ビジネスモデルを起点に考えるプロセス改革 その2
事業構造改革の取り組み方
■「ビジネスモデルのねじれ現象」の発生
ある試験装置メーカーでは、工業規格に合わせて標準製品のラインナップを充実させていた。規格の求める試験を、標準製品とオプションの選択で行えるようにして、その選択方法もマニュアル化した。そのうえで販売を地域ごとの代理店網に任せ、自らは効率の良い製造に努めた結果、長期にわたって大きな成功を収めた。
しかし、「複数の条件で一度に試験を行いたい」「複数の装置を一度に運転したい」など、試験の目的自体は変わらないが、より効率的に行うための要求が目立つようになった。このような製品の本来機能とは異なるニーズを「付加機能ニーズ」というが、これは顧客によって千差万別であり、多くの場合は設計による対応が必要である。その結果、付加機能ニーズが含まれる商談はすべて自社へ持ち込まれるようになり、収益性に大きく影響するようになってきた。
顧客ニーズの変化、顧客そのものの変化、さらには競合や社会環境の変化は、常に起こるものだ。
この変化に従来のビジネスモデルで対処しようとすれば、変化によってズレた分を穴埋めする手間=ロスが生じる。このような状況に陥った状態を、われわれは「ビジネスモデルのねじれ現象」と呼ぶ。従来の経験則が通用せず、売れない・儲からない原因はこの現象にある。
■ビジネスモデルの変革を導く4つの観点
最適なビジネスモデルを実現するには、次の4つの観点:
①誰に(市場/顧客)
②何を(提供価値)
③どのように届けるか(価値提供プロセス)
④どのように儲けるか(収益方法)
で考えるとわかりやすい。
① 誰に:特定の企業名でしか答えられない、逆に漠然と「○○装置を必要とする市場」というのではなく、「○○工程を持ち、設備の更新時期が近い、年商○○以上の独立系組立加工業」というように、具体的かつ一般的に表現できることが望ましい
② 何を:顧客が対価を支払うのは認知した価値そのものか、価値入手への支援に対してのいずれかである。たとえばEMS* の提供価値は、一般的には生産技術と製造能力だが、EMSの製造品質が製品のブランド構築に貢献しているため、製造品質も“価値”と見なすことができる
③ どのように届けるか:自社の価値をもっとも効率的に提供する方法のことである。間違えてはならないのは、自社の提供価値がもっとも役立つように届けることが第一にデザインされるべきであり、もっとも収益を得ることが第一ではないということである
④ どのように儲けるか:このデザインがもっとも難しく、また常なる進化が求められる部分でもある。ある家電メーカーは、ある発展途上国への進出を検討することになった。その国には、すでにいくつかの民族系家電会社が存在していた。この状況において、同社の取り得る収益方法は2つある。1つは、日本から完成品を輸出する・現地工場を建てるといった、製造販売により対価を得る方法。もう1つは、民族系会社に資本参加を行い、株式配当・持分利益を得る方法である(後者は本連載では触れないが、製造業の本分である前者については、その収益メカニズムのデザインパターンがいくつか存在する。これについては次回で詳しく触れてみたい)
これら①~④の観点で、自社の現在の事業について俯瞰してみよう。その際は、単に現状を写すのではなく、現在の強みと弱み・今後の機会と脅威といった見方で整理するとよい。[①~④]×[強み・弱み・機会・脅威]の16マスのマトリクスを用いて分析し、改革の方向性を検討するのである。

■ビジネスモデルを起点としたプロセス再構築の事例
ある産業機械メーカーのビジネスモデルを起点としたプロセス再構築の事例を紹介する。同社の品質とサービスには定評があり、ブランド力も高い。さらなる発展を期して中国への進出を図ったが、思うように販売成績が上がっていかない。「中国市場向けの専用品も投入したのになぜ」というのがトップの疑問であった。
プロジェクトが編成され、問題の原因を探っていくうちに、興味深いポイントが見えてきた。今回投入した製品は、価格の工夫は凝らされていたが、販売マニュアルへの収載ポリシーが日本と同じだったのである。
販売マニュアルは標準型式とオプションの形で製品を収載していたが、この組合わせでカバーできない付加要件は、これを連絡票に書いて設計へ回すことになっていた。この内容を、まったくの現場任せにしてしまったため、現地セールスは顧客の言いなりで書いてきていた。そのまま見積もると論外な金額になってしまうため、設計が顧客とやり取りをする必要が増え、これが設計の生産性を落としていたのである。
一方、中国でも比較的検討している部隊があった。日本から中国に進出している企業への直販部隊である。これらの企業は日本ではすでに同社の顧客であり、客先の商談担当者も日本人であった。彼らは商談レベルに日本と同じものを要求するため、現地セールスには日本での商談経験があるトップクラスのセールスを当てていたのである。そこでプロジェクトは、次のような改革の施策を打ち出した。
・ 蓄積した付加要件を分析して、よくあるパターンについて準標準設計を行った。付加要件のある商談は、準標準製品の要件範囲内へ誘導するようにした
・ 商談要求レベルの高い企業はムリに誘導せず、トップセールスを付けて個別対応を行ってよいとした
この施策を先の4つの観点で整理すると、
① 顧客を層別する
② 特定顧客には個別対応を、一般顧客にはセミカスタム対応を行う
③ セミカスタムで最大効率を発揮できるプロセスを構築する
④ 設計レスにより案件対応力を増やす
というデザインになっていることがわかる。
*EMS:Electronics Manufacturing Services=電子機器製造受託サービス
(「プラントエンジニア」2004/12月号(日本プラントメンテナンス協会)寄稿文より)
関連商品:ビジネスモデル開発研修プログラム
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STE02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048023/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
■「ビジネスモデルのねじれ現象」の発生
ある試験装置メーカーでは、工業規格に合わせて標準製品のラインナップを充実させていた。規格の求める試験を、標準製品とオプションの選択で行えるようにして、その選択方法もマニュアル化した。そのうえで販売を地域ごとの代理店網に任せ、自らは効率の良い製造に努めた結果、長期にわたって大きな成功を収めた。
しかし、「複数の条件で一度に試験を行いたい」「複数の装置を一度に運転したい」など、試験の目的自体は変わらないが、より効率的に行うための要求が目立つようになった。このような製品の本来機能とは異なるニーズを「付加機能ニーズ」というが、これは顧客によって千差万別であり、多くの場合は設計による対応が必要である。その結果、付加機能ニーズが含まれる商談はすべて自社へ持ち込まれるようになり、収益性に大きく影響するようになってきた。
顧客ニーズの変化、顧客そのものの変化、さらには競合や社会環境の変化は、常に起こるものだ。
この変化に従来のビジネスモデルで対処しようとすれば、変化によってズレた分を穴埋めする手間=ロスが生じる。このような状況に陥った状態を、われわれは「ビジネスモデルのねじれ現象」と呼ぶ。従来の経験則が通用せず、売れない・儲からない原因はこの現象にある。
■ビジネスモデルの変革を導く4つの観点
最適なビジネスモデルを実現するには、次の4つの観点:
①誰に(市場/顧客)
②何を(提供価値)
③どのように届けるか(価値提供プロセス)
④どのように儲けるか(収益方法)
で考えるとわかりやすい。
① 誰に:特定の企業名でしか答えられない、逆に漠然と「○○装置を必要とする市場」というのではなく、「○○工程を持ち、設備の更新時期が近い、年商○○以上の独立系組立加工業」というように、具体的かつ一般的に表現できることが望ましい
② 何を:顧客が対価を支払うのは認知した価値そのものか、価値入手への支援に対してのいずれかである。たとえばEMS* の提供価値は、一般的には生産技術と製造能力だが、EMSの製造品質が製品のブランド構築に貢献しているため、製造品質も“価値”と見なすことができる
③ どのように届けるか:自社の価値をもっとも効率的に提供する方法のことである。間違えてはならないのは、自社の提供価値がもっとも役立つように届けることが第一にデザインされるべきであり、もっとも収益を得ることが第一ではないということである
④ どのように儲けるか:このデザインがもっとも難しく、また常なる進化が求められる部分でもある。ある家電メーカーは、ある発展途上国への進出を検討することになった。その国には、すでにいくつかの民族系家電会社が存在していた。この状況において、同社の取り得る収益方法は2つある。1つは、日本から完成品を輸出する・現地工場を建てるといった、製造販売により対価を得る方法。もう1つは、民族系会社に資本参加を行い、株式配当・持分利益を得る方法である(後者は本連載では触れないが、製造業の本分である前者については、その収益メカニズムのデザインパターンがいくつか存在する。これについては次回で詳しく触れてみたい)
これら①~④の観点で、自社の現在の事業について俯瞰してみよう。その際は、単に現状を写すのではなく、現在の強みと弱み・今後の機会と脅威といった見方で整理するとよい。[①~④]×[強み・弱み・機会・脅威]の16マスのマトリクスを用いて分析し、改革の方向性を検討するのである。

■ビジネスモデルを起点としたプロセス再構築の事例
ある産業機械メーカーのビジネスモデルを起点としたプロセス再構築の事例を紹介する。同社の品質とサービスには定評があり、ブランド力も高い。さらなる発展を期して中国への進出を図ったが、思うように販売成績が上がっていかない。「中国市場向けの専用品も投入したのになぜ」というのがトップの疑問であった。
プロジェクトが編成され、問題の原因を探っていくうちに、興味深いポイントが見えてきた。今回投入した製品は、価格の工夫は凝らされていたが、販売マニュアルへの収載ポリシーが日本と同じだったのである。
販売マニュアルは標準型式とオプションの形で製品を収載していたが、この組合わせでカバーできない付加要件は、これを連絡票に書いて設計へ回すことになっていた。この内容を、まったくの現場任せにしてしまったため、現地セールスは顧客の言いなりで書いてきていた。そのまま見積もると論外な金額になってしまうため、設計が顧客とやり取りをする必要が増え、これが設計の生産性を落としていたのである。
一方、中国でも比較的検討している部隊があった。日本から中国に進出している企業への直販部隊である。これらの企業は日本ではすでに同社の顧客であり、客先の商談担当者も日本人であった。彼らは商談レベルに日本と同じものを要求するため、現地セールスには日本での商談経験があるトップクラスのセールスを当てていたのである。そこでプロジェクトは、次のような改革の施策を打ち出した。
・ 蓄積した付加要件を分析して、よくあるパターンについて準標準設計を行った。付加要件のある商談は、準標準製品の要件範囲内へ誘導するようにした
・ 商談要求レベルの高い企業はムリに誘導せず、トップセールスを付けて個別対応を行ってよいとした
この施策を先の4つの観点で整理すると、
① 顧客を層別する
② 特定顧客には個別対応を、一般顧客にはセミカスタム対応を行う
③ セミカスタムで最大効率を発揮できるプロセスを構築する
④ 設計レスにより案件対応力を増やす
というデザインになっていることがわかる。
*EMS:Electronics Manufacturing Services=電子機器製造受託サービス
(「プラントエンジニア」2004/12月号(日本プラントメンテナンス協会)寄稿文より)
関連商品:ビジネスモデル開発研修プログラム
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STE02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048023/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
スポンサーサイト
ビジネスモデルを起点に考えるプロセス改革 その1
プロセス改革はビジネスモデルの観点から推進する
どうやら、われわれは相変わらず変化の時代にいるらしい。“高度情報化時代”“メガ・コンペティション”といった話が身近に感じられないとしても、企業における改善・改革活動は尽きることがない。いったい、何を変えなければいけないのか?製造業に勤めた友人には、海外に赴任いる者も、日本に戻ってきた者もいる。要は、会社が何を「売り」にするかで、ビジネスプロセスの形が変わり、従業員の住みかも変わるということのようだ。
「販売チャネルが、これまで以上の短納期納入を要求する」「製品本体ではなく、交換部品や消耗品が利益を生み出している」「海外からコスト競争力の強い企業が参入してきた」「中国など新市場に向けた商流を確立する必要がある」など、事業環境の変化が起きている。しかし大事なのは、事業環境の変化は今後も起き、そのスピードがどんどん速くなり、変化に呼応してビジネスプロセスが進化し続けなければいけないということである。
事業環境の変化に対応して、継続的にビジネスプロセスを最適化する力、そのための手口が必要とされている。ビジネスプロセスだけをじっと眺めていて変革できるだろうか。明らかに劣るリードタイムや冗長な在庫、ムダな調整業務には対処できるかもしれない。しかし、それだけで十分だろうか。「何をするためのビジネスプロセスか」を本連載を通じて考察したい。
■ビジネスモデルがプロセスの基本形を決める
ビジネスモデルとは、事業の基本形のことである。事業が世の中に便益を提供し、収益を得るための行為であることから、ビジネスモデルとは企業が世の中にモノやサービスといった価値あるものを提供し、収益を得るための事業の基本構造を指す。製造業であれば、優れた製品そのものを世の中に提供することで収益を得ることは、1つのビジネスモデルである。携帯電話や複写機のような製品そのものでなく、ソフトや利用料、消耗品といった、製品利用場面で収益を得るビジネスモデルもある。
ビジネスプロセスとは、サプライチェーンプロセスを含む事業の基幹プロセスを指す。これはビジネスモデルを実行するためのインフラである。企業が世の中に価値あるものを供給し、収益を得るための一連の機能連鎖である。複写機が消耗品で収益を得るビジネスモデルであれば、消耗品の供給、使用済みカートリッジの回収などのモノのプロセス、代金回収などのカネのプロセス、機器の使用状況、受発注など情報のプロセス、およびこれらを統制・管理するプロセスが必要となる。
世の中の誰に(市場、顧客)、何を価値として(モノなのか、役務なのか、付随するサービスなのか)供給して、収益を得ていくのかという明確な定義がなければ、インフラとなるプロセスのデザインも運営もできない。
■製造業でビジネスモデルの見直しが求められる
生産財製造業を想定した場合、既存顧客への提供価値だけでも多くの項目が考えられる。顧客の製品導入時の支援、運転サポート、製品に付随するソリューションサービスなど、顧客に利便性という価値を提供する機会は多く存在する。これらの可能性を徹底的に追求する製造業の代表はGE であろう。同社の年次報告書には、「世界最大の多角的サービス企業であると同時に、高品質と先端技術を誇る工業製品および消費者向け製品を提供しています」とある。
製造業は、もともと「わが社の製品をどう売るか」というような“モノ”中心の発想ではなかったはずだ。技術を世の中に役立てるためなら、“モノ”だけでなくてもよかったはずである。「わが社の製品が届けば顧客はそれで満足である」といい切れる製造業はごく少数に過ぎない。
多くの分野で、収益の源泉が製品からサービス、ソリューションへとシフトしている。製品の売切りでなく、顧客に対して、製品を使用する導入~使用~メンテナンス~買替えといったライフサイクルを通じて、自社の価値を発揮する時代である。とくに、生産財でこの傾向が強い。顧客中心に自社のビジネスモデルを考えるべきだ。なおかつ、顧客はグローバルである。多様である。いったい、どの市場、どの顧客を相手に、何を提供すればよいのか。製造業のビジネスモデルを真剣に議論する必要がある。

