ものづくり力強化を考える【4連載:その3】
「ものづくり力」とは市場が求める製品・サービス・プロセスを提供し続ける力、すなわち事業競争力であると申し上げた。今回は、その「ものづくり力」強化策についての話をしたい。

前回も述べた近年における国内製造業の停滞要因については、多くの共通した見解があるようだ。企業のほとんどがグローバル市場を相手にしていることから、海外市場の環境と対比する形で指摘されている。それは、日本独自のインフラと産業構造の問題に起因しているという意見である。インフラについては、今まさに議論されている税制など法制度や規制上の問題であり、空港・港湾などの物流インフラ等の問題である。また、産業構造については、特に成長産業における多すぎる(?)プレイヤーの数や、ピラミッド型分業構造であるが故の需要変動に対する脆さが挙げられよう。ただ、これらは一企業だけで直ぐに解決することが難しい問題でもある。そこで、ここでは企業(グループ)のビジネスモデル上の課題について取り上げる。
海外製造業のリーディング企業では、ブラックボックス化とオープン化を戦略的に組み合わせ、競争優位を保ち高いシェアを維持している。例えば、携帯電話のノキア社では、電話端末本体はオープン化して下請けメーカーから外部調達する一方、中継装置等のインフラ側をブラックボックス化して独占することで一気にシェアを獲得した。
当時の(おそらく現在も)携帯電話における日本企業の技術力は最高レベルだが、海外市場では勝てなかったのである。このことは「ものづくり力」とあまり関係ないように思えるが、「ものづくり力」が事業競争力である以上、大いに学ぶべき事例である。また、これとは反対に国内メーカーでも、デジタルカメラの分野では同様の戦略的標準化により競争力を維持している。いずれも‘何で(どこで)’‘どのように’稼ぐかというビジネスモデルを明確にした結果であろう。
(次週1月26日掲載の最終回へ続く。お楽しみに!)
関連商品: 「 ビジネスプロセス改革」コンサルティング
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC03.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/017/
困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
http://www.jbc-con.co.jp/consulting/index.html
コンサルティングのお問い合わせ先:
bca@jbc-con.co.jp にお気軽にお問い合わせください

前回も述べた近年における国内製造業の停滞要因については、多くの共通した見解があるようだ。企業のほとんどがグローバル市場を相手にしていることから、海外市場の環境と対比する形で指摘されている。それは、日本独自のインフラと産業構造の問題に起因しているという意見である。インフラについては、今まさに議論されている税制など法制度や規制上の問題であり、空港・港湾などの物流インフラ等の問題である。また、産業構造については、特に成長産業における多すぎる(?)プレイヤーの数や、ピラミッド型分業構造であるが故の需要変動に対する脆さが挙げられよう。ただ、これらは一企業だけで直ぐに解決することが難しい問題でもある。そこで、ここでは企業(グループ)のビジネスモデル上の課題について取り上げる。

海外製造業のリーディング企業では、ブラックボックス化とオープン化を戦略的に組み合わせ、競争優位を保ち高いシェアを維持している。例えば、携帯電話のノキア社では、電話端末本体はオープン化して下請けメーカーから外部調達する一方、中継装置等のインフラ側をブラックボックス化して独占することで一気にシェアを獲得した。
当時の(おそらく現在も)携帯電話における日本企業の技術力は最高レベルだが、海外市場では勝てなかったのである。このことは「ものづくり力」とあまり関係ないように思えるが、「ものづくり力」が事業競争力である以上、大いに学ぶべき事例である。また、これとは反対に国内メーカーでも、デジタルカメラの分野では同様の戦略的標準化により競争力を維持している。いずれも‘何で(どこで)’‘どのように’稼ぐかというビジネスモデルを明確にした結果であろう。
(次週1月26日掲載の最終回へ続く。お楽しみに!)
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原価改革への総合的アプローチ ~「売れて儲かる」受注設計生産
1.はじめに
日本の製造業の中には、工作機械や電子部品製造装置などの設備機械産業のように、受注の都度、お客様の要求仕様に基づいて製品の一部を個別設計したり、事前準備された派生品やオプションを選択・組合わせて製品を実現してお客様に提供するタイプの企業が少なからずあります。これらの企業は、ものづくり日本の技術を支え、日本の景気回復の鍵となる、非常に重要な存在です。
原価管理の面からその特徴を捉えると、 ①仕様検討決定・設計に時間がかかり、その分納期優先の業務となり、調達・製造に負担がかかる ②顧客対応設計のため、標準化・共通化がなかなか進まない。その結果製品原価率が悪化し、収益確保が困難になりがちです。 今回は、原価改革として、受注設計生産型の製造業が売れて儲かるための条件を、業務プロセス別に、その課題と解決の方向性を提案します。
「売れて儲かる」ためには、下記の4つの機能を連携させながら、バランスよく効率的にマネジメントしなければなりません
1)商品企画・・・市場構造、マーケットニーズ顕在化
2)開発設計・・・ニーズ別製品開発、製品コスト開発
3)技術営業・・・エンジニアリングセールス、顧客ニーズを基本設計
4)生産調達・・・製品構造体系、生産調達の技術
このマネジメント構造をベースに、原価の視点から業務
プロセス別に原価改革の課題を纏めました。製品構成を自社標準、顧客選択、顧客個別対応に明確に定義することが、『売れて儲かる』ための大きな課題と考えます
1)標準、選択、個別対応とコスト配分を明確にした商品企画、開発
2)標準、選択、個別対応を基準にした受注の待ち構え方
3)標準、選択、個別対応の組織的に機能する技術営業活動
4)標準、選択、個別対応で実施する先手管理の生産準備活動
5)顧客納入済み部品表とサービス部品表の事前整備
6)管理統制のPDCAをまわすための目標設定と条件
以上のポイントを以下説明します。
2.受注設計生産で「売れて儲かる」マネジメント構造
受注設計生産をしつつ売れて儲かるためには、商品企画、開発設計、技術営業、生産調達の4つの機能を、バランスよく効率的にマネジメントすることが重要です。原価改革は各領域で常に考えなければならない項目です。

