさの面、業務効率の面から妥当であると考えています。また、それぞれのチェーン間の繋がりをスムーズになるように、チェーンの役割を明確することで、本部レベルの組織設計ができます。本部内の組織構成も同様のトレードオフ情報の集約という考え方に基づいて、設計することができます。

企業を超えた組織設計
ここまでは、一企業の中の組織設計に関して記述してきましたが、当該企業の役割が決定していることが前提でした。実際には、部品などを自社が生産するのか、外部に委託するのかなど、その企業の果たす役割で組織が変わります。また、外部と言えども、グループ会社の場合とグループ外の会社の場合があります。これはグループ経営のあり方(グループ全体設計)に関係します。企業の役割、あるいはグループ全体の役割を設計する必要があります。その企業、あるいはグループにとってのコア技術は抱え込んで、それ以外は外部に委託することになるかと思います。
サプライチェーンを対象に、企業のインターフェイスを設計例を以下に示します。

6.最後に
ここまで、「実行プロセス軸」と「管理プロセス軸」の2つから組織を捉えて、それぞれの軸に着目して、「組織力を向上させる」ことを考察してきました。製造業の模範である「トヨタ自動車」においても、戦略として、「経営戦略」「現場戦略」の他にそれを繋ぐ「部門戦略」を設定することで、事業環境の変化に追従できる強い組織を作り上げています。(【参考1】参照)
事業の戦略を立てる経営者、現場の効率化を実現する実務者、それらをシステマティックに繋ぐ管理者の3層から組織は成り立ち、特に管理者の実力が事業の成否を左右する程重要です。管理者は、実務者に確実に業務を遂行させる能力と事業を成功させるための戦略を検討する能力の両方が必要です。是非、優秀な管理者を育成して、強い組織を作って頂きたいと思います。
東洋経済新報社から出ている「組織力を高める」(【参考2】参照)では、組織力の鍵を握る管理者(マネージャー)に焦点を当てて、組織力を「遂行能力」と「戦略能力」の積と捉え、強い組織とはどういうものかを解説していますので、参考になるのではないかと思います。
【参考1】日経ものづくり2004年7月号 「なるほどtheメソッド」 p.164-p.167
【参考2】古田興司、平井孝志共著「組織力を高める」 東洋経済新報社 2005年2月24日発行
関連商品: X-Chain Management
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC00.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/014/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
組織力向上の必要性
企業という形態が、人が集まりって、それぞれが役割を持って、ビジネス活動を実践する限り、「組織力の向上」は永遠の課題でしょう。いつの時代も、企業は「組織力を向上させたい」と考え、それによりビジネスを成功に導きたいと願っています。
「組織」の成り立ち
まず、「組織」という形態がなぜ発生したのでしょうか。職人が一人で製品を作っている時代には、「組織」という概念は不要でした。その後、産業革命により一人一人の役割を限定して、それを繋ぐことで、効率的に大量生産するようになりました。このとき同じ役割の人を括ることで、組織が生まれました。

2.「組織」の定義
組織の定義
最初の組織は、製品が出来るまでのプロセスを役割、あるいは機能別に分割したものでした。機能ごとに人を集めるとそのシフトや人員確保などを検討する管理者が必要になります。また、各機能が全体としてうまく機能させるために、経営者が必要になります。
上記のストーリーに従って、ここでは組織を「機能(作業)」×「役職(経営者/管理者/実務者)」と捉えて、「どのように組織力を向上させるか」を考察したいと思います。「機能」×「役職」は、「実行プロセス軸」×「管理プロセス軸」と言い換えることもできます。

3.「組織力向上」の考え方
「組織力」の測定方法
ところで、「組織力」とはどのように把握されるのでしょうか。例えば、「一人あたりの売上高」で評価することができます。この他にも評価指標は存在しますが、突き詰めると、以下に集約されます。

「組織力向上」の基本的な考え方
組織力(ビジネス活動のI/O比率)を向上させるためには、組織の定義で用いた「実行プロセス軸」と「管理プロセス軸」に着目することで、次の3つの方向性が考えられます。

4.「組織力向上」を実現するための施策
「組織力向上」のための施策
前述の3つの方向性をどのように実現すればよいかを、より具体的に考察したいと思います。

5.組織設計の考え方
プロセス視点からの組織設計
事業の本質はモノ、及び情報の加工&伝達など業務の繋がりであり、各業務の繋ぎ目によく不具合や無駄・無理が発生します。業務効率の最大化に着目して、組織設計をする場合、一連のプロセスをどこで区切るか、換言すれば管理者の責任範囲をどこまでにするかを決定することになります。区分の考え方として、弊社では「Xチェーン(後述)」という枠組みを提唱しています。

Xチェーン視点の組織設計
弊社が提唱する「Xチェーン」を基軸に組織設計をご紹介したいと思います。
Xチェーンでは事業を「デマンドチェーン」「エンジニアリングチェーン」「サプライチェーン」そして「サービスチェーン」の4つから構成されると定義しています。(2009年6月3日「組織力向上を目指したXチェーン・マネジメント(XCM)」参照)トレードオフ関係にある情報(例えば、需要と供給)をできる限り集約するという考え方に基づいたとき、これらのチェーン単位が大きさの面、業務効率の面から妥当であると考えています。また、それぞれのチェーン間の繋がりをスムーズになるように、チェーンの役割を明確することで、本部レベルの組織設計ができます。本部内の組織構成も同様のトレードオフ情報の集約という考え方に基づいて、設計することができます。

企業を超えた組織設計
ここまでは、一企業の中の組織設計に関して記述してきましたが、当該企業の役割が決定していることが前提でした。実際には、部品などを自社が生産するのか、外部に委託するのかなど、その企業の果たす役割で組織が変わります。また、外部と言えども、グループ会社の場合とグループ外の会社の場合があります。これはグループ経営のあり方(グループ全体設計)に関係します。企業の役割、あるいはグループ全体の役割を設計する必要があります。その企業、あるいはグループにとってのコア技術は抱え込んで、それ以外は外部に委託することになるかと思います。
サプライチェーンを対象に、企業のインターフェイスを設計例を以下に示します。

6.最後に
ここまで、「実行プロセス軸」と「管理プロセス軸」の2つから組織を捉えて、それぞれの軸に着目して、「組織力を向上させる」ことを考察してきました。製造業の模範である「トヨタ自動車」においても、戦略として、「経営戦略」「現場戦略」の他にそれを繋ぐ「部門戦略」を設定することで、事業環境の変化に追従できる強い組織を作り上げています。(【参考1】参照)
事業の戦略を立てる経営者、現場の効率化を実現する実務者、それらをシステマティックに繋ぐ管理者の3層から組織は成り立ち、特に管理者の実力が事業の成否を左右する程重要です。管理者は、実務者に確実に業務を遂行させる能力と事業を成功させるための戦略を検討する能力の両方が必要です。是非、優秀な管理者を育成して、強い組織を作って頂きたいと思います。
東洋経済新報社から出ている「組織力を高める」(【参考2】参照)では、組織力の鍵を握る管理者(マネージャー)に焦点を当てて、組織力を「遂行能力」と「戦略能力」の積と捉え、強い組織とはどういうものかを解説していますので、参考になるのではないかと思います。
【参考1】日経ものづくり2004年7月号 「なるほどtheメソッド」 p.164-p.167
【参考2】古田興司、平井孝志共著「組織力を高める」 東洋経済新報社 2005年2月24日発行
関連商品: X-Chain Management
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC00.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/014/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
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