■「事業構造改革」アプローチ
ビジネスモデルが再定義されれば、実行するためのインフラとなるビジネスプロセスを整備することが求められる。このプロセスは、提供価値となるモノやサービスなどを届けることができ、かつ最高効率のプロセスでなければならない。製品を取り巻く周辺機器、ソフトなどが収益の源泉であれば、それらをかき集め、ワンストップ供給するためのプロセスも必要だ。
自社だけでできないものは、他社からかき集めるプロセスも必要となる。メンテナンス・サービスは地域ごとの事情に詳しいパートナーと連携しなければならない。3PL* やEMS* の活用も視野に入れなくてはいけない。さまざまなビジネスパートナーが必要だし、社内の体制も仕切り直しがいるかもしれない。多くの関係者が連携するためには、プロセスのCQD に関わる運用ルールも必要だし、ビジネスプロセスがきちんと動いているかを指標で管理し、統制するためのマネジメント・システムも必要だ。ビジネスモデルを実行するためのインフラとして、いくつかの要素が欠かせない。
・ビジネスプロセスそのもの(サプライチェーンプロセスを含む)
・プロセスを構成するプレイヤーと役割分担
・プレイヤー間を結ぶルール
・プロセス・マネジメント・システム
これらは相互に連携しており、どれか1つでも変われば、他の要素に影響を及ぼす構造的関係にある。
ビジネスモデル実践のためのプロセス改革には、構造的改革が求められる。これは事業を営むための構造を再構築することから、「事業構造改革」と呼ぶことができる。果たして、そこでは何が行われるのだろうか。次回以降、具体的に紹介したい。
*3PL:3rd Party Logistics =第三者企業による物流の再構築・遂行
*EMS:Electronics manufacturing Services = 電子機器製造受託サービス
(「プラントエンジニア」2004/11月号(日本プラントメンテナンス協会)寄稿文より)
関連商品:ビジネスモデル開発研修プログラム
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STE02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048023/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
どうやら、われわれは相変わらず変化の時代にいるらしい。“高度情報化時代”“メガ・コンペティション”といった話が身近に感じられないとしても、企業における改善・改革活動は尽きることがない。いったい、何を変えなければいけないのか?製造業に勤めた友人には、海外に赴任いる者も、日本に戻ってきた者もいる。要は、会社が何を「売り」にするかで、ビジネスプロセスの形が変わり、従業員の住みかも変わるということのようだ。
「販売チャネルが、これまで以上の短納期納入を要求する」「製品本体ではなく、交換部品や消耗品が利益を生み出している」「海外からコスト競争力の強い企業が参入してきた」「中国など新市場に向けた商流を確立する必要がある」など、事業環境の変化が起きている。しかし大事なのは、事業環境の変化は今後も起き、そのスピードがどんどん速くなり、変化に呼応してビジネスプロセスが進化し続けなければいけないということである。
事業環境の変化に対応して、継続的にビジネスプロセスを最適化する力、そのための手口が必要とされている。ビジネスプロセスだけをじっと眺めていて変革できるだろうか。明らかに劣るリードタイムや冗長な在庫、ムダな調整業務には対処できるかもしれない。しかし、それだけで十分だろうか。「何をするためのビジネスプロセスか」を本連載を通じて考察したい。
■ビジネスモデルがプロセスの基本形を決める
ビジネスモデルとは、事業の基本形のことである。事業が世の中に便益を提供し、収益を得るための行為であることから、ビジネスモデルとは企業が世の中にモノやサービスといった価値あるものを提供し、収益を得るための事業の基本構造を指す。製造業であれば、優れた製品そのものを世の中に提供することで収益を得ることは、1つのビジネスモデルである。携帯電話や複写機のような製品そのものでなく、ソフトや利用料、消耗品といった、製品利用場面で収益を得るビジネスモデルもある。
ビジネスプロセスとは、サプライチェーンプロセスを含む事業の基幹プロセスを指す。これはビジネスモデルを実行するためのインフラである。企業が世の中に価値あるものを供給し、収益を得るための一連の機能連鎖である。複写機が消耗品で収益を得るビジネスモデルであれば、消耗品の供給、使用済みカートリッジの回収などのモノのプロセス、代金回収などのカネのプロセス、機器の使用状況、受発注など情報のプロセス、およびこれらを統制・管理するプロセスが必要となる。
世の中の誰に(市場、顧客)、何を価値として(モノなのか、役務なのか、付随するサービスなのか)供給して、収益を得ていくのかという明確な定義がなければ、インフラとなるプロセスのデザインも運営もできない。
■製造業でビジネスモデルの見直しが求められる
生産財製造業を想定した場合、既存顧客への提供価値だけでも多くの項目が考えられる。顧客の製品導入時の支援、運転サポート、製品に付随するソリューションサービスなど、顧客に利便性という価値を提供する機会は多く存在する。これらの可能性を徹底的に追求する製造業の代表はGE であろう。同社の年次報告書には、「世界最大の多角的サービス企業であると同時に、高品質と先端技術を誇る工業製品および消費者向け製品を提供しています」とある。
製造業は、もともと「わが社の製品をどう売るか」というような“モノ”中心の発想ではなかったはずだ。技術を世の中に役立てるためなら、“モノ”だけでなくてもよかったはずである。「わが社の製品が届けば顧客はそれで満足である」といい切れる製造業はごく少数に過ぎない。
多くの分野で、収益の源泉が製品からサービス、ソリューションへとシフトしている。製品の売切りでなく、顧客に対して、製品を使用する導入~使用~メンテナンス~買替えといったライフサイクルを通じて、自社の価値を発揮する時代である。とくに、生産財でこの傾向が強い。顧客中心に自社のビジネスモデルを考えるべきだ。なおかつ、顧客はグローバルである。多様である。いったい、どの市場、どの顧客を相手に、何を提供すればよいのか。製造業のビジネスモデルを真剣に議論する必要がある。

■「事業構造改革」アプローチ
ビジネスモデルが再定義されれば、実行するためのインフラとなるビジネスプロセスを整備することが求められる。このプロセスは、提供価値となるモノやサービスなどを届けることができ、かつ最高効率のプロセスでなければならない。製品を取り巻く周辺機器、ソフトなどが収益の源泉であれば、それらをかき集め、ワンストップ供給するためのプロセスも必要だ。
自社だけでできないものは、他社からかき集めるプロセスも必要となる。メンテナンス・サービスは地域ごとの事情に詳しいパートナーと連携しなければならない。3PL* やEMS* の活用も視野に入れなくてはいけない。さまざまなビジネスパートナーが必要だし、社内の体制も仕切り直しがいるかもしれない。多くの関係者が連携するためには、プロセスのCQD に関わる運用ルールも必要だし、ビジネスプロセスがきちんと動いているかを指標で管理し、統制するためのマネジメント・システムも必要だ。ビジネスモデルを実行するためのインフラとして、いくつかの要素が欠かせない。
・ビジネスプロセスそのもの(サプライチェーンプロセスを含む)
・プロセスを構成するプレイヤーと役割分担
・プレイヤー間を結ぶルール
・プロセス・マネジメント・システム
これらは相互に連携しており、どれか1つでも変われば、他の要素に影響を及ぼす構造的関係にある。
ビジネスモデル実践のためのプロセス改革には、構造的改革が求められる。これは事業を営むための構造を再構築することから、「事業構造改革」と呼ぶことができる。果たして、そこでは何が行われるのだろうか。次回以降、具体的に紹介したい。
*3PL:3rd Party Logistics =第三者企業による物流の再構築・遂行
*EMS:Electronics manufacturing Services = 電子機器製造受託サービス
(「プラントエンジニア」2004/11月号(日本プラントメンテナンス協会)寄稿文より)
関連商品:ビジネスモデル開発研修プログラム
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STE02.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048023/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫型の改革事例(医薬系卸)
1.一気通貫型の改革事例(医薬系卸)
1)概要
この稿では、「卸ビジネス」で一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<B社の活動事例>
ここに紹介するのは、医薬品物B社の事例です。医薬品業界は、健康保険の大幅赤字の対策として厚生省が進めた施策「医薬分業」の波を受けて、業界の大再編が今でも続いています。この現象は「卸業」でまずは始まり、「製造メーカー」の合併や、「小売」に相当する「病院・医院」や「薬局」にも波及し、薬局のチェーン化拡大、他業種との提携や合併にまで波及しており、近年では最も大きな業界再編が進んでいる業種・業界です。
本来、卸業は「メーカー」と「小売」の間に位置し、「サプライチェーン・マネジメント」の活動が進む中で、その存在価値を問われている業種です。その中でも「日雑品」や「医薬品」は、日々扱う品種や件数が極めて多いのが特徴です。「医薬品」の中でも医療用医薬品の「小売機能」は大病院の薬局、開業医の調剤が過半を占め、薬局・薬店は大衆薬中心のマイナーな存在でした。この枠組みが「医薬分業」の波を受けて、病院(医者)は「処方」、薬局が「調剤」と分離されたわけです。スタート時の「小売機能」の受け皿は小規模な多数の「薬局」であり、いろいろなメーカーの薬を一手に供給しなければならないわけで、「サプライチェーン」の主役は「卸」が一番その役割を果たせる立場にいました。ただ当時の「卸」は、「武田系」「三共系」のように、メーカー系列で分かれていたり、地域別に存在していました。一つの薬局にはいろいろなメーカーの薬が必要ですから、メーカー系列で分かれていたら役割が果たせません。また、供給すべき「小売機能」も多種多様で数も多く、量をまとめて効率を上げていかないと、「卸業」としてのマージンでは事業が成り立たなくなります。ここに「卸同士の大合併」劇が急速に進行した理由があります。
私どもがお手伝いした会社にも、中堅卸が2社合併し、新会社が設立された直後でした。まだ本社機能のみが1つの皿に入った段階で、オペレーション(営業、物流、事務処理)はそれぞれ2つのやり方のままの状態でした。
卸業のコアは、言うまでもなく「営業力」「物流力」「情報処理・加工力」です。2つの会社が1つになって、これから「それらをどう一元化していくべきか」という段階で、当時の経営トップのお一人が「5年先の自社のビジネスのあり方」をまず構想し、そのモデルを実現するために、それぞれの機能をどう変えていくべきかを考える「プロジェクト」を立ち上げられました。その「ビジネスモデル構築」のお手伝いの話がJBCに投げかけられたわけです。
2つの会社を1つにするとき、それぞれの仕事の仕方をどちらか一方にまとめるやり方(A→B、B→Aにする)が一番手っ取り早いわけですが、これだとお互いにやり方をめぐって論争が起きます。それぞれは自分たちの今までやってきた「やり方」が一番良いと思うのは当然のことだからです。この経営トップの方は、A、Bは今までの環境の中の「モデル」であり、これから先の環境に適合するとは考えられないとの判断のもと、5年先の環境を見てAでもBでもないCをモデルとして構想し、A→C、B→Cにすることで一元化を図ろうと考えられたわけです。
このプロジェクトは両方の会社のこれからを担う中堅幹部を、それぞれから10人程度ずつ選抜し、合計20人のプロジェクトを結成、両社の経営企画機能を一元化した、経営企画部が事務局となって活動をスタートさせました。まずは「5年先の事業モデルの設計」を半年で、そのモデルを実現するための課題解決の実行計画作りを半年行い、そこで作り上げられた構想を大きく「営業」「販売・物流」「間接業務」の3つのプロジェクトに分けて、オペレーションの詳細設計や、それを支える「情報SYSの企画・開発」まで営業領域で2年、販売物流領域で3年かけて仕組み作りを行い、実行へ移行しました(その活動の全体像を次に示します)。この会社はその後、更に合併を続けていますが、仕事を支える情報SYSは、これが柱になって、今でも稼動しています。
2)改革活動支援事例(医薬品卸B社)