3.原価改革への総合的なアプローチ
「すりあわせ」と「すりあわせ」の関係で、顧客価値を実現する、受注設計生産における原価改革は、会社全体の統合化されたアプローチによって初めて実現可能となります。

4.売れて儲かる商品企画/開発
1)製品群のミニマムコストモデル開発
商品企画/開発で売れて儲かるためには、代表モデルのコスト限界追求、派生モデルの限界追求を行うとともに、個別要望に対応できるように設計方法、条件を絶えず整備しておく必要があります。

2)対象製品群を用いた業務管理方式例と目標コスト比率
ミニマムコスト製品群を①標準、②顧客選択、③個別対応(顧客特殊) の3つに分類する構造は、設計・調達・生産の効率化とリードタイム短縮に繋がるだけでなく、品質や受注設計品の製品コストの見通しも容易にします。標準部分+選択部分のコスト比率を上げることでコストダウンに大きく寄与します。製品開発のスタートから定量目標を決め、その達成度を管理すべきです。

3)技術営業強化のための組織営業力の仕組みづくり
引合・内示から受注に至るまでの顧客との交渉過程で、売れて儲かるかどうかが決まります。そこで、①標準、②顧客選択、③顧客特殊仕様個別対応に応じた営業活動と、そのバックで顧客ニーズをくみ上げるエンジニアリング組織を機能させることが重要です。

4)生産準備活動
製品開発でモデル化した①標準②選択③顧客仕様個別対応の製品構造に合致した生産プロセスを準備すべきです。見込みで(先行して)手配できるもの、まとめて生産できるもの、受注後手配をするものを明確にし、変動費と管理工数(固定費)削減が実現できるように生産企画すべきです。

5)サービス部品表まで考慮した部品表を作成
受注設計生産に対しては、構想設計の段階から企画部品表を定義し、生産部品表を作成し、客先納品後に客先納入済み構成部品表とサービス部品表を定義しておき、稼動後に膨大なアフターサービス部品の調査確認時間が発生しないよう事前対応することが重要です。このことで大きな間接コスト削減が実現できます。

5.統合化されたアプローチでのコストダウン
受注設計生産の原価管理の問題は、PLANの計画精度が悪いことから生じます。受注設計生産の対応範囲が広過ぎることも一因です。先に述べたように標準、選定の範囲を広げるとともに、受注設計範囲の計画精度をあげる工夫をすべきです。 その上で、①実績の可視化 ②対応策を迅速にまわすことが重要です。