2.本事例のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
医薬品ビジネスは「B to B」のビジネスで、製造業と小売機能(病院・薬局)をつなぐ機能です。この事業形態でのビジネスモデルの区分は、SCMの基本概念(顧客指向、プロセス重視、全体最適指向)に照らし合わせれば、「顧客」で分けるのがベターと考え、「顧客区分」毎にビジネスモデルを設計しました。実際のモデルは10幾つになりましたが、ここでは代表的な「病院」と「調剤薬局」の2つのモデルを紹介しています。「小売機能」としては同じでも、顧客が違うと卸が果たすべき機能・役割が異なることが読み取れると思います。
一気通貫型の事業改革(その1)製造業事例で紹介した「事業構造改革検討要素」(下に再掲)を基本に、これ以降の2つの「ビジネス」の改革構造要素の連関図を示します。ビジネスが違うと業務方式やオペレーションのあり方が変わり、それを支える情報SYS機能が変わることを関連着けて示すツールとしてこの役組みを活用しています。

3.B社の事業モデル設計のまとめ
1)病院ビジネス

2)調剤薬局ビジネス

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティングの流れ
JBCでは、FWXグループの一員として、物流系のコンサルタントによる「物流」「流通系」のコンサルティングも多く手がけています。この実績を基に、製造業同様の「テンプレート」「業務モデル」の整備を行ってきました。
本テーマのような5年先のモデルを作るのは「事業の開発」そのものですから、「テンプレート」「業務モデル」は存在するはずもなく、従ってこの事例のようなオーソドックスアプローチになりますが、今の枠組みの中で、「効率化」「コストダウン」等を検討するのであれば、「テンプレート」「モデル」は十分機能しますし、より迅速な改革活動の支援が行えると自負しております。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業モデル」「事業基本骨格」という上位概念からシステム開発までのつながり方を紹介しました。個々の活動については、また機会をみて紹介していきたいと思います。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
1)概要
この稿では、「卸ビジネス」で一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<B社の活動事例>
ここに紹介するのは、医薬品物B社の事例です。医薬品業界は、健康保険の大幅赤字の対策として厚生省が進めた施策「医薬分業」の波を受けて、業界の大再編が今でも続いています。この現象は「卸業」でまずは始まり、「製造メーカー」の合併や、「小売」に相当する「病院・医院」や「薬局」にも波及し、薬局のチェーン化拡大、他業種との提携や合併にまで波及しており、近年では最も大きな業界再編が進んでいる業種・業界です。
本来、卸業は「メーカー」と「小売」の間に位置し、「サプライチェーン・マネジメント」の活動が進む中で、その存在価値を問われている業種です。その中でも「日雑品」や「医薬品」は、日々扱う品種や件数が極めて多いのが特徴です。「医薬品」の中でも医療用医薬品の「小売機能」は大病院の薬局、開業医の調剤が過半を占め、薬局・薬店は大衆薬中心のマイナーな存在でした。この枠組みが「医薬分業」の波を受けて、病院(医者)は「処方」、薬局が「調剤」と分離されたわけです。スタート時の「小売機能」の受け皿は小規模な多数の「薬局」であり、いろいろなメーカーの薬を一手に供給しなければならないわけで、「サプライチェーン」の主役は「卸」が一番その役割を果たせる立場にいました。ただ当時の「卸」は、「武田系」「三共系」のように、メーカー系列で分かれていたり、地域別に存在していました。一つの薬局にはいろいろなメーカーの薬が必要ですから、メーカー系列で分かれていたら役割が果たせません。また、供給すべき「小売機能」も多種多様で数も多く、量をまとめて効率を上げていかないと、「卸業」としてのマージンでは事業が成り立たなくなります。ここに「卸同士の大合併」劇が急速に進行した理由があります。
私どもがお手伝いした会社にも、中堅卸が2社合併し、新会社が設立された直後でした。まだ本社機能のみが1つの皿に入った段階で、オペレーション(営業、物流、事務処理)はそれぞれ2つのやり方のままの状態でした。
卸業のコアは、言うまでもなく「営業力」「物流力」「情報処理・加工力」です。2つの会社が1つになって、これから「それらをどう一元化していくべきか」という段階で、当時の経営トップのお一人が「5年先の自社のビジネスのあり方」をまず構想し、そのモデルを実現するために、それぞれの機能をどう変えていくべきかを考える「プロジェクト」を立ち上げられました。その「ビジネスモデル構築」のお手伝いの話がJBCに投げかけられたわけです。
2つの会社を1つにするとき、それぞれの仕事の仕方をどちらか一方にまとめるやり方(A→B、B→Aにする)が一番手っ取り早いわけですが、これだとお互いにやり方をめぐって論争が起きます。それぞれは自分たちの今までやってきた「やり方」が一番良いと思うのは当然のことだからです。この経営トップの方は、A、Bは今までの環境の中の「モデル」であり、これから先の環境に適合するとは考えられないとの判断のもと、5年先の環境を見てAでもBでもないCをモデルとして構想し、A→C、B→Cにすることで一元化を図ろうと考えられたわけです。
このプロジェクトは両方の会社のこれからを担う中堅幹部を、それぞれから10人程度ずつ選抜し、合計20人のプロジェクトを結成、両社の経営企画機能を一元化した、経営企画部が事務局となって活動をスタートさせました。まずは「5年先の事業モデルの設計」を半年で、そのモデルを実現するための課題解決の実行計画作りを半年行い、そこで作り上げられた構想を大きく「営業」「販売・物流」「間接業務」の3つのプロジェクトに分けて、オペレーションの詳細設計や、それを支える「情報SYSの企画・開発」まで営業領域で2年、販売物流領域で3年かけて仕組み作りを行い、実行へ移行しました(その活動の全体像を次に示します)。この会社はその後、更に合併を続けていますが、仕事を支える情報SYSは、これが柱になって、今でも稼動しています。
2)改革活動支援事例(医薬品卸B社)

2.本事例のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
医薬品ビジネスは「B to B」のビジネスで、製造業と小売機能(病院・薬局)をつなぐ機能です。この事業形態でのビジネスモデルの区分は、SCMの基本概念(顧客指向、プロセス重視、全体最適指向)に照らし合わせれば、「顧客」で分けるのがベターと考え、「顧客区分」毎にビジネスモデルを設計しました。実際のモデルは10幾つになりましたが、ここでは代表的な「病院」と「調剤薬局」の2つのモデルを紹介しています。「小売機能」としては同じでも、顧客が違うと卸が果たすべき機能・役割が異なることが読み取れると思います。
一気通貫型の事業改革(その1)製造業事例で紹介した「事業構造改革検討要素」(下に再掲)を基本に、これ以降の2つの「ビジネス」の改革構造要素の連関図を示します。ビジネスが違うと業務方式やオペレーションのあり方が変わり、それを支える情報SYS機能が変わることを関連着けて示すツールとしてこの役組みを活用しています。

3.B社の事業モデル設計のまとめ
1)病院ビジネス

2)調剤薬局ビジネス

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティングの流れ
JBCでは、FWXグループの一員として、物流系のコンサルタントによる「物流」「流通系」のコンサルティングも多く手がけています。この実績を基に、製造業同様の「テンプレート」「業務モデル」の整備を行ってきました。
本テーマのような5年先のモデルを作るのは「事業の開発」そのものですから、「テンプレート」「業務モデル」は存在するはずもなく、従ってこの事例のようなオーソドックスアプローチになりますが、今の枠組みの中で、「効率化」「コストダウン」等を検討するのであれば、「テンプレート」「モデル」は十分機能しますし、より迅速な改革活動の支援が行えると自負しております。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業モデル」「事業基本骨格」という上位概念からシステム開発までのつながり方を紹介しました。個々の活動については、また機会をみて紹介していきたいと思います。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫型の改革事例(一般消費財個別対応)
1.一気通貫型の改革事例(一般消費財個別対応)
1)概要
この稿では、「顧客個別対応型一般消費財ビジネス」で一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<E社の活動事例>
ここに紹介するのは、ハウスメーカーE社の事例です。販売対象の戸建住宅は、特殊な一般消費財です。なぜなら、メーカーがマーケティング結果を基に商品仕様を決定するのが通常の一般消費材ですが、戸建住宅は高価な買い物であるために、顧客の要求を受けて仕様を柔軟に変更するステップがあるのです。戸建住宅ビジネスは、「産業財ビジネス」では当然の「顧客個別対応」という要素を持っているのです。(付録参照)
数十年前のハウスメーカーでは、新着着工件数の着実な増加が牽引力となって、支店数を増やすことで売上を伸ばしてきました。その結果として利益額を増やしていくビジネスモデルでした。しかし、最近では国内の人口減少に伴い、新着着工件数が漸減傾向となり、これまでのように成長することが難しい時代になってきました。その結果、ハウスメーカーは「売上増大による利益獲得」という戦略から、「コスト低減による利益率増大」という戦略に変更せざるを得ない状況に追い込まれることとなりました。
このような事業環境では、改革活動はコスト低減が重視されます。「現場密着型で現状を把握した上で、昨今の事業環境にマッチしたビジネスモデル(BM)を明確にするとともに、そのBMの特性からコストダウン活動のネタを探す」というコスト診断を提案し、活動を開始することになりました。ここで現場密着型で現状を把握した理由ですが、エリア毎に顧客の要求特性が異なっていることに起因します。コスト診断活動は、①事業環境分析、②コスト構造分析、③現場の業務プロセス分析、④ビジネスモデル分析という4種類の分析を、全社レベル、支店レベル、事例レベルの3階層でそれぞれ行いました。これ以降に、コスト診断の手順とその全体像を示します。
2)コスト診断活動の手順

3)コスト診断活動の全体像(各分析の関連性)
コスト診断で行なう①事業環境分析 ②コスト構造分析 ③現場の業務プロセス分析 ④ビジネスモデル分析には、以下のように相互に関連性があり、総合的に判断して目指すべき方向性を導出しています。

4)コスト構造からみた改革テーマ
各分析から見えてきた問題点・課題を集約して、改革の方向性(改革テーマ)を導出するが、コスト診断では以下のように、コスト構造起点で整理すると理解が容易です。

2.コスト診断起点のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
前述したように、戸建住宅ビジネスは「B to C」のビジネスでありながら、メーカーと顧客が共同で商品仕様を決めていく特殊な事業です。本活動ではコスト診断活動を行ないながら、ビジネスモデルを定義し、その基本プロセス(概要)を明確にしました。それと同時に、コスト面と業務面から「取組むべき改革テーマ」も導出しました。ここで見えてきた「改革テーマ」から、ビジネスモデルごとに、事業成功のキーファクターを明確にする活動へと繋げ、更には業務方式や業務プロセス、業務定義を設計し、必要な支援システムを洗い出すまでを一貫して行なうと改革のシナリオが完成します。ビジネスモデルの区分では、コスト低減が目的であったため、ハウスメーカーの主導権(ハウスメーカーが決定できる範囲)の大きさを基準に分類しました。これは、主導権が大きい程、つまり通常の一般消費財に近い程、低コストオペレーションが可能であるからです。
一気通貫型の事業改革(産業機器の標準品)製造業事例で紹介した「事業構造改革検討要素」(下に再掲)を基本に、次ページ以降に「戸建住宅ビジネス」の改革構造要素の連関図を示します。

3.コスト診断を起点とした改革活動で導出した「改革骨格」

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティング
JBCでは、BMからITシステム企画まで一気通貫型の改革活動の経験がいくつもあります。きちんとステップを踏んだ長期間に及ぶ活動もありますが、この稿の「E社の事例」のように、改革目的、あるいは検討の焦点を絞り込んで、現場密着型で現状を把握し、その結果をもとにBMからITシステム企画までを、より短期間で一気に実施するようなタイプもあります。事業環境から経営課題が明確な場合には、このように切り口を絞り込んだ活動が効果的です。
ここで紹介した改革活動のやり方は、以前にも増して変化のスピードが速くなっている昨今の事業環境にマッチしたものになっていると考えております。また、改革目的を絞り込むことで、分かりやすく、かつ実現性の高い改革構想へと導くことができるものと自負しております。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業モデル」「事業基本骨格」という上位概念からシステム開発までのつながり方を紹介しました。個々の活動については、また機会をみて紹介していきたいと思います。
~付録.戸建住宅ビジネスと産業機器ビジネスの比較~
一般的に見られる「戸建住宅ビジネス(一般消費財の受注設計生産型)」と「産業機器ビジネス(産業財の受注設計生産)」を比較すると、以下のようになります。

関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
1)概要
この稿では、「顧客個別対応型一般消費財ビジネス」で一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<E社の活動事例>
ここに紹介するのは、ハウスメーカーE社の事例です。販売対象の戸建住宅は、特殊な一般消費財です。なぜなら、メーカーがマーケティング結果を基に商品仕様を決定するのが通常の一般消費材ですが、戸建住宅は高価な買い物であるために、顧客の要求を受けて仕様を柔軟に変更するステップがあるのです。戸建住宅ビジネスは、「産業財ビジネス」では当然の「顧客個別対応」という要素を持っているのです。(付録参照)
数十年前のハウスメーカーでは、新着着工件数の着実な増加が牽引力となって、支店数を増やすことで売上を伸ばしてきました。その結果として利益額を増やしていくビジネスモデルでした。しかし、最近では国内の人口減少に伴い、新着着工件数が漸減傾向となり、これまでのように成長することが難しい時代になってきました。その結果、ハウスメーカーは「売上増大による利益獲得」という戦略から、「コスト低減による利益率増大」という戦略に変更せざるを得ない状況に追い込まれることとなりました。
このような事業環境では、改革活動はコスト低減が重視されます。「現場密着型で現状を把握した上で、昨今の事業環境にマッチしたビジネスモデル(BM)を明確にするとともに、そのBMの特性からコストダウン活動のネタを探す」というコスト診断を提案し、活動を開始することになりました。ここで現場密着型で現状を把握した理由ですが、エリア毎に顧客の要求特性が異なっていることに起因します。コスト診断活動は、①事業環境分析、②コスト構造分析、③現場の業務プロセス分析、④ビジネスモデル分析という4種類の分析を、全社レベル、支店レベル、事例レベルの3階層でそれぞれ行いました。これ以降に、コスト診断の手順とその全体像を示します。
2)コスト診断活動の手順

3)コスト診断活動の全体像(各分析の関連性)
コスト診断で行なう①事業環境分析 ②コスト構造分析 ③現場の業務プロセス分析 ④ビジネスモデル分析には、以下のように相互に関連性があり、総合的に判断して目指すべき方向性を導出しています。

4)コスト構造からみた改革テーマ
各分析から見えてきた問題点・課題を集約して、改革の方向性(改革テーマ)を導出するが、コスト診断では以下のように、コスト構造起点で整理すると理解が容易です。

2.コスト診断起点のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
前述したように、戸建住宅ビジネスは「B to C」のビジネスでありながら、メーカーと顧客が共同で商品仕様を決めていく特殊な事業です。本活動ではコスト診断活動を行ないながら、ビジネスモデルを定義し、その基本プロセス(概要)を明確にしました。それと同時に、コスト面と業務面から「取組むべき改革テーマ」も導出しました。ここで見えてきた「改革テーマ」から、ビジネスモデルごとに、事業成功のキーファクターを明確にする活動へと繋げ、更には業務方式や業務プロセス、業務定義を設計し、必要な支援システムを洗い出すまでを一貫して行なうと改革のシナリオが完成します。ビジネスモデルの区分では、コスト低減が目的であったため、ハウスメーカーの主導権(ハウスメーカーが決定できる範囲)の大きさを基準に分類しました。これは、主導権が大きい程、つまり通常の一般消費財に近い程、低コストオペレーションが可能であるからです。
一気通貫型の事業改革(産業機器の標準品)製造業事例で紹介した「事業構造改革検討要素」(下に再掲)を基本に、次ページ以降に「戸建住宅ビジネス」の改革構造要素の連関図を示します。

3.コスト診断を起点とした改革活動で導出した「改革骨格」

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティング
JBCでは、BMからITシステム企画まで一気通貫型の改革活動の経験がいくつもあります。きちんとステップを踏んだ長期間に及ぶ活動もありますが、この稿の「E社の事例」のように、改革目的、あるいは検討の焦点を絞り込んで、現場密着型で現状を把握し、その結果をもとにBMからITシステム企画までを、より短期間で一気に実施するようなタイプもあります。事業環境から経営課題が明確な場合には、このように切り口を絞り込んだ活動が効果的です。
ここで紹介した改革活動のやり方は、以前にも増して変化のスピードが速くなっている昨今の事業環境にマッチしたものになっていると考えております。また、改革目的を絞り込むことで、分かりやすく、かつ実現性の高い改革構想へと導くことができるものと自負しております。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業モデル」「事業基本骨格」という上位概念からシステム開発までのつながり方を紹介しました。個々の活動については、また機会をみて紹介していきたいと思います。
~付録.戸建住宅ビジネスと産業機器ビジネスの比較~
一般的に見られる「戸建住宅ビジネス(一般消費財の受注設計生産型)」と「産業機器ビジネス(産業財の受注設計生産)」を比較すると、以下のようになります。

関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫型の改革事例(一般消費財販売型)
1.一気通貫型の改革事例(一般消費財販売型)
1)概要
この稿では、「一般消費財ビジネス」で一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<C社の活動事例>
ここに紹介するのは、輸送機器メーカーC社の事例です。この輸送機器は一般消費財ですが、趣味性が強く、需要に季節性のある製品です。北米・欧州が主要な市場で、売上の大半を占める輸出型産業でもあります。また、毎年新製品(マイナー・メジャーチェンジ)を開発し、市場投入することで需要を喚起する典型的な一般消費財ビジネスです。
主に4~6月の3ヶ月に年間の60%が売れるといった需要特性と3~4ヶ月という物流リードタイムが必要な供給特性(輸出型)から、需要に連動して、生産計画を柔軟に変更しにくい環境にあり、シーズン前に年間の販売台数のほとんどを国内工場で生産しなければなりません。通常の一般消費財同様、生産を需要に連動させて、在庫を適正化できるかどうかが、収益最大化のカギを握ります。
この製品のように開発サイクルの早い製品では、変動要素として「需要」だけでは不十分で、「新製品開発の遅れ」も考慮に入れる必要があります。製品開発が遅れると、生産に着手できず、計画通りに生産することすらできない、Xチェーン全体を上手に繋ぐことが鍵の事業だからです。このようなビジネスでは、サプライチェーンの需要連動性を強化するだけでなく、製品開発(エンジニアリングチェーン)のリードタイムを短縮したり、さらに上流で、製品開発のインプット情報を形作る役割であるマーケティング(デマンドチェーン)を強化したりなど、事業全体を対象に、抜本的に改革を実行する必要があります。
そこで、事業診断(Xチェーン診断)を行い、デマンドチェーン(DC)、エンジニアリングチェーン(EC)、サプライチェーン(SC)という枠組みで「取組み課題」を明確にするとともに、それを実行するためのあるべき組織構成、及び役割分担を設計しました。これ以降に、事業特性の構図や診断手順、そこから導き出された「改革骨格」を示します。
2)C社の事業特性の構図
輸送機器ビジネスの事業特性を図解すると以下のようになり、デマンドチェーン(DC)、エンジニアリングチェーン(EC)、サプライチェーン(SC)の間の連携強化が事業成功のカギです。

3)C社の事業診断の手順

2.事業診断起点のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
輸送機器ビジネスは「B to C」のビジネスであり、メーカーは、マーケティング活動を基本に、自社で商品仕様を決めて、開発活動を経て、顧客に商品を届ける機能を果たしています。本活動では事業全体を対象に診断活動(Xチェーン診断)を行なって、「取組み課題」を発見する過程を通じて、事業の基本骨格や事業成功のキーファクターを明確にしました。また、それを踏まえてビジネス基本プロセス(概要)や組織体制/役割分担を設計しました。Xチェーン診断の結果見えてきた「取組み課題」のうち、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンに関しては、より深く現状を把握した上で、改革の方向性を検討し、業務方式や業務プロセス、業務定義、必要な支援システムの洗い出しを実施しました。デマンドチェーンに関しても、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンに関連する部分はある程度検討を行いました。
一気通貫型の事業改革(産業機器の標準品)製造業事例で紹介した「事業構造改革検討要素」(下に再掲)を基本に、次ページ以降に「ビジネス」の改革構造要素の連関図を示します。

3.Xチェーン診断を起点とした改革活動で導出した「改革骨格」

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティング
JBCでは、BMからITシステム企画まで一気通貫型の改革活動の経験がいくつもあります。きちんとステップを踏んだ長期間に及ぶ活動もありますが、この稿の輸送機器の事例のように、現場レベル、あるいは現場管理レベルへのヒアリングと経営レベルとのディスカッションを組み合わせて、より短期間で実施するようなタイプもあります。「C社の事業診断の手順」のところで例示した手順が基本的な検討のパターンであり、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンでの深堀り検討においても同様のパターンで、活動をより短期化させています。
ここで紹介した改革活動のやり方は、事業環境の変化スピードが以前にも増して早くなっている現代にマッチしたものになっていると考えております。また、現場レベルから現場管理レベル、さらには経営レベルまでを巻き込んだ改革活動を実践していることにより、議論に後戻りがないというメリットを提供できるものと自負しております。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業モデル」「事業基本骨格」という上位概念からシステム開発までのつながり方を紹介しました。個々の活動については、また機会をみて紹介していきたいと思います。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
1)概要
この稿では、「一般消費財ビジネス」で一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<C社の活動事例>
ここに紹介するのは、輸送機器メーカーC社の事例です。この輸送機器は一般消費財ですが、趣味性が強く、需要に季節性のある製品です。北米・欧州が主要な市場で、売上の大半を占める輸出型産業でもあります。また、毎年新製品(マイナー・メジャーチェンジ)を開発し、市場投入することで需要を喚起する典型的な一般消費財ビジネスです。
主に4~6月の3ヶ月に年間の60%が売れるといった需要特性と3~4ヶ月という物流リードタイムが必要な供給特性(輸出型)から、需要に連動して、生産計画を柔軟に変更しにくい環境にあり、シーズン前に年間の販売台数のほとんどを国内工場で生産しなければなりません。通常の一般消費財同様、生産を需要に連動させて、在庫を適正化できるかどうかが、収益最大化のカギを握ります。
この製品のように開発サイクルの早い製品では、変動要素として「需要」だけでは不十分で、「新製品開発の遅れ」も考慮に入れる必要があります。製品開発が遅れると、生産に着手できず、計画通りに生産することすらできない、Xチェーン全体を上手に繋ぐことが鍵の事業だからです。このようなビジネスでは、サプライチェーンの需要連動性を強化するだけでなく、製品開発(エンジニアリングチェーン)のリードタイムを短縮したり、さらに上流で、製品開発のインプット情報を形作る役割であるマーケティング(デマンドチェーン)を強化したりなど、事業全体を対象に、抜本的に改革を実行する必要があります。
そこで、事業診断(Xチェーン診断)を行い、デマンドチェーン(DC)、エンジニアリングチェーン(EC)、サプライチェーン(SC)という枠組みで「取組み課題」を明確にするとともに、それを実行するためのあるべき組織構成、及び役割分担を設計しました。これ以降に、事業特性の構図や診断手順、そこから導き出された「改革骨格」を示します。
2)C社の事業特性の構図
輸送機器ビジネスの事業特性を図解すると以下のようになり、デマンドチェーン(DC)、エンジニアリングチェーン(EC)、サプライチェーン(SC)の間の連携強化が事業成功のカギです。