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弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC04.pdf
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困ったときはここ!「 ビジネス解決の玉手箱」
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日本の製造業の中には、工作機械や電子部品製造装置などの設備機械産業のように、受注の都度、お客様の要求仕様に基づいて製品の一部を個別設計したり、事前準備された派生品やオプションを選択・組合わせて製品を実現してお客様に提供するタイプの企業が少なからずあります。これらの企業は、ものづくり日本の技術を支え、日本の景気回復の鍵となる、非常に重要な存在です。
原価管理の面からその特徴を捉えると、 ①仕様検討決定・設計に時間がかかり、その分納期優先の業務となり、調達・製造に負担がかかる ②顧客対応設計のため、標準化・共通化がなかなか進まない。その結果製品原価率が悪化し、収益確保が困難になりがちです。 今回は、原価改革として、受注設計生産型の製造業が売れて儲かるための条件を、業務プロセス別に、その課題と解決の方向性を提案します。
「売れて儲かる」ためには、下記の4つの機能を連携させながら、バランスよく効率的にマネジメントしなければなりません
1)商品企画・・・市場構造、マーケットニーズ顕在化
2)開発設計・・・ニーズ別製品開発、製品コスト開発
3)技術営業・・・エンジニアリングセールス、顧客ニーズを基本設計
4)生産調達・・・製品構造体系、生産調達の技術
このマネジメント構造をベースに、原価の視点から業務
プロセス別に原価改革の課題を纏めました。製品構成を自社標準、顧客選択、顧客個別対応に明確に定義することが、『売れて儲かる』ための大きな課題と考えます
1)標準、選択、個別対応とコスト配分を明確にした商品企画、開発
2)標準、選択、個別対応を基準にした受注の待ち構え方
3)標準、選択、個別対応の組織的に機能する技術営業活動
4)標準、選択、個別対応で実施する先手管理の生産準備活動
5)顧客納入済み部品表とサービス部品表の事前整備
6)管理統制のPDCAをまわすための目標設定と条件
以上のポイントを以下説明します。
2.受注設計生産で「売れて儲かる」マネジメント構造
受注設計生産をしつつ売れて儲かるためには、商品企画、開発設計、技術営業、生産調達の4つの機能を、バランスよく効率的にマネジメントすることが重要です。原価改革は各領域で常に考えなければならない項目です。

3.原価改革への総合的なアプローチ
「すりあわせ」と「すりあわせ」の関係で、顧客価値を実現する、受注設計生産における原価改革は、会社全体の統合化されたアプローチによって初めて実現可能となります。

4.売れて儲かる商品企画/開発
1)製品群のミニマムコストモデル開発
商品企画/開発で売れて儲かるためには、代表モデルのコスト限界追求、派生モデルの限界追求を行うとともに、個別要望に対応できるように設計方法、条件を絶えず整備しておく必要があります。

2)対象製品群を用いた業務管理方式例と目標コスト比率
ミニマムコスト製品群を①標準、②顧客選択、③個別対応(顧客特殊) の3つに分類する構造は、設計・調達・生産の効率化とリードタイム短縮に繋がるだけでなく、品質や受注設計品の製品コストの見通しも容易にします。標準部分+選択部分のコスト比率を上げることでコストダウンに大きく寄与します。製品開発のスタートから定量目標を決め、その達成度を管理すべきです。

3)技術営業強化のための組織営業力の仕組みづくり
引合・内示から受注に至るまでの顧客との交渉過程で、売れて儲かるかどうかが決まります。そこで、①標準、②顧客選択、③顧客特殊仕様個別対応に応じた営業活動と、そのバックで顧客ニーズをくみ上げるエンジニアリング組織を機能させることが重要です。

4)生産準備活動
製品開発でモデル化した①標準②選択③顧客仕様個別対応の製品構造に合致した生産プロセスを準備すべきです。見込みで(先行して)手配できるもの、まとめて生産できるもの、受注後手配をするものを明確にし、変動費と管理工数(固定費)削減が実現できるように生産企画すべきです。

5)サービス部品表まで考慮した部品表を作成
受注設計生産に対しては、構想設計の段階から企画部品表を定義し、生産部品表を作成し、客先納品後に客先納入済み構成部品表とサービス部品表を定義しておき、稼動後に膨大なアフターサービス部品の調査確認時間が発生しないよう事前対応することが重要です。このことで大きな間接コスト削減が実現できます。

5.統合化されたアプローチでのコストダウン
受注設計生産の原価管理の問題は、PLANの計画精度が悪いことから生じます。受注設計生産の対応範囲が広過ぎることも一因です。先に述べたように標準、選定の範囲を広げるとともに、受注設計範囲の計画精度をあげる工夫をすべきです。 その上で、①実績の可視化 ②対応策を迅速にまわすことが重要です。

関連商品:
弊社HP掲載:http://www.jbc-con.co.jp/consul_service/pdf/STC04.pdf
イプロス掲載:http://www.ipros.jp/products/141048/018/
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