3)C社の事業診断の手順

2.事業診断起点のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
輸送機器ビジネスは「B to C」のビジネスであり、メーカーは、マーケティング活動を基本に、自社で商品仕様を決めて、開発活動を経て、顧客に商品を届ける機能を果たしています。本活動では事業全体を対象に診断活動(Xチェーン診断)を行なって、「取組み課題」を発見する過程を通じて、事業の基本骨格や事業成功のキーファクターを明確にしました。また、それを踏まえてビジネス基本プロセス(概要)や組織体制/役割分担を設計しました。Xチェーン診断の結果見えてきた「取組み課題」のうち、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンに関しては、より深く現状を把握した上で、改革の方向性を検討し、業務方式や業務プロセス、業務定義、必要な支援システムの洗い出しを実施しました。デマンドチェーンに関しても、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンに関連する部分はある程度検討を行いました。
一気通貫型の事業改革(産業機器の標準品)製造業事例で紹介した「事業構造改革検討要素」(下に再掲)を基本に、次ページ以降に「ビジネス」の改革構造要素の連関図を示します。

3.Xチェーン診断を起点とした改革活動で導出した「改革骨格」

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティング
JBCでは、BMからITシステム企画まで一気通貫型の改革活動の経験がいくつもあります。きちんとステップを踏んだ長期間に及ぶ活動もありますが、この稿の輸送機器の事例のように、現場レベル、あるいは現場管理レベルへのヒアリングと経営レベルとのディスカッションを組み合わせて、より短期間で実施するようなタイプもあります。「C社の事業診断の手順」のところで例示した手順が基本的な検討のパターンであり、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンでの深堀り検討においても同様のパターンで、活動をより短期化させています。
ここで紹介した改革活動のやり方は、事業環境の変化スピードが以前にも増して早くなっている現代にマッチしたものになっていると考えております。また、現場レベルから現場管理レベル、さらには経営レベルまでを巻き込んだ改革活動を実践していることにより、議論に後戻りがないというメリットを提供できるものと自負しております。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業モデル」「事業基本骨格」という上位概念からシステム開発までのつながり方を紹介しました。個々の活動については、また機会をみて紹介していきたいと思います。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫型の改革事例(産業機械の個別対応)
1.一気通貫型の改革事例(産業機械の個別対応)
この稿では、産業用ロボットで一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<D社の活動事例>
2007年までは、経済の顕著な拡大、新興諸国の購買力向上などにより世界規模で自動車や携帯電話、デジタル家電などの需要が旺盛になり、産業用ロボットのニーズも増え続け、拡大の一途をたどってまいりました。
産業用ロボットの必要性は、経済発展・拡大の理由だけではなく、少子高齢化による労働力不足、産業競争力の強化=生産工程の一層のロボット化、技術革新による知能ロボットの実用化、劣悪な労働環境の代替機能などにより、今後も導入機会が拡大するものと想定されています。
最近では、携帯電話やIT端末など電子機器の小型化などにより手作業では困難な作業の代替えや、品質の安定化も実現機能として認識・評価されています。
D社のロボット事業は自動車メーカや半導体メーカを中心に、(コンサル導入時点で)過去3年間は二桁の伸びを示していました。その提供形態は、マザーマシン・すなわちロボット本体のみを納品して顧客側で生産システムを構築するケースや、メーカでマザーマシンを中心に全生産システムを設計・製作して納品するケースなどがあります。いわば顧客の生産技術力に合わせ、多種・多様なビジネスモデルを求められることになります。二桁成長が数年間続くと業務の担い手、すなわち技術者不足が深刻になり、体制が脆弱な組織からほころびを露呈して製品納期の遅れや、品質のバラツキ拡大、余分なコストの発生などを招きます。D社には既にそういう兆候が出始めていました。
その状況を打破すべく、事業診断(Xチェーン診断)をおこない、デマンドチェーン(DC)、エンジニアリングチェーン(EC)、サプライチェーン(SC)、サービスチェーン(SvC)のJBCで云うXチェーンの枠組みで「取組み課題」を明確にするとともに、実行するためのあるべき組織構成及び役割分担等を設計しました。
更に、システム製品のサプライチェーンについては具体的なアクションプランにまで落とし込み構造強化のシナリオを作成しました。
2.本事例(産業機械)のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
産業用ロボットビジネスは「B to B」のビジネスです。メーカーは、既存顧客を中心に設備投資動向をウオッチし、拡大基調にあると見るや、それが一般市場へも波及して一大需要に発展することを即座に察知し機会を逸しないことを求められます。その背景には、景気が減速すると真っ先に需要が落ち込むという高低落差の甚だしいビジネス特性をもつからです。本活動では事業全体を対象に診断活動(Xチェーン診断)を行ない「取組み課題」を発見する過程を通じて、事業の基本骨格や事業成功のキーファクター等を明確にしました。また、それを踏まえてビジネス基本プロセス(概要)や組織体制/役割分担設計をおこないました。Xチェーン診断の結果、見えてきた「取組み課題」のうち、システム製品のサプライチェーンに関しては、より深く現状を把握した上で、改革の方向性を検討し、業務方式や業務プロセス、業務定義、必要な支援システム・ツールの洗い出しを実施しました。
今回は、前項で説明している通り、仕組み検討まで取り組んだ「システム製品」のみに限定し、一気通貫型改革活動の事例として紹介致します。

3.改革活動事例の進め方(産業機器D社の事例)

4.D社の事業全体の改革事例
1)供給体制と現状問題(抜粋)

2)改革実現の全体シナリオ

5.D社:システム製品サプライチェーン改革
1)コンセプト
◆今までのビジネス⇒特定顧客における生産技術部門の役割を担ってきた

◆今後狙うビジネス像

2)実現のシナリオ

6.BMから一貫で事業を改革するコンサルティングの流れ
JBCでは、BMからITシステム企画まで一気通貫型の改革活動の経験がいくつもあります。紹介したロボットビジネスのアプローチは、現場レベル・現場管理レベルへのヒアリングと経営レベルとのディスカッションを組み合わせて、より短期間で展開した事例です。
ここで紹介した改革活動は、市場環境の変化が真っ先に波及する設備事業にマッチしたものになっています。また、現場レベルから現場管理レベル、さらには経営レベルまでを巻き込んだ改革活動を実践することにより、議論や検討に後戻りがないメリットも確認できました。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業構造モデル」「ビジネス改革コンセプト」という上位概念からシステム開発・改修までのつながり方を紹介しました。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
この稿では、産業用ロボットで一気通貫型の事業改革を支援した事例を紹介します。
<D社の活動事例>
2007年までは、経済の顕著な拡大、新興諸国の購買力向上などにより世界規模で自動車や携帯電話、デジタル家電などの需要が旺盛になり、産業用ロボットのニーズも増え続け、拡大の一途をたどってまいりました。
産業用ロボットの必要性は、経済発展・拡大の理由だけではなく、少子高齢化による労働力不足、産業競争力の強化=生産工程の一層のロボット化、技術革新による知能ロボットの実用化、劣悪な労働環境の代替機能などにより、今後も導入機会が拡大するものと想定されています。
最近では、携帯電話やIT端末など電子機器の小型化などにより手作業では困難な作業の代替えや、品質の安定化も実現機能として認識・評価されています。
D社のロボット事業は自動車メーカや半導体メーカを中心に、(コンサル導入時点で)過去3年間は二桁の伸びを示していました。その提供形態は、マザーマシン・すなわちロボット本体のみを納品して顧客側で生産システムを構築するケースや、メーカでマザーマシンを中心に全生産システムを設計・製作して納品するケースなどがあります。いわば顧客の生産技術力に合わせ、多種・多様なビジネスモデルを求められることになります。二桁成長が数年間続くと業務の担い手、すなわち技術者不足が深刻になり、体制が脆弱な組織からほころびを露呈して製品納期の遅れや、品質のバラツキ拡大、余分なコストの発生などを招きます。D社には既にそういう兆候が出始めていました。
その状況を打破すべく、事業診断(Xチェーン診断)をおこない、デマンドチェーン(DC)、エンジニアリングチェーン(EC)、サプライチェーン(SC)、サービスチェーン(SvC)のJBCで云うXチェーンの枠組みで「取組み課題」を明確にするとともに、実行するためのあるべき組織構成及び役割分担等を設計しました。
更に、システム製品のサプライチェーンについては具体的なアクションプランにまで落とし込み構造強化のシナリオを作成しました。
2.本事例(産業機械)のBM・業務設計・システム開発連関図の事例
産業用ロボットビジネスは「B to B」のビジネスです。メーカーは、既存顧客を中心に設備投資動向をウオッチし、拡大基調にあると見るや、それが一般市場へも波及して一大需要に発展することを即座に察知し機会を逸しないことを求められます。その背景には、景気が減速すると真っ先に需要が落ち込むという高低落差の甚だしいビジネス特性をもつからです。本活動では事業全体を対象に診断活動(Xチェーン診断)を行ない「取組み課題」を発見する過程を通じて、事業の基本骨格や事業成功のキーファクター等を明確にしました。また、それを踏まえてビジネス基本プロセス(概要)や組織体制/役割分担設計をおこないました。Xチェーン診断の結果、見えてきた「取組み課題」のうち、システム製品のサプライチェーンに関しては、より深く現状を把握した上で、改革の方向性を検討し、業務方式や業務プロセス、業務定義、必要な支援システム・ツールの洗い出しを実施しました。
今回は、前項で説明している通り、仕組み検討まで取り組んだ「システム製品」のみに限定し、一気通貫型改革活動の事例として紹介致します。

3.改革活動事例の進め方(産業機器D社の事例)

4.D社の事業全体の改革事例
1)供給体制と現状問題(抜粋)

2)改革実現の全体シナリオ

5.D社:システム製品サプライチェーン改革
1)コンセプト
◆今までのビジネス⇒特定顧客における生産技術部門の役割を担ってきた

◆今後狙うビジネス像

2)実現のシナリオ

6.BMから一貫で事業を改革するコンサルティングの流れ
JBCでは、BMからITシステム企画まで一気通貫型の改革活動の経験がいくつもあります。紹介したロボットビジネスのアプローチは、現場レベル・現場管理レベルへのヒアリングと経営レベルとのディスカッションを組み合わせて、より短期間で展開した事例です。
ここで紹介した改革活動は、市場環境の変化が真っ先に波及する設備事業にマッチしたものになっています。また、現場レベルから現場管理レベル、さらには経営レベルまでを巻き込んだ改革活動を実践することにより、議論や検討に後戻りがないメリットも確認できました。
この稿では一気通貫型の活動全体のフレームワークの紹介と、「事業構造モデル」「ビジネス改革コンセプト」という上位概念からシステム開発・改修までのつながり方を紹介しました。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫型の改革事例(産業機器の標準品)
1.BMから一環で事業を改革する必要性
アルビン・トフラーの「第三の波」は30年以上も前の本ですが、この10年間で世の中は「IT」がなければ何もできない状態へと大きく移行してしまいました。「事業」の改善・改革も、この枠組みにすっかりはまってしまい、「IT」なしでは何も変えられない時代になりました。これはこれで一つの進化の過程といえます。
一方で、「まずITありき」で事業の改革・改善活動が進められている現状は、「行き過ぎ」を通り越し困った現象だと思います。ITの中味は「パッケージ(=標準品/繰り返し使用することで、開発コストを吸収し、個々に高い安いの判断はあるものの、今の価格で供給されている)」です。ある程度「業種・業態」や「事業特性」毎に「標準パッケージ」は作られていますが、「専用機」にしてしまうと、開発コスト回収ができないため、かなりの「汎用型」になっていることは否めません。その結果、導入時に「カスタマイズ」の費用や期間がかかり、その割に使えなかったり、使い勝手が良く分からなかったりして、パッケージ導入の障害の一つになっています。
上記問題は、より上位概念から「事業」を見て、上位構造の改革に手をつけず、「オペレーション(業務プロセス)」だけを見て、必要な機能要件を抽出、近いパッケージを選択していることに起因すると思われます。
事業は「生き物」であり、それを支えている「人」も生き物で、一つ一つ違うものです。業種・業界では同じでも、事業形態(ビジネスモデル)が違えば、仕事の仕方も変わります。この部分に対して何ら対策せずに、パッケージ導入による事業改革を進めるのは、極めてリスクが高い行為であると思います。
もちろん、「標準化」の考え方を取り入れなければ、IT投資は極めて高額となり、効果vs投資のバランスは取れませんし、期間的にも間に合いません。問題は「オペレーター」が許容できる範囲か否かです。ここに攻め込むには、より上位概念からの事業構造改革に取り組むことが必要です。「BMから一貫で事業を見直す」活動を進めることが必須なのです。
2.事業の構造と改革要素
*前項のポイントを要約すると、以下のようになります。

*上記現象を抑えるには、「システム企画」をする前に、「事業のあり方(BM)」をまず検討することが必要です。
JBCでは過去のコンサルティング活動から、この「システム機能要件」を決めるアルゴリズムを以下の様に考えており、数々のコンサル活動の中で、この考え方や枠組みを活用して、効果をあげています。
改革にはスピードが必要ですが、それでも事業の上位概念に立ち返り、業務とITの改革を進めていくべきでしょう

上記考え方が確立した背景には、JBCが今までに「一気通貫型の事業改革活動」をいくつか手がけてきた実績から学んだノウハウが蓄積されていることがあります。
3.一気通貫型の事業改革事例(産業機器の標準品)
1)概要
上記考え方が確立した背景には、JBCが今までに「一気通貫型の事業改革活動」をいくつか手がけてきた実績から学んだノウハウが蓄積されていることがあります。
<A社の活動事例>
ある産業機器メーカーA社で「一気通貫型」の改革を支援したきっかけは、「システム導入による間接コスト削減」のコンペに参加し、我々がその受注を勝ち取ったことです。私どもでは企画提案を出す前に経営幹部の方々にヒアリングを行い、間接コストが増えている要因をつかまえました。ここで気付いたのは、そもそも事業のモデルが何十年か経つうちに、起業し成長していた時代と大きくずれていることでした。ここを改革しないで、今のままで業務をシステム化しても、狙う効果は得られないというのが我々の主張で、まずは「ビジネスモデルの再構築」活動を行うべき、と提案したのです。この提案が通って、活動支援が始りました。
この活動を進めていくと、人手がかかっているのは本来「標準品」を供給するビジネスだった事業が、一品受注型のビジネスに変わっていることがその主要因であり、標準品型のビジネスモデルに再度リニューアルすることが解決の道と仮説しました。その後標準化活動を提案し、2つの標準化モデル(モジュール標準化=部分を標準化し、その組合せで要求に応えるモデル、モデル製品開発=市場を絞り、その市場毎に標準品を開発する)を確立する仕組みの開発や、これら開発設計の仕事の仕方を基本にしたサプライチェーン・プロセス改革、それを支援する情報システム企画&開発を提案、平行して営業、資材部門の業務改革もご指導いたしました。
これら一連の活動を統括して、先ほど示した「事業改革検討要素」の区分に従って、BMからシステムまでの関係を連関図の型でまとめたものが、これ以降の図表です。(この会社の事業は大きく4つに区切られていましたが、掲載した図表は、そのうちの一番大きな標準品事業についての事業診断要約と各要素連関図を紹介しています。)
2)産業機器標準品の事業診断のまとめ

3)活動を通じて構築された「改革骨格」抜粋

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティングの流れ
■スピードを考慮した改革のステップ以上、説明したような改革活動は、きちんとステップを踏むと、かなりの長期間の活動になります。A社の事例では、テーマが部門別に分けられたこともあり、業務系で約1.5年の活動期間、システム開発を入れて3年かかっています.
ただ、昨今は事業環境の変化のスピードが速く、このステップをきちんと踏んでいたのでは、変化に敏感に対応していくことは難しくなります。そこで、今までの改革活動を通して蓄積したノウハウを活用し、必要最低限のステップを平行してすすめる「改革プログラム」を確立いたしました。その「標準的なプログラム」に関しては、商品カタログ『「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング』をご参照ください。事業診断と業務プロセス改革(平行してシステム企画を実施)で、0.5~1年以内、システム開発で0.5~1年で行える進め方を整備中です。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
アルビン・トフラーの「第三の波」は30年以上も前の本ですが、この10年間で世の中は「IT」がなければ何もできない状態へと大きく移行してしまいました。「事業」の改善・改革も、この枠組みにすっかりはまってしまい、「IT」なしでは何も変えられない時代になりました。これはこれで一つの進化の過程といえます。
一方で、「まずITありき」で事業の改革・改善活動が進められている現状は、「行き過ぎ」を通り越し困った現象だと思います。ITの中味は「パッケージ(=標準品/繰り返し使用することで、開発コストを吸収し、個々に高い安いの判断はあるものの、今の価格で供給されている)」です。ある程度「業種・業態」や「事業特性」毎に「標準パッケージ」は作られていますが、「専用機」にしてしまうと、開発コスト回収ができないため、かなりの「汎用型」になっていることは否めません。その結果、導入時に「カスタマイズ」の費用や期間がかかり、その割に使えなかったり、使い勝手が良く分からなかったりして、パッケージ導入の障害の一つになっています。
上記問題は、より上位概念から「事業」を見て、上位構造の改革に手をつけず、「オペレーション(業務プロセス)」だけを見て、必要な機能要件を抽出、近いパッケージを選択していることに起因すると思われます。
事業は「生き物」であり、それを支えている「人」も生き物で、一つ一つ違うものです。業種・業界では同じでも、事業形態(ビジネスモデル)が違えば、仕事の仕方も変わります。この部分に対して何ら対策せずに、パッケージ導入による事業改革を進めるのは、極めてリスクが高い行為であると思います。
もちろん、「標準化」の考え方を取り入れなければ、IT投資は極めて高額となり、効果vs投資のバランスは取れませんし、期間的にも間に合いません。問題は「オペレーター」が許容できる範囲か否かです。ここに攻め込むには、より上位概念からの事業構造改革に取り組むことが必要です。「BMから一貫で事業を見直す」活動を進めることが必須なのです。
2.事業の構造と改革要素
*前項のポイントを要約すると、以下のようになります。

*上記現象を抑えるには、「システム企画」をする前に、「事業のあり方(BM)」をまず検討することが必要です。
JBCでは過去のコンサルティング活動から、この「システム機能要件」を決めるアルゴリズムを以下の様に考えており、数々のコンサル活動の中で、この考え方や枠組みを活用して、効果をあげています。
改革にはスピードが必要ですが、それでも事業の上位概念に立ち返り、業務とITの改革を進めていくべきでしょう

上記考え方が確立した背景には、JBCが今までに「一気通貫型の事業改革活動」をいくつか手がけてきた実績から学んだノウハウが蓄積されていることがあります。
3.一気通貫型の事業改革事例(産業機器の標準品)
1)概要
上記考え方が確立した背景には、JBCが今までに「一気通貫型の事業改革活動」をいくつか手がけてきた実績から学んだノウハウが蓄積されていることがあります。
<A社の活動事例>
ある産業機器メーカーA社で「一気通貫型」の改革を支援したきっかけは、「システム導入による間接コスト削減」のコンペに参加し、我々がその受注を勝ち取ったことです。私どもでは企画提案を出す前に経営幹部の方々にヒアリングを行い、間接コストが増えている要因をつかまえました。ここで気付いたのは、そもそも事業のモデルが何十年か経つうちに、起業し成長していた時代と大きくずれていることでした。ここを改革しないで、今のままで業務をシステム化しても、狙う効果は得られないというのが我々の主張で、まずは「ビジネスモデルの再構築」活動を行うべき、と提案したのです。この提案が通って、活動支援が始りました。
この活動を進めていくと、人手がかかっているのは本来「標準品」を供給するビジネスだった事業が、一品受注型のビジネスに変わっていることがその主要因であり、標準品型のビジネスモデルに再度リニューアルすることが解決の道と仮説しました。その後標準化活動を提案し、2つの標準化モデル(モジュール標準化=部分を標準化し、その組合せで要求に応えるモデル、モデル製品開発=市場を絞り、その市場毎に標準品を開発する)を確立する仕組みの開発や、これら開発設計の仕事の仕方を基本にしたサプライチェーン・プロセス改革、それを支援する情報システム企画&開発を提案、平行して営業、資材部門の業務改革もご指導いたしました。
これら一連の活動を統括して、先ほど示した「事業改革検討要素」の区分に従って、BMからシステムまでの関係を連関図の型でまとめたものが、これ以降の図表です。(この会社の事業は大きく4つに区切られていましたが、掲載した図表は、そのうちの一番大きな標準品事業についての事業診断要約と各要素連関図を紹介しています。)
2)産業機器標準品の事業診断のまとめ

3)活動を通じて構築された「改革骨格」抜粋

4.BMから一貫で事業を改革するコンサルティングの流れ
■スピードを考慮した改革のステップ以上、説明したような改革活動は、きちんとステップを踏むと、かなりの長期間の活動になります。A社の事例では、テーマが部門別に分けられたこともあり、業務系で約1.5年の活動期間、システム開発を入れて3年かかっています.
ただ、昨今は事業環境の変化のスピードが速く、このステップをきちんと踏んでいたのでは、変化に敏感に対応していくことは難しくなります。そこで、今までの改革活動を通して蓄積したノウハウを活用し、必要最低限のステップを平行してすすめる「改革プログラム」を確立いたしました。その「標準的なプログラム」に関しては、商品カタログ『「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング』をご参照ください。事業診断と業務プロセス改革(平行してシステム企画を実施)で、0.5~1年以内、システム開発で0.5~1年で行える進め方を整備中です。
関連商品: 「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC09.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/031/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
組織力向上を目指したXチェーン・マネジメント(XCM)
開示する改革・改善ノウハウの第1弾として、弊社日本ビジネスクリエイト(JBC)が開発した「Xチェーン・マネジメント(XCM)」という新しい経緯手法を取り上げたいと思います。
1989年設立以来、弊社は「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」のパイオニアとして、事業を仕事の繋がりとしてとらえる「プロセス・アプローチ」で、顧客企業のビジネスモデルや事業構造を改革していきました。しかし、最近では顧客ニーズの多様化に伴い、商品のライフサイクルが短命化してきたために、サプライチェーン(SC)だけを対象にしていては、不十分になってきました。そこで、「プロセス・アプローチ」を、サプライチェーンの上流に位置するマーケティング領域や製品開発領域、また下流に位置するサービス領域まで拡張し、その経営手法を「Xチェーン・マネジメント(XCM)」と名付けました。色々な意味を持たせるために「X」を用いており、例えば、「S」を当てはめれば、サプライチェーン・マネジメント(SCM)となるわけです。他の文字にどんな文字を当てはめるかは後述します。
なお、本記事では、Xチェーン・マネジメントの概要を紹介するにとどめます。詳細に、ご興味のある方は発売中の「Xチェーン経営」をご覧頂くか、あるいはその書籍の一部を、弊社HPでも公開しておりますので、そちらをご覧ください。
経営改革、経営改善のための活用書
『Xチェーン経営』で事業が変わり、仕事をつながりで捉える活動によって経営人材を育て活性化させる-これまでにはない、新たな視点で事業の現状をつかむ、経営管理者・スタッフの方たちにとっての必読書
JBC HPの公開: http://www.jbc-con.co.jp/books/pdf/books_090421.pdf#Xチェーン経営
にありますので、是非ご覧ください。
目次
1.Xチェーン・マネジメントとは
2.「プロセス・アプローチ」をベースにしたXチェーン・マネジメント(XCM)
3.Xチェーン・マネジメント(XCM)という経営管理手法の活用ポイント
4.「Xチェーン・マネジメント(XCM)」で期待される効果
5.最後に
1.
ビジネスは、大小さまざまなプロセス~市場調査・商品開発・購買・設計・生産・販売・物流など~によって構成されています。これらのプロセスを組み合わせた単位をチェーン(例えば、サプライチェーン)と呼び、さらにいくつかのチェーンを組み合わせることで、事業が成立すると捉えています。
「企業が顧客に価値を届けるために活用する種々のプロセスのつながり/連鎖(デマンドチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、サービスチェーン等)を統合的に把握し、企業や組織の壁を越えて、ビジネスプロセス全体の最適視点から価値を最大化する戦略的な取組みの全体を指す(経営管理の)概念」をXチェーン・マネジメントと定義しています。

一連のプロセスは、様々な性格を持つ業務から構成されているので、弊社では以下の4つのチェーンに分割して捉えることを提唱しています。
①デマンドチェーン(DC):
マーケティングや販促・営業活動など顧客から要求を引き出すプロセス
②エンジニアリングチェーン(EC):
デマンドチェーンで得られた要求を満足する製品を開発するプロセス
③サプライチェーン(SC):
エンジニアリングチェーンで開発した製品を日々生産して、顧客に提供するプロセス
④サービスチェーン(SvcC):
サプライチェーンで提供した製品に関するサービスを提供するプロセス
※なお、上記4つのチェーンの総称として、Xチェーンという言葉を使用しています。
事業を構成する4つの各チェーンが包含する業務機能を整理すると、下表のようになります。
2.「プロセス・アプローチ」をベースにしたXチェーン・マネジメント(XCM)
次に、「プロセス・アプローチ」の概念を説明します。
前述したように、この概念は、世界の各企業の実務者で組織され、「SCM活動」を推進しているSCC<サプライチェーン協議会>が開発し、普及活動を推進している「SCOR」という手法を拡張しています。この手法の特徴は、プロセスを階層化(レベル化)していること、またそれぞれのレベルで評価指標を設定していることです。


手法「SCOR」を事業全体(デマンドチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、サービスチェーン)を拡張して、模式化したものが下図です。
弊社が実践している「事業構造改革」コンサルティングでは、事業を以下のように捉える事から始まり、非効率が発生しやすいチェーン間、プロセス間に着目し、その非効率を解消するプロセス構造や組織構造を設計しています。

3. Xチェーン・マネジメント(XCM)という経営管理手法の活用ポイント
次に、「XCM」という経営管理手法を具体的にどのように改革活動に活用するのか、またそれにより、どんな効果が期待できるのかについて簡単に述べたいと思います。
「XCM」の活用ポイントは、大きくは以下の3つであり、改革活動の成功に影響します。
1.事業全体を4つのチェーンとして捉え直した上で、ビジネス環境に合致するように各チェーンのあり方を検討・構築する (※言い換えると、事業を一連のプロセスとして見た上で、収益を最大化するために、各チェーンで何を実行し、何をマネジメントするべきか、を考え、構築する)
2.各チェーンのあるべき業務プロセスを実行する組織の役割分担を検討・設計する (※言い換えると、各チェーンの実行業務やマネジメント業務をどの組織が遂行するべきかを考え、設計する)
3.チェーン内で遂行すべき業務ばかりでなく、チェーン間を連携させるために必要な業務を忘れずに検討する
例えば、デマンドチェーン(DC)とエンジニアリングチェーン(EC)の間を図式化すると、以下のようになりこのやり取りの効率を上げることが、事業の成功に直結します。他のチェーン間も同様で、効率化することが重要です。

必要な業務機能プロセスが定義できると、次は組織設計です。その際のポイントは、大きくの以下の2つです。
1.「DC、EC、SC、SvcC」という枠組みを意識して、あるべき組織構造を設計する
2.事業全体としてのロスの大きさ、あるいは責任・権限の明瞭性などの観点から、どの部門が一連のプロセスの中のどこまでの業務を担当するべきか設定する
4.「Xチェーン・マネジメント(XCM)」で期待される効果
次に、「XCM」という経営管理手法によりどんな効果が期待できるかについて、簡単に説明します。何を改革目的に掲げるかで違いますが、業務機能プロセス、及び組織を実現すれば、以下のようなものが考えられます。
●業務間あるいはチェーン間のロスが削減される ⇒ 組織力を向上させる
●より少ない人員でより多くの売上、あるいは利益を稼ぐことができるようになる
●ロス削減により生み出された余力を、これまで弱かった機能を強化するのに活用でき、体質が強化する(※例: 企画・計画機能を強化することで、場当たり的な対応が減り、より効率よく、顧客に満足してもらえる商品を提供できるようになります)
最後に、参考までに、「事業診断活動」を3ヶ月で実施する場合の具体的な進め方の概要を示します。
1.現状把握と問題点・課題の抽出(中間管理層へのヒアリングとその整理)
2.各チェーンのあるべきプロセスの構想
3.事業としてあるべき組織構造と役割の設計
4.各チェーンの改革テーマ抽出とその実行シナリオ作成
5.最後に
景気低迷の現在ですが、コスト削減だけでなく、売上拡大も視野に入れて、事業拡大・収益拡大を狙って、事業全体を対象にした改革活動を実行するべきではないでしょうか。「顧客要求を受けてから、商品を開発・生産し、それを届け、さらにサービスを提供するまでの一連のプロセス全体を顧客起点で、最適化する」ための改革活動を発足させては如何でしょうか。
関連商品: X-Chain Management
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC00.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/014/
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
1989年設立以来、弊社は「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」のパイオニアとして、事業を仕事の繋がりとしてとらえる「プロセス・アプローチ」で、顧客企業のビジネスモデルや事業構造を改革していきました。しかし、最近では顧客ニーズの多様化に伴い、商品のライフサイクルが短命化してきたために、サプライチェーン(SC)だけを対象にしていては、不十分になってきました。そこで、「プロセス・アプローチ」を、サプライチェーンの上流に位置するマーケティング領域や製品開発領域、また下流に位置するサービス領域まで拡張し、その経営手法を「Xチェーン・マネジメント(XCM)」と名付けました。色々な意味を持たせるために「X」を用いており、例えば、「S」を当てはめれば、サプライチェーン・マネジメント(SCM)となるわけです。他の文字にどんな文字を当てはめるかは後述します。
なお、本記事では、Xチェーン・マネジメントの概要を紹介するにとどめます。詳細に、ご興味のある方は発売中の「Xチェーン経営」をご覧頂くか、あるいはその書籍の一部を、弊社HPでも公開しておりますので、そちらをご覧ください。
![]() | Xチェーン経営―これで事業に差をつけよう (2008/02) 日本ビジネスクリエイト安達 龍治 商品詳細を見る |
『Xチェーン経営』で事業が変わり、仕事をつながりで捉える活動によって経営人材を育て活性化させる-これまでにはない、新たな視点で事業の現状をつかむ、経営管理者・スタッフの方たちにとっての必読書
JBC HPの公開: http://www.jbc-con.co.jp/books/pdf/books_090421.pdf#Xチェーン経営
にありますので、是非ご覧ください。
目次
1.Xチェーン・マネジメントとは
2.「プロセス・アプローチ」をベースにしたXチェーン・マネジメント(XCM)
3.Xチェーン・マネジメント(XCM)という経営管理手法の活用ポイント
4.「Xチェーン・マネジメント(XCM)」で期待される効果
5.最後に
1.

ビジネスは、大小さまざまなプロセス~市場調査・商品開発・購買・設計・生産・販売・物流など~によって構成されています。これらのプロセスを組み合わせた単位をチェーン(例えば、サプライチェーン)と呼び、さらにいくつかのチェーンを組み合わせることで、事業が成立すると捉えています。
「企業が顧客に価値を届けるために活用する種々のプロセスのつながり/連鎖(デマンドチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、サービスチェーン等)を統合的に把握し、企業や組織の壁を越えて、ビジネスプロセス全体の最適視点から価値を最大化する戦略的な取組みの全体を指す(経営管理の)概念」をXチェーン・マネジメントと定義しています。

一連のプロセスは、様々な性格を持つ業務から構成されているので、弊社では以下の4つのチェーンに分割して捉えることを提唱しています。
①デマンドチェーン(DC):
マーケティングや販促・営業活動など顧客から要求を引き出すプロセス
②エンジニアリングチェーン(EC):
デマンドチェーンで得られた要求を満足する製品を開発するプロセス
③サプライチェーン(SC):
エンジニアリングチェーンで開発した製品を日々生産して、顧客に提供するプロセス
④サービスチェーン(SvcC):
サプライチェーンで提供した製品に関するサービスを提供するプロセス
※なお、上記4つのチェーンの総称として、Xチェーンという言葉を使用しています。
事業を構成する4つの各チェーンが包含する業務機能を整理すると、下表のようになります。

2.「プロセス・アプローチ」をベースにしたXチェーン・マネジメント(XCM)
次に、「プロセス・アプローチ」の概念を説明します。
前述したように、この概念は、世界の各企業の実務者で組織され、「SCM活動」を推進しているSCC<サプライチェーン協議会>が開発し、普及活動を推進している「SCOR」という手法を拡張しています。この手法の特徴は、プロセスを階層化(レベル化)していること、またそれぞれのレベルで評価指標を設定していることです。


手法「SCOR」を事業全体(デマンドチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、サービスチェーン)を拡張して、模式化したものが下図です。
弊社が実践している「事業構造改革」コンサルティングでは、事業を以下のように捉える事から始まり、非効率が発生しやすいチェーン間、プロセス間に着目し、その非効率を解消するプロセス構造や組織構造を設計しています。

3. Xチェーン・マネジメント(XCM)という経営管理手法の活用ポイント
次に、「XCM」という経営管理手法を具体的にどのように改革活動に活用するのか、またそれにより、どんな効果が期待できるのかについて簡単に述べたいと思います。
「XCM」の活用ポイントは、大きくは以下の3つであり、改革活動の成功に影響します。
1.事業全体を4つのチェーンとして捉え直した上で、ビジネス環境に合致するように各チェーンのあり方を検討・構築する (※言い換えると、事業を一連のプロセスとして見た上で、収益を最大化するために、各チェーンで何を実行し、何をマネジメントするべきか、を考え、構築する)
2.各チェーンのあるべき業務プロセスを実行する組織の役割分担を検討・設計する (※言い換えると、各チェーンの実行業務やマネジメント業務をどの組織が遂行するべきかを考え、設計する)
3.チェーン内で遂行すべき業務ばかりでなく、チェーン間を連携させるために必要な業務を忘れずに検討する
例えば、デマンドチェーン(DC)とエンジニアリングチェーン(EC)の間を図式化すると、以下のようになりこのやり取りの効率を上げることが、事業の成功に直結します。他のチェーン間も同様で、効率化することが重要です。

必要な業務機能プロセスが定義できると、次は組織設計です。その際のポイントは、大きくの以下の2つです。
1.「DC、EC、SC、SvcC」という枠組みを意識して、あるべき組織構造を設計する
2.事業全体としてのロスの大きさ、あるいは責任・権限の明瞭性などの観点から、どの部門が一連のプロセスの中のどこまでの業務を担当するべきか設定する
4.「Xチェーン・マネジメント(XCM)」で期待される効果
次に、「XCM」という経営管理手法によりどんな効果が期待できるかについて、簡単に説明します。何を改革目的に掲げるかで違いますが、業務機能プロセス、及び組織を実現すれば、以下のようなものが考えられます。
●業務間あるいはチェーン間のロスが削減される ⇒ 組織力を向上させる
●より少ない人員でより多くの売上、あるいは利益を稼ぐことができるようになる
●ロス削減により生み出された余力を、これまで弱かった機能を強化するのに活用でき、体質が強化する(※例: 企画・計画機能を強化することで、場当たり的な対応が減り、より効率よく、顧客に満足してもらえる商品を提供できるようになります)
最後に、参考までに、「事業診断活動」を3ヶ月で実施する場合の具体的な進め方の概要を示します。
1.現状把握と問題点・課題の抽出(中間管理層へのヒアリングとその整理)
2.各チェーンのあるべきプロセスの構想
3.事業としてあるべき組織構造と役割の設計
4.各チェーンの改革テーマ抽出とその実行シナリオ作成
5.最後に
景気低迷の現在ですが、コスト削減だけでなく、売上拡大も視野に入れて、事業拡大・収益拡大を狙って、事業全体を対象にした改革活動を実行するべきではないでしょうか。「顧客要求を受けてから、商品を開発・生産し、それを届け、さらにサービスを提供するまでの一連のプロセス全体を顧客起点で、最適化する」ための改革活動を発足させては如何でしょうか。
関連商品: X-Chain Management
弊社HP掲載: http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC00.pdf
イプロス掲載: http://www.ipros.jp/products/141048/014/
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
JBC会社紹介
コンサルティングノウハウを公開するに先立ち、まず、弊社【日本ビジネスクリエイト(JBC)】の事業内容を簡単に紹介致します。どんなコンセプトの下、どんなコンサルティングを提供しているのか、これまでどんなコンサルティング実績があり、商品メニューとしてどんなものがあるのか、などの情報を記述します。これにより、弊社のコンサルティング内容の理解の一助となれば幸いです。
なお、詳細な内容は、弊社HP
JBC HP: http://www.jbc-con.co.jp/books/index.html
にありますので、是非ご覧ください。
目次
1.コーポレート・コンセプト
2.コンサルティング・コンセプト
3.コンサルティングの特長と役割
4.コンサルティング実績
5.コンサルティング商品メニュー
1.コーポレート・コンセプト
社名に込められた「コンセプト」の意味がいま、さらに重要になり始めています。私たちはこれからもあたらしいビジネスを創造していきます。

企業ロゴの由来、コーポレートシンボルは、先見性と活動性を象徴しています。BUSINESS CREATEの頭文字である「B」と「C」とヘリコプターの原型と言われているレオナルド・ダ・ビンチのデッサン・モチーフを重ね合わせ、世の中の常識から先んじたクリエイティビティの高さを表現しています。
私たちの使命は、”感情豊かなコンサルタント集団”として、豊富な経験と実直さに基づく実践力、高い技術力と個性溢れる人間力をさらに磨き、お客様(企業)の事業革新のより良きパートナーとなると同時に、お客様(企業)と次なる時代を創造するベスト・パートナーであり続けることです。
この使命を果たすために私たちは、すべてを自前主義で行なうのではなく、私たちの持つネットワークの広がりを活用して、ワンストップでお客様の望む価値を創造し、提供しつづけます。
2.コンサルティング・コンセプト
わたしたちは、共創・共働型コンサルタントとして、
1.マネジメント〔経営管理〕技術の普遍化(エンジニアリング化)を追求しつつ、企業の体質作りをガイドし支援する
2.問題対応型・対策型ではなく、事業を開発(ビジネスをクリエイト)するという観点でコンサルティングに取組む
3.常に「市場・顧客」のニーズにフィットした「新商品」「新技術」を開発し、経営資源要素間の関係を全体最適視点から見て提案する
4.活動推進は、単なる「提案型コンサルティング」ではなく、お客様との「共創」により、お客様の命題の解決に貢献する
5.コンサルティングの企画に当たっては、お客様の実態・固有の状況に即して成果を追求するカスタマイズド・アプローチを基本とする
弊社は上記コンセプトに則り、ビジネスをクリエイトする経営コンサルティングファームです。
このようなコンセプトを実践するために、弊社ではX-Chain Management(XCM)という経営管理手法を開発しました。それを適用することで、お客様の「事業の成功」に貢献することを目指しています。
経営改革、経営改善のための活用書
『Xチェーン経営』で事業が変わり、仕事をつながりで捉える活動によって経営人材を育て活性化させる-これまでにはない、新たな視点で事業の現状をつかむ、経営管理者・スタッフの方たちにとっての必読書
3.コンサルティングの特長と役割
コンサルティング会社といってもそれぞれ得意分野や活動支援方法に違いがあります。
当社では、決して一方的な提言ではなく、特に現場の方々の意見を吸い上げ、本当に実践できるかを見極めます。そして、当事者であるお客様メンバーと協働でビジネスを創造し、経営層の理解・承認をもって実践していくことを基本としています。 このことが実現可能な施策として継続的な活動に繋がると確信しております。
領域としては事業全般に及びますが、事業価値をどう高めていくか?というビジネスモデルの再認識、再定義を土台にした改革活動を支援致します。
具体的には、専門的知識・スキル、ノウハウ、アイデア、構想力、手法を適切に適用するとともに、プロジェクトマネジメントスキルやプロジェクト遂行力、さらには経営層や関係部門に対する提言力などを活かして、改革・改善活動の成功に向けて、強力に推進します。
「マネジメントとオペレーションを有機的に繋ぐ」ためのコンサルティングを提供するために、弊社では、現場ヒアリングにより、経営課題を把握し、その解決策を上層部に提案します。各階層とのディスカッションを通じて、経営層、管理層、実務層それぞれが納得する改革活動を提供しています。

4.コンサルティング実績
弊社の顧客は、各業種の製造業のみならず、公共・公益企業まで及んでいます。これらのお客様に対して、経営改革に近いビジネスモデル改革から、現場を巻き込む業務プロセス改革・IT企画など広範囲なサービスを提供した実績を有しています。

■業界・業種別コンサルティングの代表例
顧客への提価値を切り口とした取り組み、組織横断での構造改革といったテーマが増えています。
=産業機械=
●全社サプライチェーン・プロセス再構築と改革シナリオの実践支援
●製品のモジュール標準化と標準品提案営業プロセス整備
=重工業=
●サービス事業拡大のためのモノ+サービス一体型ビジネスモデル構築
●次世代製品群を対象とした統合生産システム構築
=機械=
●新規市場参入のための新規事業企画及びビジネスモデル構築
●事業収益拡大のためのビジネスプロセス総コスト削減
=電器・電子=
●SCM総コスト削減及び継続的コスト削減基盤の構築
●バリューチェーン分析に基づく事業構造改革企画
=公共・公益=
●電力自由化時代のコスト競争力強化
●グループ全社を対象としたプロセス/組織構造改革
5.コンサルティング商品メニュー
JBCのサービス領域は、以下のように「代表的なコンサルティング・メニュー」を経営改革視点より区分し、展開しています。
=コンサルティングサービス=
STRATEGY
■X- Chain Management
■「経営戦略」コンサルティング
■「事業構造改革」コンサルティング
MANAGEMENT ・ OPERATION
■「ビジネスプロセス改革」コンサルティング
■「総コスト改革」コンサルティング
■「設計・生産改革」コンサルティング
■「サービス事業改革」コンサルティング
■「設備保全SCM改革」コンサルティング
■「内部統制プロセス構築」コンサルティング
■流通BMS対応に向けたITクリニック
■サプライチェーン診断
■「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
事例1:産業機器の標準品
事例2:産業機械の個別対応
事例3:一般消費財販売型
事例4:一般消費財個別対応
事例5:医薬系卸
=パッケージソリューション=
■需要予測ソリューション(SmartsForecasts)
■適正在庫診断
■「動産担保融資」に備えた適正在庫管理政策(製造業向け)
■動産担保融資における動産評価・モニタリングソリューション(金融機関向け)
=研修=
■製造業業務基礎研修プログラム
■ビジネスモデル開発研修プログラム
■SCM実践研修プログラム
■業務改善力強化研修プログラム(長期研修)
■コスト競争力強化研修プログラム
■「内部統制システム構築」研修プログラム
■バリューチェーン分析研修プログラム
上記コンサルティング・メニューの商品カタログは、弊社HPの他、以下のサイトでも入手可能です。
◆イプロス:http://www.ipros.jp/ipros/contents/company.do?bannerId=6&memberId=141048
◆FIDELI:http://os-matching.fideli.com/os/m/outSourceDetail/oss/1632/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください
なお、詳細な内容は、弊社HP
JBC HP: http://www.jbc-con.co.jp/books/index.html
にありますので、是非ご覧ください。
目次
1.コーポレート・コンセプト
2.コンサルティング・コンセプト
3.コンサルティングの特長と役割
4.コンサルティング実績
5.コンサルティング商品メニュー
1.コーポレート・コンセプト
社名に込められた「コンセプト」の意味がいま、さらに重要になり始めています。私たちはこれからもあたらしいビジネスを創造していきます。

企業ロゴの由来、コーポレートシンボルは、先見性と活動性を象徴しています。BUSINESS CREATEの頭文字である「B」と「C」とヘリコプターの原型と言われているレオナルド・ダ・ビンチのデッサン・モチーフを重ね合わせ、世の中の常識から先んじたクリエイティビティの高さを表現しています。
私たちの使命は、”感情豊かなコンサルタント集団”として、豊富な経験と実直さに基づく実践力、高い技術力と個性溢れる人間力をさらに磨き、お客様(企業)の事業革新のより良きパートナーとなると同時に、お客様(企業)と次なる時代を創造するベスト・パートナーであり続けることです。
この使命を果たすために私たちは、すべてを自前主義で行なうのではなく、私たちの持つネットワークの広がりを活用して、ワンストップでお客様の望む価値を創造し、提供しつづけます。
2.コンサルティング・コンセプト
わたしたちは、共創・共働型コンサルタントとして、
1.マネジメント〔経営管理〕技術の普遍化(エンジニアリング化)を追求しつつ、企業の体質作りをガイドし支援する
2.問題対応型・対策型ではなく、事業を開発(ビジネスをクリエイト)するという観点でコンサルティングに取組む
3.常に「市場・顧客」のニーズにフィットした「新商品」「新技術」を開発し、経営資源要素間の関係を全体最適視点から見て提案する
4.活動推進は、単なる「提案型コンサルティング」ではなく、お客様との「共創」により、お客様の命題の解決に貢献する
5.コンサルティングの企画に当たっては、お客様の実態・固有の状況に即して成果を追求するカスタマイズド・アプローチを基本とする
弊社は上記コンセプトに則り、ビジネスをクリエイトする経営コンサルティングファームです。
このようなコンセプトを実践するために、弊社ではX-Chain Management(XCM)という経営管理手法を開発しました。それを適用することで、お客様の「事業の成功」に貢献することを目指しています。
![]() | Xチェーン経営―これで事業に差をつけよう (2008/02) 日本ビジネスクリエイト安達 龍治 商品詳細を見る |
『Xチェーン経営』で事業が変わり、仕事をつながりで捉える活動によって経営人材を育て活性化させる-これまでにはない、新たな視点で事業の現状をつかむ、経営管理者・スタッフの方たちにとっての必読書
3.コンサルティングの特長と役割
コンサルティング会社といってもそれぞれ得意分野や活動支援方法に違いがあります。
当社では、決して一方的な提言ではなく、特に現場の方々の意見を吸い上げ、本当に実践できるかを見極めます。そして、当事者であるお客様メンバーと協働でビジネスを創造し、経営層の理解・承認をもって実践していくことを基本としています。 このことが実現可能な施策として継続的な活動に繋がると確信しております。
領域としては事業全般に及びますが、事業価値をどう高めていくか?というビジネスモデルの再認識、再定義を土台にした改革活動を支援致します。
具体的には、専門的知識・スキル、ノウハウ、アイデア、構想力、手法を適切に適用するとともに、プロジェクトマネジメントスキルやプロジェクト遂行力、さらには経営層や関係部門に対する提言力などを活かして、改革・改善活動の成功に向けて、強力に推進します。
「マネジメントとオペレーションを有機的に繋ぐ」ためのコンサルティングを提供するために、弊社では、現場ヒアリングにより、経営課題を把握し、その解決策を上層部に提案します。各階層とのディスカッションを通じて、経営層、管理層、実務層それぞれが納得する改革活動を提供しています。

4.コンサルティング実績
弊社の顧客は、各業種の製造業のみならず、公共・公益企業まで及んでいます。これらのお客様に対して、経営改革に近いビジネスモデル改革から、現場を巻き込む業務プロセス改革・IT企画など広範囲なサービスを提供した実績を有しています。

■業界・業種別コンサルティングの代表例
顧客への提価値を切り口とした取り組み、組織横断での構造改革といったテーマが増えています。
=産業機械=
●全社サプライチェーン・プロセス再構築と改革シナリオの実践支援
●製品のモジュール標準化と標準品提案営業プロセス整備
=重工業=
●サービス事業拡大のためのモノ+サービス一体型ビジネスモデル構築
●次世代製品群を対象とした統合生産システム構築
=機械=
●新規市場参入のための新規事業企画及びビジネスモデル構築
●事業収益拡大のためのビジネスプロセス総コスト削減
=電器・電子=
●SCM総コスト削減及び継続的コスト削減基盤の構築
●バリューチェーン分析に基づく事業構造改革企画
=公共・公益=
●電力自由化時代のコスト競争力強化
●グループ全社を対象としたプロセス/組織構造改革
5.コンサルティング商品メニュー
JBCのサービス領域は、以下のように「代表的なコンサルティング・メニュー」を経営改革視点より区分し、展開しています。
=コンサルティングサービス=
STRATEGY
■X- Chain Management
■「経営戦略」コンサルティング
■「事業構造改革」コンサルティング
MANAGEMENT ・ OPERATION
■「ビジネスプロセス改革」コンサルティング
■「総コスト改革」コンサルティング
■「設計・生産改革」コンサルティング
■「サービス事業改革」コンサルティング
■「設備保全SCM改革」コンサルティング
■「内部統制プロセス構築」コンサルティング
■流通BMS対応に向けたITクリニック
■サプライチェーン診断
■「ビジネスモデルからITシステム企画まで一気通貫」コンサルティング
事例1:産業機器の標準品
事例2:産業機械の個別対応
事例3:一般消費財販売型
事例4:一般消費財個別対応
事例5:医薬系卸
=パッケージソリューション=
■需要予測ソリューション(SmartsForecasts)
■適正在庫診断
■「動産担保融資」に備えた適正在庫管理政策(製造業向け)
■動産担保融資における動産評価・モニタリングソリューション(金融機関向け)
=研修=
■製造業業務基礎研修プログラム
■ビジネスモデル開発研修プログラム
■SCM実践研修プログラム
■業務改善力強化研修プログラム(長期研修)
■コスト競争力強化研修プログラム
■「内部統制システム構築」研修プログラム
■バリューチェーン分析研修プログラム
上記コンサルティング・メニューの商品カタログは、弊社HPの他、以下のサイトでも入手可能です。
◆イプロス:http://www.ipros.jp/ipros/contents/company.do?bannerId=6&memberId=141048
◆FIDELI:http://os-matching.fideli.com/os/m/outSourceDetail/oss/1632/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください